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SLASH/SHOT~Frame Warrior&Ice Valkyrie~  作者: 雑賀ランボー
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Death of past~源治VS亜紀~

源治が地下に降りるとすでに降りていた亜紀が中央で正座して待っていた。目の前には愛刀「斬無」が置かれている。


「お待ちしてました」


「俺は挑まれた勝負は受けるけどよ、ほんとにこれやる意味があんのか?」


「あります!要は源治殿に実力を認めさせれば良いのでしょう!ですから勝負です!」


「・・・まあ、好きにしたら良いさ」


 源治は愛刀を抜いて立ち上がった亜紀の対面に立つと、源治も愛刀「宇文字」(うもんじ)を腰の鞘から抜く。


「言っとくけど俺は手加減はできんぞ」


「分かっています」


 正眼に構える亜紀に対して源治は、右手に刀を持ち左手を前に突き出し刀の峰が左手の甲に当たるように構える。


 最初に動き出したのは亜紀だった一歩踏み込めば刀を振り下ろす。源治はその斬撃を右手を上げて刀で防げば、そこから少し踏み込み空いた左手を亜紀の腹部に当てれば全身の筋肉を一気にフル稼働させ押すような打撃を放つ。俗に言う「寸勁」である。


 その衝撃に数歩分吹き飛ばされた亜紀が体勢を立て直さない内に追撃で上段から斬りかかる。慌てて受け止めた亜紀だったがその重さに体が沈む。両手でそれを支えていた亜紀だったがふと上からの力がなくなったかと思えば横腹に衝撃を感じ吹き飛ぶと床を転がる。亜紀の意識が上に行っている内に源治が横腹を蹴ったのだ。


 痛みと衝撃で呼吸がまともにできないのを無視して無理やり体を動かし、後ろに飛び距離を取り仕切り直す。


 格闘術と武器術の合わせ技による場所と相手を選ばない戦闘術。それが源治の編み出した我流の流派「非天無双流」(ひてんむそうりゅう)である。亜紀は名前だけは聞いていたが予想を超える強さだった。


「やはり・・・強いですね」


「あたぼうよ、俺を誰だと思ってんだ史上最強天下無双唯我独尊の源治様よ」


「これなら間違っても殺すことはなさそうですね・・・本気で行きます」


 そう言うと亜紀の構えが変わった。正眼の構えから八相の構えに変われば源治に向かって駆け出す。源治が身構えると間合いに入る前に大きく跳べば源治の後ろから首を狙った一撃を繰り出す、その場でしゃがみながら足払いで対応した源治だがすでに後ろに亜紀の姿はなく、もう一度跳ぶことによって源治の正面に回り直せば体勢が低いままの源治の頭部に刀を振り下ろす。源治はそれを膂力で無理やり横に飛べば素早く起き上がり亜紀を探すと姿が見えない。


 背後に殺気を感じて振り返るがそこには誰もいない。刀が風を斬る音で初めてどこから攻撃が来るかわかれば、左手に巻いた鎖を刀に当て防御する。


 攻撃を止めたことで初めて亜紀がどこにいるのかがわかった亜紀は源治の武器を持たずに刀を握っていない無防備な左側に回っていたのだった。


「惜しかったな、うっかり防ぐとこ間違えりゃ腕どころか体もまっぷたつだったのによ」


「そうなりそうな時は止めますよ。私は源治殿に強さを認めてもらいたいだけで殺したいわけではありませんから」


 亜紀の剣術。それは派手な動きで様々な角度から攻撃を仕掛け、それでもだめな場合はその動きを囮とし相手の目を晦ませ死角に回り必殺の一撃を放つ二段構えの剣。天然理心流から分派し非力な者でも敵が殺せるように暗殺や不意打ちに特化した流派「無影流」(むえいりゅう)である。


「お前が無影流からしくねえな」


「女の身で敵を倒すにはこれが一番いいと学ばされてきましたから。ですが本来の理心流も扱うことができますよ」


 お互い距離を離し仕切り直しと行ったところでそんな会話をしているとまた亜紀の姿が消えた。


 縮地により突然源治の目の前に現れた亜紀が放つのは天然理心流奥義「三段突き」狙うのは源治の体ではなく源治の持つ刀。その策に嵌りまともに三段突きを受けた刀は源治の手を離れ、床に刺さる。


「どうですかこれでも私の実力が認められませんか?」


「んーそうだな、まあ底は見えたな。これじゃ落第だ」


 そういうと刀を捨てほぼノーモーションで繰り出された直突きが亜紀の顔に向かうが亜紀はそれをとっさに刀でガードする。しかし聞こえてきたのは肉が斬れる音ではなく、金属同士がぶつかる音だった。見ると以前ミラージュとの戦いで使った拳の部分に金属製の十字架を象ったナックルガードが源治の右手にはめられていた。


