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マリオンGPD 3127   作者: さからいようし
第1話 『鉄の方舟』
8/37

 ふたりは林の中のドームの両端に陣取り、おたがいの背後を見張った。

 ふたたびざわざわとなにかの気配を感じた。どうもジャングルの草むらを掻き分けているようだ。動物だろうか。

 まだ遠い。三十ヤードは離れている。ランドールが頷いた。やはり気配を感知したのだ。 こんどはもっとはっきりと草むらを掻き分ける音が聞こえた。

 音の方向もはっきり分かる。ランドールがその方向に向き、行けというふうに手を振った。霧香は無言で頷き、音を立てずに場所を変えた。野営地から川に向かうトンネルの方向だ。霧香はトンネルを進み、手頃なサボテンの隙間に潜りこんで屈んだ。

 やがて、意外な姿がジャングルの茂みから現れた。

 人間のようだった。

 男性。短い黒髪。ひどいボロをまとっているが、もとは古くさいデザインのアストロスーツのようだった。槍のようなものを携えていた。明らかに栄養不足で、痩せていた。しかしどこか南方アジアの血を引いていると判別できる程度にはしっかりした外見だった。ジャングルを彷徨う哀れな遭難者というよりは、未開の地の原住民といった様子だった。

 霧香はパルスライフルのセレクターを最弱の麻痺にセットした。

 そして木陰から抜け、男の前に立ちはだかった。あたりを警戒するように見回していた男は霧香の姿に気付き、ぎくりと立ち竦んだ。

 「こんにちわ」

 男は霧香をじっと見つめていた。

 「こんにちわ……言葉わかる?」英語で繰り返した。

 「オマエダレカ」男が妙なイントネーションの英語で言った。

 「わたしは霧香=マリオン・ホワイトラブ……タウ・ケティから来ました……」

 「ワタシハイプシロンデス……」あまり喋る機会がないのか、警戒感をあらわにしているのに丁寧な言葉遣いが奇妙だった。

 「そう……イプシロンさん……あっ待って!」

 イプシロンは突然きびすを返し、逃走した。

 「追いかけて!」

 背後で木陰から頭を出していたランドール中尉が叫んだ。

 霧香はわずかに躊躇したのち、頷いてイプシロンを追いかけた。

 相手はすばしっこかった。ジャングルを疾走するのに慣れている。しかし死に物狂いで走るのは慣れていないようだ。霧香はどんどん距離を狭めた。間もなく川に行き当たる。だがイプシロンは川の直前で小さな脇道に飛び込んだ。

 霧香はその側道に達した瞬間、地面に転がった。頭上を槍が飛び過ぎていった。男が意味不明な悪態をつくのが聞こえた。霧香は素早く立ち上がり、追跡を再開した。

 前方の藪を掻き分ける音が聞こえた。間もなく川に飛び込む音がした。霧香はススキ型植物を掻き分けて川縁に出た。

 イプシロンの気配は消えていた。

霧香は溜息を漏らした。これ以上深追いすべきではないだろう。

 相手は彼ひとりとは思えない。

 小走りで野営地にとって返した。

 「ランドール中尉」

 「いるよ」

 ランドールはふたたびサボテンに保たれていた。霧香の姿をちらりと見て言った。

 「捕まえられなかったようね」

 「あの人……何者でしょう?」

 「分からない……本当に人間だったの?」

 「間違いありません」

 「ヘンプⅢでは、ここ三世紀で百七十四人が遭難した。遺体を回収できなかったのはその一/四だわ。その半数はシャトルの爆発に巻き込まれて機体もろともメタンの海に落ちた。まさか残った遭難者の生き残り、あるいはその子孫だとは思えないけど……」ランドールは確信を欠いていた。彼女も霧香も警察官だ。この世ではなんでもあり得るという具体的な例を少なからず知っていた。

「あるいは、ヤンバーンや宇宙海賊がここを基地化していたのかもしれません」

 「そうだな、その可能性のほうが高い……」

 「しかし、彼は明らかに退行していました。成人なのに身長は五フィート四インチほど……かつては海賊の一味だったとしても、とっくの昔に遺棄された基地の生き残りですね」

 「とにかく……早いところロボットを呼んでここから移動しましょう。彼が仲間を連れて戻ってくるかもしれない」

 ランドール中尉もやはり、相手は複数だと踏んでいるようだ。彼は霧香の姿に極度な恐慌を示さなかった。ほかにも仲間がいるのだ。

 「そのほうが良いですね」


霧香がテントを畳んでいるあいだにランドール中尉がコマンドを打ち込んだ。

 「一時間ほどかかりそう。地上を這ってくるから」

 ギリギリのタイミングだった。ランドール中尉に肩を貸してゆっくり断崖の麓に辿り着くと、間もなく上のほうからなにかの気配を感じた。ロボットが三体、四本足を踏ん張って断崖を這っていた。滑らかな蜘蛛のような動きだ。地上に辿り着くと、三体は横一列に整列した。歩行モードのロボットは大型犬に似ていた。マットホワイトの胴体は高さ三フィート。全長は一〇フィートもあり、猛獣サイズだ。頭部は細長い首の先端に乗った円盤形で、ふたつのカメラアイがますます動物らしかった。文明社会から隔てられたこの場所ではじつに頼もしい姿だった。

