表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/120

84 最後の日 午前三時

 体を大きく揺すられる。

 まぶたにチラチラと小さな光が当たる。

 浅いまどろみさえ許してはくれないのか、なんて職場なんだ。

「君国さん、ちょっと、緊急事態。起きて下さい」

 まったく緊急事態ではないような声で、呼んでいるのは津久田だ。

 他にもここで眠っている連中がいるのだろう、声を押さえて小さく呼んでいる。

「あ、ちょっと。だめですって、起きて下さい。メールです。川嶋コトコから」

 君国は体を避けて布団をかぶった。

「あぁ、かわ…………えっ!」

 慌てて上半身を起こすと、ごんっ。

 案の定、頭がベットの上段にぶつかった。仮眠室のベッドは狭いということを何度か身をもって体験してはいたが、津久田の前で思いっきりやってしまったのは失態だった。

 津久田は驚いたような顔をしている。

 上段で寝ていたであろう人間が、迷惑そうに身をよせる衣ずれの音がしている。

 いっきに目の覚めた君国は、そのまま静かに仮眠室を出ると、よれたワイシャツを引き伸ばして顔をこすった。

 廊下はまだ暗い。深夜であることは確かなようだ。

「今、何時だ?」

「三時半です。朝の」

 あくびをひとつ。

 津久田がやっと覚醒したような顔をして笑った。

「君国さんも寝ぼけるんですね。奥さん、朝、大変ですね」

「……」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
http://nnr2.netnovel.org/rank01/ranklink.cgi?id=koguro
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