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第11話 幼馴染出来ました

「ぶぇー?」


「ヴェーはマギーラ様を始めとする神様を指す言葉だよ」


「だー?」


「ダーは私達、人を指すの。あなたも今日からは私達の子として正式に認められたの」


 帰り道、抱っこ紐に固定されながら、両親に良く分からなかった言葉を確認していく。あの儀式は七五三のようなものらしい。乳児の生存率が低いため、満一歳を迎えるまでは神様が子供を預けているだけと教えているらしい。もし、子供が亡くなっても神様が召し上げてしまったから嘆く必要はないというのが教義との事だ。ヴェーは神を、ダーは人を指す。ヴェーダは人神、要は神官職を指す単語なのだろう。ちなみに、名前がディーニ世だったのも仮名らしく、家長の子供を指す記号のような物らしい。


「ふふふ。ティーダ、可愛いティーダ」


 母が上機嫌で、ぷにぷにと洗ってすべすべになった頬を突いてくるので、うにゅうにゅと顔を胸に押し付けて逃げる。そう、私は今日からティーダという名前を貰った。意味合い的には、母のティンから貰ったのだろうと思っていたのだが、ちょっと違っていた。ティ自体が統べるみたいな意味を持っており、人を統べる者みたいなちょっと仰々しい名前で、若干もやもやとはする。


「れふちょ?」


「レフェショか。ふむ、若干難しいが、まぁ、この村を統べる役職、という意味だな」


 父の言葉に、ぽかんと口を開けてしまった。あら、私村長の息子でした。確かに、高台に家は建っていたし、他が木造にも拘らず、土壁で補強されていたりしていた。何より、あんなに羊皮紙塗れでうんうん唸っている仕事をしている人間が一般人とは思えない文明度だ。少しだけ未来に期待が持てる。どこかの文明と接触するにせよ、後ろ盾は重要だろう。成長するまで、あまり困らないならありがたい。

 そんな事を考えていた私だが、初めての外出で何か菌をもらったのか、それとも色々な情報が急に入って知恵熱が生じたのか、生まれて初めての高熱でダウンして、布団に包まる羽目になった。


 素直にうんうん唸りながら眠り、二、三日が経過し、あぁ体が楽になったとぱちりと目を開くと、知らない顔が覗き込んでいた。


「う?」


 驚きでうめき声を上げながら首を傾げると、相手も紅葉みたいな小さな手で顔をぺちぺち叩いてくる。


「あー、だー。ゆー?」


 意味不明な言葉が漏れる幼児を前に、どうすればいいのか分からないままに固まっていると、母が部屋に入ってくる。


「あら、ティーダ起きたの? あぁ、この子はフェリルよ。フェリル、ご挨拶」


「やぁーぁ!!」


 ていっと言う感じで、手を挙げる幼児を前に、良く分からないけど、同じように手を挙げてみる。すると、嬉しかったのか、フェリルがででーっとハイハイでタックルしてくるので、そのまま巻き込まれ、顔全体をはむはむされる。何の罰ゲームだこれ。混乱の極みながら母の話を聞いていると、どうも人の子になった段階で、他人との接触が認められるらしい。で、この子は少しだけ年上のフェリルちゃん。父の幼馴染の子供らしい。よしよしと頭を撫でると、慣れているのかにぱっと笑う。ちなみに女性名詞で呼んでいたので、女の子なのだろうと。後、接触を認めないのは感染症を媒介するのを恐れてのことなのだろうなと、フェリルにもみくちゃにされながら、想像した。おーい、私は玩具じゃないよー。

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