 ランドールは汗びっしょりで辛そうだったが、へたり込むまえにロボットの指揮権を霧香の携帯端末に移していた。ホロモニターのコマンドラインを見ながら、02,03,04とナンバリングされたロボットたちに話しかけた。

 「02,ランドール中尉を抱いて谷の上に運んで。03は02を援護。04はわたしを乗せ、02と03を援護する」

 たちまち02が後ろ足で立ち上がり、人間型に変形してランドールを抱え上げた。ロボットたちは設定されなければ喋らない。候補生時代にいろいろいたずらして楽しんだものだが、ランドール中尉はお喋りモードを設定する趣味はなかったようだ。「かしこまりました」とか言う代わりに、頭のどこかでカチカチと音を鳴らし、あるいはカメラアイのあいだにアイコンを点滅させるだけだ。それでも霧香の指さすほうに頭を巡らせたり、人間の言葉を理解していることを示す動作はいろいろ仕込まれている。

 「怪我をしているから慎重に」

 言うまでもなくロボットはランドールの状態を認識していたのだが、音声コマンド可能な相手だとつい喋ってしまう。ロボットはカチカチと律儀に了解を示した。

 03が先行して断崖をよじ登り始めた。ほとんど垂直に切り立っているのに軽々と登坂していた。しばらくすると二本のザイルがするすると降りてきた。ザイルの先端が02の肩ソケットににカチリとはまり、02はそのまま引っ張り上げられた。

 04の背中にハンドルがせり上がった。霧香は04の背中にまたがった。即席のストラップを腰に回し、02の固定具に装着した。

 乗り心地がよいとは言えないが、04が動き出しても霧香の身体はまったく揺れなかった。馬と違って歩行時の揺れは足のアブゾーバーがすべて相殺する。まるで自動歩行路の上をスライド移動しているようだ。そのまま岩肌に取り付き、ロッククライミングする人間そのものの動きでよじ登り始めた。霧香はハンドルをしっかり掴み、両足を小さなステップに乗せてしがみついていた。しかしロボットは霧香の体重をものともせず、動作は人間よりずっと素早く迷いがなかった。溜息のようにかすかな動作音と岩肌をひっかく音しかせず、ちょっとシュールだ。

 断崖の中腹にへばりついていた02に追いついた。ランドールが眼下のジャングルを見渡していた。

 「見なさい、少尉」

 ランドールが指さすほうに振り返った。見渡すかぎり闇だが、遥か遠くに光点が見えた。いくつもの光点が、動いていた。たぶん篝火だろう。イプシロンが援軍を連れて戻ってきたのだ。

 「危ないところでしたね……」

 「さっき突然現れた。あのあたりに谷底からどこかに通ずるトンネルかクレバスがあるのかもしれないわ……」

 ロボットたちは寡黙だが、コマンドラインには各ロボットから送られてくるデータが明滅していた。新たな追っ手の動きもちゃんと認識しているようだ。人間がいくら気を回してみても、最大能力を発揮したメカは人間よりずっと優秀な兵士になる。まわりの動きはすべて人間より広範に感知しているし、集中力も途切れない。ただしその能力を活かせるかどうかは指揮官である人間次第だ。

 ロボットたちが登りを再開したのでふたりは黙った。みたところ、追っ手はまだ半マイル離れていた。あの距離、しかもジャングルの闇では、崖を登る霧香たちには気付かないだろう。

 やがて霧香たちは崖を登り終えた。降りる際のバカ騒ぎを考えるとじつに呆気なかった。

 先に登り終えていたランドールは、さっそく外界にコンタクトを試みていた。だがむやみに電波をばらまいてはいない。03の背中からパラボラアンテナが生えていた。指向性のバースト通信を送るつもりなのだ。とりあえず一方的にこちらの状況を伝えてみる、ということだ。簡潔に状況をまとめたランドールは送信ボタンを押し、録音を宇宙に送り出した。

 「さて……どうしよう……」

 「どこかで休まないと」

 霧香はまわりを見渡した。暗いが平坦な地面が続いているようだ。「断崖沿いに、追っ手が現れたほうに移動しましょう。彼らの動きを見下ろせる場所にテントを設営して……わたしは歩哨について彼らを見張ります」

 「そうね……」ランドールは気だるげな口調で同意した。だいぶ疲労している。


 半マイルほど移動すると水流の音が聞こえた。川が谷底に流れ込み、滝になっていた。岩石を頂いた円錐状の小山がいくつも並んでいる奇妙な地形だ。視界は効かないがそのぶんはロボットのセンサーに期待できそうだ。霧香はテントを張り。02が器用に腰を屈めてランドールを中に納めた。彼女はすでに眠っていた。ハンドタオルで口を覆っている。そういえばここはもう上の世界、ひどく臭いのだ。


