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85 コトコとの接触 深夜の電子会議室

 この話題に分が悪いと感じて、君国は川嶋の名前を出した。

「川嶋コトコからメールが来たって?」

「そうです」

「どうしてメールアドレスを?」

「最初は、防衛庁のホームページにある要望を書き込むフォームに書き込みが入ってたんです。書き込まれていたのは三時ごろだったかな、直接、私を指定して。書き込みにメールアドレスが付記してあったもんですから、それに私がメールをしました。そしたらすぐに返答がきたんです。24時間営業のネットカフェからアクセスしているということでした」

「話せるか?」

「電子会議室を手配しました。彼女が本当にあのコトコちゃんなら、川嶋の名前を使ってすぐにアクセスしてきます。こっち……私のデスクです」

 数人が残ったオフィス。彼らは一体いつ眠っているのだろうと不思議に思う。しかしそう言えばここ数日間、自分も満足には眠っていない。

 白々と光を放つ液晶画面の前に津久田が座った。君国も隣の椅子を引っぱってきてそれに腰をかけた。

 結局三時間程度しか寝てはいないことになる。津久田はどうだろう。仮眠室に入ってもいないが、眠ったのだろうか。歳の差を感じる。

 津久田はマウスを動かして、画面の中からひとつの会議室を選んだ。

<Your password?>

 キーボードを打って、彼は『川嶋モトキ』と入力した。

 ハンドルネームの欄に『ダイスケ』と入れて、『入室』ボタンを押す。

 画面がいっきに明るくなって、複数の罫線で仕切られたページが表示された。真っ白の何の個性もない画面だ。

『現在の入室者:コトコ、ダイスケ』

 そこだけが灰色に浮き上がって見えた。

「ここのパスワード、彼女分かったみたいですね。三年前に亡くなった君のお兄さんの名前だって言ったんですけど」

 三年前に亡くなったは余計だ、と思ったが、寝ぼけ様を見られたせいもあって君国は黙っていた。彼は液晶画面をのぞき込んだ。


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