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第12話 ハーレムとか幻想です

 一月ほど年上のフェリルだが、女の子と言う事で少し成長が早い。若干の差ではあるのだが、この時期の子供としては明確な体格差になって現れる。


「ふぉ、おも!! ちょ!!」


 ぐでぇーと潰されながら、何とか抜け出ようと四苦八苦する。何が楽しいのか、フェリルがべったり付きまとってきて、自由が失われた。じりじりと春から夏に向かってどんどんと子供達も一歳を迎えて、訪れる数が増えている。どうも村長の家は保育所も兼ねているのか、狭い部屋はわらわらと動き回る子供で溢れかえりそうだ。前回、家を出た時にざっと見ただけでも百軒近くの家が並んでいた。ちょっとした市長さんみたいな感じだが、同年代もそれに比例してわんさかといる。流石に母一人で面倒は見切れないので、お母さん方が着いてきて一緒に手伝ってくれるのだが、どの子も若い。二人目三人目を連れてくる子も若い。あぁ、そういう文化圏なのだなと、胡乱な目つきでフェリルとジェシに大岡裁きをされながら考える。

 ジェシはフェリルと遊んでいた時に来た子供で少しだけ年下だ。この子も女の子なのだが、大人しい子にも関わらず、フェリルが私にちょっかいを出すと、果敢に攻めてくる。


「うーいー!!」


「あぶー!!」


 お気に入りの玩具を取られまいと頑張るかの如く私を取り合っているが、その内脱臼しそうで怖い。ほら、そこ。お母さんに似て美人だから取り合いねとか呑気な事を言っている暇があったら、助けて。母もニコニコ笑いながら、眺めているのでしょうがないなと、二人の脇をこちょこちょとくすぐって脱出する。私は、詰み木で繊細な手先のコントロールを取り戻すのに忙しい。

 子供達が増えてくると、遊具も増えてきた。木馬や積み木など素朴な手作りの物ばかりだが、色々リハビリ代わりに使えるので、格好のアイテムと頑張って取り合いをしているのだが……。


「ぶわー」


 作った端から、フェリルに崩される。


「だー」


 では逃げて別の場所で作ると、今度はジェシが崩す。

 どうも、私が他の物に構うのは癇に障るらしい。乳幼児の頃から女の子の連帯感が育まれているとか、五十の身ですが、怖い。這う這うの体で偶に覗きに来る父に縋りつくが、にっこりと元の場所に戻される。こうやって、男は尻に敷かれる事を覚えるんだなと思いながら、ハイライトの消えた目で、二人になされるがままになる事にした。

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