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猫じゃらし

ある日少女は猫を見つめながら、少し考えていた。

果たして猫は普通の猫と同じ様な遊びが出来るのかと。

勿論普段の運動能力を考えれば恐らく出来ないだろうとは思う。

だけど猫の本能自体は有るのではと。


そして思いついたならば実践と、手に持つは手作りの猫じゃらし。

色の違う荷造り紐を三つ編みにして綱状にし、先の方はひらひらとしていて光も反射する。

簡素な物ではあるがそれなりに効果は有るだろう。


そう思い猫に見せると、ぶなっ!という思いの外良い反応が返って来た。

少女はワクワクしながら猫の前でお手製猫じゃらしをひらひらさせると、ぶあんっぶあんっといつも以上に変な鳴き声を上げながら前足を動かし始める。

どうやらこの猫にもきちんと野生の本能は有った様だ。


そうして暫く目の前でひらひらさせて興味を持たせ、バッと素早く降る少女。

猫はその棒振りに付いて行こうと、ぶなっと気合の入った鳴き声と共に飛び上がった。


いや、多分飛びあがったのだと思う。傍から見ればちっとも動けていないが。

前足は一切猫じゃらしに届いていないし、座っていた位置から恐らく10センチも動いていない。

けど何故か猫はやり切った感を出して、ぶな~と満足げに鳴いている。


少女はそんな猫を見てクスクスと笑いながら、また目の前で猫じゃらしをひらひらさせた。

すると猫はぶなっと鳴き、先程と同じ様にちょいちょいと前足を動かす。

そうして今度は猫の背後に素早く動かすと、猫は標的を見失ってしまったようだ。


一瞬固まった後に、ぶな~?という疑問符のついた鳴き声を上げつつキョロキョロする猫。

そんな姿がまた可愛いと思い、少女は楽し気に笑う。

どうやらこの猫には普通の猫の様にはやはり動けない様だ。


解っていた事ではあるが、だからこそ予想通りなのが少女には少しおかしかったらしい。

とても楽し気にくすくすと笑いながら猫を見つめ、猫は良く解らないけど少女がご機嫌なのでそれで良い様だ。


今度はちゃんと見失わない程度にしてあげようと、またひらひらと猫じゃらしを動かす少女。

猫もすぐに気が付き、ぶなっ!と見つけた事を喜ぶ様に鳴きながらじゃれ始める。


ただ猫は前足が届く範囲に来ても来なくてもどちらかの足が上がっており、とても不安定な感じに揺れている。

もしかしたらこの状態で長時間やったら転ぶんじゃないかなと少女が思っていたら、まさしくその瞬間猫はコロンと倒れた。

ぶなん!?という驚きの声を上げながら転がり、コロンと一周してお腹で着地。


猫は何が起こったのか良く解らず、目を見開いた状態で少女を見つめて固まっている。

そんな様子がまた何だかおかしくて、少女はクスクスと笑いながら猫を抱き上げた。

大丈夫だよと安心させるように撫でると、緊張が解けてぶな~っと気持ち良さそうな声を上げる猫。


腕の中でもぞもぞと動く様もやはりどこか不器用さを感じる。

やはり猫には激しい運動は難しいようだと思いつつ、でもまた後で遊ぼうと思う少女であった。

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