PIRATES・OF・LAKE~逆襲開始~
凛と菫は絶体絶命の窮地にあった。
四方を湖と海賊に囲まれ、目の前には自分たちよりも遥かに大きい触手を前にし武器はお互いに本来の武器ではない鈍らなサーベルである。
数本の触手のうち一本が凛目掛けて襲いかかる、凛はそれを横にスッテプして躱しながらすれ違いざまに斬りつけるが、凛の腕力では切断には至らない
菫は凛の様子を見て、攻撃は諦め回避に徹している。
「これじゃジリ貧だよ。いつか終わりが来る。」
「そうだろうNA、最悪の場合私が囮になル。そうなった場合、君HA脇目も振らずに岸に向かって泳ゲ。運が良ければ源治と合流できRU」
「それだけは絶対に嫌、生き残るなら絶対に二人で。これは譲れない。」
「全ク、姉妹相棒揃って頑固だNA。では精々我々の切り札が来るまで粘るとしよウ。」
「さっきもそうだけど、随分あいつの肩を持つね。昔何かあったの?」
「フッ・・なに、私も女DA。惚れた男の事は信じたくなるものサ」
そんな会話を交わしながら迫る触手を避け続けていると、中々捕まらない事に業を煮やした船長が合図すると甲板に船員が何人か降り各々武器を構えた。
「ここらで、難易度アップだ。死を恐れない荒くれ者と肉食生物、どっちに捕まっても地獄だぞ」
「これは・・・いよいよマズイね。せめてブルーローズが使えれば・・・」
「私の「武器」も宿に置いたままだ、己の怠慢を呪うしか無いな」
触手の攻撃に加え、海賊たちの攻撃を避け、時に反撃を行っていた凛たちだったがついに限界が訪れた。
ふとした拍子に凛が触手に足を取られ宙吊りにされ、それに一瞬気を取られた菫も海賊たちに捕まってしまう。
「離せっ・・・このっ・・・」
「くっ・・・私の体は安くはないZO」
「ようやく捕まったか。一人はタコの餌、もう一人は野郎どもの慰みものかちょうどいい塩梅に別れたじゃないか。じゃあお前たち、好きにしていいぞ」
船長の許しを合図に残りの触手が凛に迫り、菫の衣服に船員たちの手が掛かる。終わりを覚悟した凛がギュッと目をつぶった瞬間、
「菫!ペチャパイ!無事か!!」
突如船の後方に出現した源治が、船員の集団に突っ込んでいけば、
「返せ、それは俺の武器だ!」
愛刀を持っていた船員を殴り飛ばし斬無を取り返し、船の手すりに飛び移りその上を走り始める。
そして、船中に張られているロープに飛び移り、そのまま斜めに張ってあるロープを駆け上がれば、大きくジャンプし凛に迫る触手と凛に巻き付いた触手をすれ違いざまに刀を抜き放ち細切れに切り刻めば鞘を口に咥え空いた左手で凛を小脇に抱えた状態で着地する。
凛を助け出した源治は、白馬の王子様などではなく白装束で腰にはいつもの髑髏のバックルを付けたベルトを巻き、顔の両側に懐中電灯を鉢巻きで縛り、首からは数珠と十字架をジャラジャラ掛け、「悪霊退散」と書かれたタスキを肩に掛け、背中には紐でくくりつけた菫のキャリーバックを背負っている。
着地した源治は、凛を抱えたまま菫を囲む集団に突っ込めば右手に持った刀と左手に抱えた凛を振り回して船員を威嚇し退散させると、ようやく凛をその場に下ろす。
「ようやく来たKA」
「クソ髭!あとでその髭ぶっこ抜く!・・・って何その格好、こんなダサい格好見たこと無い」
「随分奇抜なファッションだナ、これのせいで戻ってくるのが遅くなったのカ」
「や、やっかましい!武器持ってきて助けたんだからそれでいいだろ。後お前は服を着ろ!」
「そう言われてもあいつ等NI破られてしまったからな。中途半端よりもこっちのほうが動きやすいだろウ。それでHA、私の武器もお披露目するとしよウ、仕事だ「ニョルニル」」
そう言ってキャリーバッグを開くと中から現れたのは菫の腕の二回りは大きな巨大な鉄製の篭手だった手の甲の部分に髑髏の模様が彫られていたり装飾面も凝っている。菫が空いた部分に手を入れると、主の装着を待っていたかのように喜びの蒸気を吹き上げる。
「怪異討滅用に私自身が設計して作成した撲殺兵器DAカッコイイだろウ?」
「乳も武器もでかいのは相変わらずだな、前みたいの杭打機みたいに人に当てそうになるなよ?」
「今回は私の得意なボクシングに合わせてグローブタイプダ、当てるとしたら意図的だNA」
上下黒のレースが付いた下着姿でオープンスタンスに構える菫、その横でブルーローズを構える凛、そんな二人と背中合わせにいつものように腰を落とし正眼に斬無を構えるが未だにビクついている源治。
今この3人による逆襲が始まる!