70 そして、追い込む
「次、麻布3番。その先は4番かな」
「あ、曲がった」
車は大通りから抜けて、細いわき道に入った。
「あぁ、じゃあ次は、12番だ」
「麻布12番ね。了解」
再び画面が切り替わり、一本向こうの道路が綿が映しだされる。
「……出てきませんね」
「もう少し前の時間から再生してみるか」
ゆっくりと見直してはみるが、一向にランドクルーザーは出てはこない。
「多分、この間の路上のどこかに止まってるんだな」
「他にこの裏道から、どこか出られるところはありますか?」
「入った通りをのぞけば、この地区は三つの大通りと面してる。確認してみようか?」
「お願いします」
同じ時間の違う三通りの画面が映しだされる。
しばらくチェックしていたが、どこからもランドクルーザーは出てはこなかった。
「5時18分。四十分ほど前だな。この時間にこの道に入っていった。狭いブロックだから、すぐに分かるとは思うが」
「今まで出てきてはいないか、確認することはできますか?」
「できる。だが、少し時間がかかるぞ」
「構いません」
それからなお十五分ほどかかって調べたが、ランドクルーザーは今まで出てはきていないようだった。夕刻の暗さの中で、かなり車の区別は難しくなってきていた。なんとか、交差点の街灯の明かりで大型車を見極められる程度だ。