Death of past~幕間~
遊園地での1件の後屋敷に戻ってきた二人は特に会話を交わすこと無くお互いの部屋に戻った。源治は自室で一人傷に包帯を巻きながら今夜あったことを整理する。
「(とりあえず龍二のバカは置いといて人造怪異ってのがやべーな。人間と怪異をかけ合わせた生体兵器なんぞ洒落にならん。人間の知恵を持ってスペックは人間以上なぞ下手に表に出れば軍事バランスがひっくり返るぞ。とにかく明日にでもおっさんに連絡しとかなきゃな)」
「あとは・・・亜紀か。あいつ腹かっさばいてお詫びするとか言わないよな?・・・よな?」
あの後一言も交わさずに部屋にも出ったがもしかしたらまずかったかもしれないと思いながら、せめてひと目様子を見ておいたほうがいいだろうと部屋に向かう。
「あーきーちゃーんあっそびましょー」
亜紀の部屋の前に立つとおどけたように言いながら扉をノックする。が反応がない。
「ありゃ?ノックしてもしもーし」
再度ノックするが反応がない。先程冗談で呟いた一言が胸をよぎる。
「亜紀!・・・ありゃ?」
鍵がかかっていると思われた扉はあっさりと開いた。そこに居たのは、割腹して自害した亜紀ではなく、服を脱ごうと半ば下着が見えた状態のままで源治を見て固まっている亜紀であった。
「っ!チェストーーー!!!」
「うわらばっ!」
すぐさま正気を取り戻し顔を紅潮させた亜紀の右ストレートが顔のど真ん中にめり込み部屋から叩き出される。
「着替えの最中にいきなり入ってくるんですから・・・びっくりしましたよ・・・」
「いや・・・あんなことがあった後だし、身内の不始末の責任取って腹斬って自害とかしてないか心配になってな」
顔が凹になっている状態で源治が発言する。
「えぇ・・・そんな四次元超人みたいな状態でどこから声出してるんですか?」
「自分でやっててなんだけど俺も驚きだよ、まあ今はギャグパートだしな。ギャグ補正ギャグ補正。それに俺はノックしたぞお前が答えなかったから心配になっただけだ」
「あのときはちょっと考え事をしていまして、それで少しボートしていました。・・・それにご心配には及びません。確かに兄が悪の道に走ったことはショックでした。ですが私と兄は別です。兄が悪の道に走ったことに対して私ができることは、兄の代わりに詫びることではなく兄を止めることです!」
「それは・・・龍二を、兄貴を斬るってことでいいんだな」
元の顔に戻った源治が真剣な眼差しで亜紀に問いかける。
「っ!・・・・・・・・はい」
「・・・まあ、別に斬らなくてもぶちのめすだけでも良いのかもな。心配しなくてもお前一人になんでも背負わせねえよ」
流石に実の兄を斬ることに戸惑いを見せる亜紀に対して励ますように笑いかけると、髪をグシャグシャと撫でると安心したから眠くなったと部屋を後にしようとする。
「・・・あのっ源治殿!」
「ん?」
「いえ・・・お体に気をつけて・・・おやすみなさい」
「お前もな、あんま無理すんなよ」
そして亜紀の部屋を後にする、うつむいた亜紀の表情は最後までわからなかった。