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幸せの味。

最近猫は少し不満があった。少女が自分を構ってくれる時間が減ったのだ。

猫自身、そうなった理由は既に解っている。それはあの大きいモフモフの奴が来たせいだと。

あれが来てから少女があれを構うからだと、ぶなぁ~と不満の鳴き声を上げていた。


ただ最近は少しだけその不満も緩和している。

何故ならそいつは後輩であり、自分が先輩なのだから。

自分が来た時と同じ様に、優しい少女が助けてあげているのだろうと考え始めた猫。


なので虎少年には常にマウントを取りに行き、とれてないけど満足そうにしている。

最近は良く虎少年が猫を抱えているが、これは猫的には自分が上だぞという意思表示らしい。

犬の背中に乗せて貰っているのは、それはそれでちょっと違うらしい。

因みに犬は最近猫が頭に乗らなくてちょっと寂しい様だ。


虎少年的には最初は懐いてくれなかった猫がなついてくれた、というすれ違いが起きている。

猫の言葉は解らないので当然だが、お互い仲良くなってる気なので多分問題無いだろう。

少女が運動している時などは、虎少年の膝の上が最近の猫の定位置である。


自分よりモコモコで触り心地が良いのは悔しいが、犬の方が乗り心地が良いぞと文句を言う猫。

虎少年はブナブナとまっすぐにみつめて鳴く猫を撫で、ニコニコ笑顔を返していた。

これっぽっちも意思疎通出来ていない。だけどきっとこれで良いのだ。平和なので。




ただこうなると猫には少し気になる事が出来た。

猫と犬は何日かに一回、少女の手作りの食事が与えられる。

それがとても楽しみで仕方ない猫は、出てきた食事をあっという間に平らげてしまう。


ただふと気が付いたのだ。虎少年が少女の食事を貰っていない事に。

仲間なのに一緒に食事を貰えていない後輩を、少し不憫に思っているのだ。

あのとても美味しい少女の食事を食べられない後輩に、少しは食べさせてあげたいと。


なので次の時は分けてあげようと思う猫であったが、気が付いたら食べ終わっていた。

終わってからハッっと気が付いてブナブナと言い訳の様に鳴く猫だったが、全く通じていなかった事は説明するまでも無いだろう。

虎少年は首を傾げて猫が鳴き止むまで待つという不思議な光景であった。


因みにそれは一度の話ではなく、その前のそのまた前も食べてしまった猫。

だけど何時かちゃんと虎少年に食べさせてやろうと、次こそはと気合を入れる。


だって少女のご飯は幸せなんだから。

美味しいのは当然で、そんなのは当たり前で、それだけじゃないから凄いんだと。

とてもあったかくて、幸せで、優しい味がするんだ。

猫はその気持ちを虎少年にも感じて欲しくて、仲間だと認めたモコモコに知ってほしくて、ぶなっ!と気合を入れて鳴いた。





そして次の食事の時―――――ハッと気が付いた時には既に食べ終わっていた。

幸せのおすそ分けをする道のりは遠い様である。

暫く少年にぶなぶなと言い訳をする猫の姿が続く事であろう。

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