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実は俺、最強でした?  作者: すみもりさい
第八章:魔法少女戦争(仮)が始まるの?
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無垢な瞳と同色の――


 学院の敷地内にある女子寮の一室。

 ベッドに腰かけるユリヤ・マルティエナの前には〝弟〟のウラニスが立っていた。


「儀式に介入しただと? 大胆なことをしてくれたな。下手を打てばシヴァに気取られるぞ」


「あら珍しい、わたしにお小言なんて♪」


 ユリヤは楽しそうにくすくす笑う。


「必要ならいくらでも言うさ。言っても無駄な場合でもな。その上で忠告しておく。これ以上はやめておけ」


 ウラニスは無表情ながら〝半身〟にして〝主人格〟のユリヤに鋭い視線を落とす。


「もちろんやる気はないわ。どうせなら『誰と遊ぶか』くらい選びたかっただけだもの」


「それでもオマエの希望通りにいくとは限らないよ」


「そうでもないわ。人は欲望にまみれている。人だけじゃない、〝神〟だってそう。どれだけ自己を抑制しようと、不意に心の底からの願いは漏れ出すものよ」


 ふだんと違って感情的なウラニスにもまったく意に介さず、ユリヤは歌うように続ける。


「なら候補者は、儀式の影響範囲――システムの根幹に干渉しているハルトの認識範囲とも言えるかしら、そこにいる全員になるわね。あとは儀式のシステムがその中でわたし好みの誰かを見繕ってくれるわ。うん、楽しみ♪」


 たしかに『誰』と明示していない分、システムへの干渉は軽微で済んだ。本当にただユリヤの好みを優先する程度のものだ。

 だがそれでは不確かに過ぎる。ユリヤ好みであっても、儀式としては最悪な者が選ばれかねないからだ。


(……いや、その『不確かさ』をこそ楽しむつもりか)


 自身の好みの範疇であれば誰が選ばれようと全力で楽しむ。ユリヤがそう決めたのなら口出しをしても意味がない。

 けれど、それも――


「シャルロッテがサポーターを選ぶまでの期限付きか。この不確定要素は致命的に思うがな」


「仕方ないわよ。システムに通じる『道』はシャルが持っているチョーカーにしか作れないのだもの。他のだとルシファイラの雑味がひどくて『裏道』を通すのは無理だったしね」


 ユリヤは「残念だわ♪」と残念そうには見えない笑みで愚痴をこぼす。

 彼女にとってはいつものとおり。

 しかし今の発言には、看過できない部分があった。


「試したのか? 他のチョーカー(・・・・・・・)で」


 問いにも表情は変わらない。

 金の瞳がゆっくりウラニスに向けられた、そのとき――。


 ユリヤの耳元で小さくも軽快な音が弾けた。喜色を顔に増し、片耳を指先で触れる。と、眼前に半透明のウィンドウが現れ、金髪の少女の愛らしい顔が映し出された。


『ユリヤですか? たった今、授業が終わりました!』


 実に心地よく、胸がじんと温まる声音だ。


「待っていたわ、シャル。今日は何をして遊ぶ?」


『できればブレスレットの能力の検証を』


「それ、わたしに見せていいの?」


「ダメなのですか?」


「ダメって言うか……まあいいわ。場所は広いところがいいわよね?」


『最適なところがあります。滝です。滝に行きましょう!』


 興奮しまくりのシャルに『なぜ滝に?』との疑問が浮かぶ。が、きっと自分がまだ視ていないアニメに理由があるのだろう、と訊くのはやめておいた。


「わかったわ。すぐに支度して……ティアの研究棟に向かえばいいかしら?」


『はい! 兄上さまのお部屋の前でお待ちしています!』


 元気な声に笑みを返し、会話を終えた。

 ウラニスが呆れたように言う。


「相変わらずふざけた魔法だ。通信魔法……映像を伴うなど本来あり得ないのだがな」


「ええ、わたしの(・・・・)よりずっと高機能で魔力効率も抜群よ。実はシャルに無理を言って、もうひとつ借りて帝国(あっち)に送っておいたの」


「あちらとの会話をハルトに傍受される危険を冒すのか」


「ハルトはそんなことしないわ。ああ見えてけっこう紳士的だもの。だから便利なものは使わなくちゃね」


 さて、とユリヤは立ち上がる。


「着替えたらシャルのところに行くわ。あなたはご自由に」


 言って、服のボタンに手をかけようとして。


「ああ、そうそう。さっきの話」


 ポケットに手を入れ、何かを取り出した。


「っ!? それを、どうして……」


 指に絡めた金色の帯――紛れもなく今回の大魔法儀式で使われるチョーカーだった。くるくると指で回し、ピンと弾く。

 すぅーっと静かに飛んだ先は、ウラニスの胸元だ。ユリヤに目を向けたまま受け取る。


「つけてもいいけれど上手く隠してね? あなたがサポーターになったと知れたら、その相手が誰だかすぐに気づかれてしまうもの。シャルには秘密。ギリギリまで、ね」


 ユリヤはころころと無垢な笑みで言う。


「でもこれ、どうなのかしら? もしわたしが儀式に勝ち残ったら、どうなってしまうの?」


 上に向けた手のひらに、金色の宝石がはめ込まれたブレスレットが姿を現す。




 ――わたし、もう願いが叶ってしまったのだけど。




【現在の儀式参加者】※()内は宝石の色

 [魔法少女]       |[サポーター]

 ・シャルロッテ(ピンク) | ??

 ・メル(黒)       | ティアリエッタ

 ・ユリヤ(金)      | ウラニス


 残り4枠――


コミック13巻が発売されました

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アニメ化したよーん
詳しくはアニメ公式サイトをチェックですよ!

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