別れ
凛は眠る源治の傍らに立っていた。
「鎖で縛られてる・・・・まぁ暴れそうだし仕方ない・・のかな?」
源治は眠っていた。それを確認すると凛は続ける。
「助けてくれてありがとう、もしあの時源治が庇ってくれなかったらあたしは死んでた。あの時のあたしはどうかしてた、源治を信用できずにいきなり出てきた怪しい情報を鵜呑みにして、最初から源治に話せばよかったのにね。・・・・・・あたしってほんとバカ。」
「正直、源治と組んでから楽しかった。そりゃセクハラまがいなこともされたけど、あたしには両親が居なかったからさ。もしお父さんやお兄ちゃんがいれば源治みたいな感じなのかな・・・・ってお兄ちゃんって歳でも無いか」
眠る源治に向かって話す凛の目には涙こそ浮かんでいたが流すまでには至っていなかった。
「・・・・・姉さんのことありがとう。源治は姉さんを人間として死なせてくれた。源治はきっと姉さんが一瞬でも人造怪異になったって他の人にバレないようにずっと黙ってたんだよね。たとえその結果あたしに恨まれることになっても。・・・・・ほんと不器用なんだから。」
そして凛はそっと源治の額にキスをする。
「さすがに唇にはしないけど、これあたしのファーストキスなんだよ?15歳にキスしてもらえるなんて幸せものだね。」
「それじゃああたし行くね。今までありがとう・・・・・・・さよなら」
そして凛は病室を後にする。そして静寂だけが残された。




