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41 二発の銃弾の軌跡を追う

「あの、向かいのビルの五階、ちょうどあそこの窓から誰かがこちらに向けて発砲してきたってこった。撃ったのはたった一発、まぁ、いい腕だな」

「一発目は?」

「そこだ」

 刑事は奥の部屋に入ると正面の壁を指さした。

 見れば、そこには黒々とした穴が開いている。鑑識がそこに撃ちこまれた弾をほじくり返したおかげで、大きく痛々しい。それはコンクリートが穿たれるほどの穴だ、威力が知れる。

「多分、入口のほうから奥の部屋に向かって一発誰かが撃ち、そいつを狙って隣のビルから二発目が撃たれたんだ。いや、一発目を撃った奴と二発目に撃たれた奴とは別々の人間かも知れないが。あとはナイフが落ちていたことくらいか。こっちは指紋がべったりだ」

「走り去った車は?」

「検問はかけているが、多分無理だろう。時間が経ち過ぎている。車種はランドクルーザー、ナンバーは不明。乗った人間は車の影になって見えなかったが、ひとりだろうと言っている。怪我をした人間を当たるために各病院に手配もしてはいるが、今のところはなにも。多分、被害者自身も何かの理由で身を隠そうとしているんだろう」

「被害者の血液型は分かりますか? 拳銃の弾の種類は? ナイフの持ち主は?」

「どれも鑑識待ちだ。だが、すぐに分かるだろうよ。何か? 防衛庁が出張ってくるようなことなのか?」

 君国は笑顔で首を振った。まぁ、これくらいはサービスのようなものだった。

「非公式です」

「あぁ、そうかい」

 刑事は急激に君国に興味を失ったような顔をして、自分のよれたスーツのポケットから、こちらもくたびれ果てたような顔をした煙草を取り出すと、ライターで火をつけた。

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