73 発見
テールランプがいくつも流れている光景は、さながらアリが道標をつけているようだ。
「あっ! あれっ、あれじゃないですか?」
助手席で津久田が指を指している。
ちょうど黒いランドクルーザーが裏通りから出ていこうとしているところだった。確かに、あの通りからだった。
先刻の記録から見て、彼らはかなりのスピードを出すことが予測されたので、君国は振りきられないようにと近付いた。
携帯が胸ポケットで鳴る。
「津久田、頼む」
津久田は君国の内ポケットを探ると、そこから携帯電話を取り出して耳に当てた。
「はい、君国」
多分、交通監視センターの老人からだろう。知らせるように言っておいたからだ。
「はい……やっぱり……、確認できます。私達は後ろのマーク2です。……分かりました、お願いします」
「さっきのじいさんからか?」
津久田はうなづいた。
「あっちでも確認したみたいです。見失ったら誘導してくれるとのことです。ただし、都内だけですけど」
「そりゃ有り難い。運転には自信がないんだ」
「……冗談でしょう?」
「どうかな」
君国は中央車線に入ると、エンジンを思いっきりふかした。