「いつの間にそんなものを・・・」


「こいつは技術部に特注で作らせた一品でなワンアクションですぐに袖から出てくる機構が組み込まれてる」


「っですが!いくら源治殿と言えど素手では!」


 そう言って正面から斬りかかるがそれは鎖が巻かれた左腕で側面を叩かれいなさ素早く踏み込んできた源治の右手による突きが眼前で止まる。


「素手でもっつってもその素手のやつに良いようにされてんだから諦めな」


「っ!!」


 その一言で完全に頭に血が上った亜紀の連撃が繰り出されるが、全て左腕一本で防御されてしまう。鎖を巻き手の甲にも鉄板の入ったグローブを着けるなど防御一本に特化した左腕を前に出し、右腕はナックルガードを着け矢を番えた弓のように引き絞られた攻撃特化の右腕。この構えに為す術もなく追い詰められた亜紀は遂に刀をその手から弾かれてしまう。


「お前は最初から最後まで無影流を貫いて常に死角から攻撃してりゃよかったんだ。なのに途中から頭に血が上って正面から突っかかっていくことしか頭になかった。他人相手にクレバーになりきらないやつが身内相手に容赦なしにってのは無理な話だろ」


 床に両膝をついて項垂れる亜紀に源治は辛辣とも取れる言葉をぶつける。


「だったら・・・だったら私はどうすれば良いんですか!私には兄を斬る力量がなくただ兄と源治殿が斬りあった後の報告だけを聞けとでも!?」


 そう言いながら立ち上がると武器を持たないまま素手による格闘戦を挑んでくる。動きを見る限り恐らく空手だろう、真っ直ぐな亜紀らしい選択だ。それを源治は全て捌くと、最後に正拳突きを掴めば。


「これで分かったろもう諦めな、次からは当てるぞ」


「っできません!!!」


 源治が掴んでいる腕から手を離せば、僅かに目尻に涙をためながら半ばヤケクソのように攻撃を続ける。


「しょうがないやつだな」


 そこからは亜紀にとって地獄だった。ナックルガードは外していたが、怪異を殺すことが出来る腕力による猛火のような攻撃に晒されたからだ。

 何度も殴られ投げられ鼻血を流し、その場で何度も吐いた。その度に源治に引き起こされ殴られた。死なないように手加減はしているが、ここまで痛めつけても亜紀は負けを認めなかった。


「こんだけ痛めつけても音を上げないのはお前が初めてだ、殴るこっちだって手が痛いんだぜ?」


 もう起き上がる体力もないのかズタボロになり床に大の字になって倒れている亜紀を見ながら右手をブラブラさせる。


「私が・・・私が兄を斬らなければいけないんです・・・・それが妹である私の使命なんです」


そう話す亜紀の声はわずかに震えており倒れている角度のせいでよく見えないが泣いているのであろう。


「だから・・・だから私も同行させてください」


 そう言いふらつきながら立ち上がろうとする亜紀に源治は予想外の一言を放つ。


「ええよ」


「どんなことでもしますからって・・・えっ!?」


「俺がだめだって言ったのはお前が一人で行く事だ。オレとオマエで協力してってことなら話は別だ」


「・・・だったらここまでする必要はなかったのでは?」


「そりゃお前の覚悟を見るために決まってるだろ。諦めたらそこまで、それでも食い下がってきて独りで行くとかぬかすなら物騒な話だがしばらく再起不能になってもらって、二人で行くって言ったら連れて行こうと思ってた」


「最初から口で言えば良いようなことを言わずにそうやって肉体言語で済ませようとするのは悪い癖ですよ。私死ぬかと思いましたよ」


「手加減しただろ、その証拠にメリケンは使ってねえんだから」


 そんなやり取りをしながら源治は亜紀の手を取って引っ張り起こすと肩を貸してリビングまで連れて行く。


「とりあえず地下の掃除だったりその他家事は俺がやっとくからお前はしばらくの間休んでろ」


「特訓とか修行とかしなくて良いんですか」


「今更やったところで高が知れてるだろ。それよりも俺がしばいた分休んで回復させろ」


「それなら・・・少し・・・寝ます」


そう言うとそのままソファで横になり眠りにつく亜紀、それを見た源治は毛布をかけてやり小さく呟く。


「お前の覚悟受け取った。絶対に死なせやしねえよ」

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