魅力。
少女はモニターを見つめ、そこに映る動物に見惚れていた。
それは動物の番組らしく、今日は赤ちゃん特集の様な物が流れている。
小さな生き物がよたよたと動く姿を見れば、きゅ~と高い声を上げて悶える少女。
守ってあげたくなるか弱い生き物に目を奪われ、目じりはずっと下がっている。
周りから見れば自分も似た様な物だという自覚は無いらしい。
膝に乗る猫を撫でて隣で転がる犬に寄りかかる姿は、映像の小動物と余り変わらないだろう。
よったよったとよろけて動く姿には、屋敷で仕事をしている少女と被って見える。
とはいえこの場は少女の自室で、誰も突っ込む者が居ない。
よって少女は自分の事を全力で棚に上げ、小さい生き物可愛いと悶えている。
ただそれを少し気に食わない様子なのが猫である。
膝の上に乗せて貰って、撫でて貰っている事は嬉しい。
だが自分以外の生き物を可愛がっている少女に、もっと自分を構えば良いじゃないかと。
これはそういう事ではないのだが、猫的にはそういう風に不満な様だ。
なので先程から映像に映る生き物を睨みつけ、ぶなぶなと小声で不満そうに鳴いている。
ただし少女が楽しんでいるのが解っているので、邪魔にならない程度に小声なのが可愛らしい。
犬は特に気にしていないので、少女の背もたれになりつつウトウトとしている様だ。
番組が終わるとその余韻を確かめる様に、はう~と頬を押さえて息を吐く少女。
猫はそんな少女に向けてぶなぶなと不満を訴える様に鳴き始める。
少女は良く解らずコテンと首を傾げるが、構って欲しいのだろうと判断したらしい。
猫の為の玩具を取り出し、猫の前でフリフリと動かし始める。
簡単に釣られた猫は少女の動かす玩具に翻弄され、先ほどまでの不満を完全に忘れていた。
そうして暫く遊んだ所で休憩にし、猫を抱えて自室を出て行く少女。
猫はもう少し遊びたかった様だが、余り遊ばせ過ぎると良くないので切り上げる事にしたのだ。
忘れそうになるが、来た時よりは健康とはいえ、猫は余り体が強くないのだから。
少女が出て行った事を察し、欠伸をしながら後ろを付いて行く犬。
部屋の扉はしっかりと犬が閉め、のんびり追いかけている。本当に犬なのだろうか。
少女は先程見た小さな生き物の可愛さを誰かに喋りたかったらしく、誰かに会わないかなと屋敷の中を歩き回るつもりの様だ。
そのままぽてぽてと当てもなく歩き回っていると、単眼が掃除をしている姿を発見した少女。
わーいと喜んでパタパタ近づくと、単眼もわーいと同じテンションで迎え入れていた。
「おチビちゃん、ご機嫌だねー。何か良い事有った?」
単眼は傍に来た少女を猫ごと抱え、ニコニコしながら問いかける。
少女も嬉しくてニコーッと笑いながらコクコクと頷いて返していた。
「あはは! 可愛い! それは角っ子ちゃんが可愛いわー」
「だよね。そうだよね。おチビちゃんが可愛いよね。もうこれ話したくて話したくて」
その後少女が懸命に小さい生き物の可愛さを伝えて来た事を、彼女に話した単眼。
可愛いのは目の前の生き物では、と思いながら少女の話を聞いていたのだ。
彼女も単眼の言う事に同意し、我慢出来ないと笑いながら応えている。
「本人の可愛さって、本人が一番解ってないんだろうねぇ」
「多分そうなんだろうねー」
彼女の呟きに単眼もニコニコしながら頷き返すが、彼女は少し飽きれた表情を向けていた。
「ん、なに、どうしたの?」
「べーつにー? 本当に本人は自覚出来てないよねぇ、って話よー?」
「え、え、何で?」
彼女の視線の意味を理解出来ず、単眼はおろおろしている。
本当に本人が一番魅力を理解出来ない物だなと、彼女は小さく溜息を吐くのであった。




