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成長速度。

少女はふと気が付いた事が有った。

なのでそのままポテポテと気になった物に近づいて行く少女。

そんな少女が歩いて行くその先には、女と仕事の話をする少年の姿があった。


「え、な、何ですか、どうしました?」


丁度話が終わり、少女の接近に気が付く少年。

狼狽えつつも、最近は一歩下がる事が少なくなった。

とはいえ前に踏み出す事など相変わらず出来ないのだが。


だが少女は少年の言葉に答えず、じーっと少年を見つめる。

少年は良く解らずにオロオロするが、目線は外さずにそのまま耐えていた。

この辺りも成長したと言えるが、何も行動出来ないままなのは如何な物か。


だが暫くすると少女はおもむろに手を伸ばし、少年の頭に乗せる、

そしてその手を水平にスライドさせて、自分の頭の上に持って行った。

その隙間は中々それなりに大きい物になっている。


「どうした、目線が前より変わった事に今気が付いたのか?」


女の言葉に、呆けた顔でコクコクと頷く少女

以前から少年の方が少し高かったのだが、最近は完全に目線が上がっていた。

毎日顔を合わせての変化だった為か、少女は今更になって気が付いた様だ。


少年は屋敷に来た頃と比べると体つきも多少大きくなっているが、少女は屋敷に来た時と殆ど変わっていない。

変わったのは髪の流さぐらいで、それも最近はまたゆっくりになっている。

ただ最近流石に仕事中は邪魔なので、後ろで括っている事が多い様だ。

そんな二人なので、身長差はただただ開くだけになっている。


「そういえば、大分伸びたの、かな?」


女の言葉と少女の反応に、自分も今気が付いたかのような感じで確認する少年。

ただしまだ青年というには早く、少年という言葉が似合う程度ではあるが。

大体が可愛らしい顔つきの為、余計にその成長を感じにくいのかもしれない。


「お前ぐらいの年頃は、成長が著しい時期だからな」

「でもまだまだ屋敷内だと小さいですけど」

「それを言うと、一人規格が違うのが居るんだが」

「あ、あの人はまた別枠というか・・・」


別枠扱いされているのは当然単眼である。

そもそも種族的に大きいので、少年達では抜きようが無い。

もしこの会話を単眼が聞いていれば、小さく可愛くなりたいなぁと悲し気に呟いていただろう。


別に単眼は可愛くない訳ではないのだが、本人の中で「大きい=可愛くない」の図式がるのでどうしようもない所ではある。

とはいえサイズが違う事で初対面の人間では少し怯んでしまうので、単眼のコンプレックスも致し方ない所だろう。


「あ、あれ、どうしたんですか?」


ふと気が付くと、少女がぷくーっと膨れていた。

それどころか恨めしそうな目で少年を見つめており、少年はまたもオロオロとし始める。

だが少女はそんな少年に答える様子は無く、不満そうに少年の袖をちょんと掴んだ。


「大方先にそんなに大きくなって狡い、といった所だろう」


少女の心情を察した女の言葉に膨れた頬のままコクコクと頷く少女。

出会った時はたいして変わらなかったはずなのに狡いと。

むーっと膨れながら、少年に対し何とも理不尽な拗ね方をしているのだ。


それは独特な距離感故の対抗心なのだが、少年は慌てるだけで気が付く様子は無い。

当然本人である少女も、他の相手には向けない感情だという事に気が付いていないが。

ただ気が付いたところで、この二人ではどうなる事もない気がする。


「私としては、もう少しはこのままで良いがな」


二人の様子を微笑ましく思いつつも、女は助け舟を出すことにした様だ。

優しく少女の頭を撫でながらのその言葉に、すぐにニパーっと笑顔になる少女。

少女の機嫌が直ったのでほっと息を吐く少年だったが、その後暫くは顔を合わせる度にちょっと膨れられるので困ったのであった。

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