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久々。

「全く一時はどうなるかと思ったけど、やーっと角っ子ちゃんとお散歩できるよ」


朝食後少したった頃合いに、久しぶりに少女とお散歩でご機嫌な様子の彼女と犬。

リードの先は少女の手にあり、相変わらずリードは緩んでいる。

あんな事が有った後でも、犬も少女に対する態度は変わっていない様だ。


「角っ子ちゃんもあたしと遊べなくて寂しかったよねー?」


彼女は笑顔で首を傾げながら問うが、少女は少し申し訳なさそうな様子で目を泳がせた。

少女はここ数日間、寂しいどころか大好きな女とずっと過ごしていたのだ。

寂しい等と思うはずもなく、むしろ普段通りに戻った女の方が少し寂しいと思っている。

特に最近の女は少女から見ても少し可愛かったので、もうちょっと堪能したかったらしい。


「あっ、ふーん・・・そっかぁ・・・寂しかったのはあたしだけかぁ・・・」


彼女は少女の反応に唇を尖らせ、プイっと顔を背けた。

余り見せない彼女の反応に少女はピャッと変な声を出し、オロオロと慌てて犬と彼女に視線を往復させる。

だが犬はお座りをして成り行きを眺め、彼女は顔を背けたまま体をプルプルと震わせていた。

その様子に少女は更に焦り、若干涙目になりながら彼女の袖を引いて頭を下げる。


「ぷっ・・・くっ・・・あははははっ!」


すると彼女は堪え切れないとばかりに大笑いをしはじめた。

少女は一瞬目を見開いて固まってしまったが、すぐに揶揄われたのだと気が付く。

先程震えていたのは笑いをこらえて震えていたのだ。


少女は揶揄われた事にむーっとした様子で頬を膨らませ、彼女をじっと睨む。

犬は最初から気が付いていたので、欠伸をしながら成り行きを見つめていた。


「あはは、ごめんごめん。でも寂しかったのはホントだよー?」


膨れる少女を抱きしめながら謝り、そのまま抱えて抱き上げる彼女。

だが少女は先程の彼女の様にプイっと顔を逸らし、彼女の顔を見ない。


「あや、拗ねちゃった・・・ごめんよー、お姉さんがふざけ過ぎたから許してよぉ」


その言葉を聞いて、少女は「ほんとかなぁ?」と言う様な表情を彼女に向ける。

彼女は少女がこちらを向いた事でニッコリ笑顔で返し、少女はそんな彼女をふふっと笑ってしまった。


「うん、角っ子ちゃんはやっぱり笑顔が一番だねー。かーわいい」


そしてお互いの頬を当ててムニムニしながら、きゃきゃっといつも通りの様子を見せ始める二人。

犬は仲直りをした二人の様子を見てトテトテと近づき「もうそろそろお散歩を再開しませんか」と、前足でぽすっと彼女の足にお手をした。


「あはは、はーい、ごめんね。んじゃいこっか、角っ子ちゃん」


満面の笑みでコクンと頷いた少女を確認してから降ろし、散歩を再開する。

彼女は明らかに最初より機嫌が良くなっており、その事に少女も何だか嬉しくなっている。

テンションの上がった二人はそのまま結構な時間散歩を続け、犬もそんな二人のテンションに少しずつつられたのか楽し気に走り回る場面も有った。

そしてそんな犬と少女に付いて行き、帰る頃には完全にばてて使い物にならなった彼女である。


「あんた、そんなに体力ある方でもないのに何やってんのよ。ちみっこに付いて行ける訳無いでしょうが」

「はぁー・・・はぁー・・・いや、うん、久々で・・・加減・・・間違えた・・・」


複眼に突っ込まれた事で、自分で思っていた以上にはしゃいでいたと自覚する彼女であった。

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