 夜明け前に雨が降り出した。ひどい土砂降りだった。

 ロボットの背中の収納庫にはいろいろな道具が納められていた。その中に一五フィート四方のポリマーシートがあったので、霧香はそのシートでサボテンのあいだに天幕を張った。信じられないような激しい豪雨で、大粒の雨だれがテントを叩きつける音がすさまじく、会話する気になれないほどだ。あたりの様子も霞んでほとんど分からない。天幕のおかげでようやくいくらか雨音が遠のき、一息つくことができた。

 予備の医療パッドもあったので、ランドールの太腿と脇腹にあてがった。

 本格的な低気圧が到来したようで、あたりの気温が急激に低下していた。いまでは霧香もロボットの中から見つけた野戦ポンチョにくるまっていた。外で作業したついでに素っ裸になり、自然のシャワーを浴びた。GPDのコスモストリングはビキニスタイルでほとんど裸同然だが、こうした激しい雨だとリフレクション型フォースフィールドが働いてしまうので、装着したままではろくに濡れないのだ。危険行為なうえに土壌も汚染してしまうだろうが、もう半分ヤケになっていた。どうせほかにも大勢人間がいるのだ。異世界であれ雨は大気中で凝縮した水分だ。ヘンプⅢ独自のバクテリア類を比較的含んでいないはずだった。少なくとも見た目だけは旅の汚れを洗い落としてスッキリしたが、おかげで身体はすっかり冷えた。

 川は濁流に変わり、近寄るのは危険だ。しかし……霧香は豪雨の続く空を見て皮肉っぽく思った。水には事欠かない……。

 ランドールもほとんど裸になって保温シートにくるまり、楽な姿勢で横たわっていた。ようやく寝返りを打てるほど回復したので、満喫しているようだ。テントは密閉式ではないが大気濾過フィルターを備えているため、においも最小限に抑えていた。テントの材質そのものが一種のふいごで、肺のように収縮を繰り返して外の空気を取り込み、内部を外より高い気圧に保っている。

 歩哨はロボットに任せ、ふたりはすることもなく天候の回復を待ち続けた。

 やがてランドールがふと呟いた。

 「残りの一体のロボット……05はどうしたかな……」

 霧香はさっそくコマンドラインをあらため、シグナルを送ってみた。間もなく05から応答があった。

 「あら、まだ健在だ!」

 囮に使い、もう撃墜されたと思い込んでいたのだ。短い暗号通信が交わされ、05は大量のデータを送ってきた。やはりなにかと戦ったらしい。データにはガンカメラが記録した交戦の様子が含まれていた。紡錘形の飛行物体とすれ違い、その際に銃撃されていた。

 しかし今回は05も戦闘モードに切り替えていたため、一方的にやられてはいない。敵メカの二体をレーザーで切り裂き、もう一体を捕まえ、金属の腕で叩き潰していた。05は腕と背中にダメージを受け、いまは水中に隠れて自己修復中だった。移動も子細に記録されていた。10マイルあまりを飛び回り、相手が飛来する方向もレーダーでしっかり記憶していた。

 「暴れ回ったらしいわね」

 「呼び寄せますか?」

 「いえ……このまま囮役になってもらいましょう。そしてわたしたちとオンタリオステーションの通信を中継してもらう」

 「なるほど……05に定期的にバースト通信を送信させるわけですね」

 霧香はマップをじっと眺め、05の現在位置に気付いた。

 「あら……05の位置ですけど、わたしの墜落現場から三マイルも離れていませんね……」

 「シャトル……プラネットピース一味ね」

 「05をそこに行かせて様子を探らせたいんですが」

 「そうね。かれらが無事なら、ロボットをもう一体か二体寄こしてここに連れてきてもいいでしょう」

 「それではさっそく」

 霧香は複雑な指令を打ち込み、05を再起動させた。


 一五分ほど経過すると、05がまた応答した。

 どうやらシャトルを見つけたらしい。カメラはシャトルの百ヤードほど手前からその姿を捕らえていた。あたりに動きはない。見たところシャトルは外観を失っていた。切り刻まれ、ランドールのフローバイク同様中身を持ち去られている。05をさらに近づけ、あたりの様子を探らせた。残骸は周囲に散らばっていたが、サリーとタンクの姿、あるいはその遺体の痕跡も見あたらなかった。

 周囲を捜索したがなにも見つからなかった。霧香は05に待機を命じた。

 「逃げたのか、あのメカに捕まってどこかに連れ去られたのか……」

 「あいつらはなんで機械類を物色するのかしら?」

 「仲間のために必要なのでは?ここでは金属は貴重だから」

 「そんなところか……」

 「あのメカや人間たちは、どうしていままで発見されなかったんですかね?」

 「さあね……だけどヘンプⅢはずっと立ち入り禁止で、フィールドワークできなかった。研究の多くは軌道上の観測衛星と、たまに送り込まれるドローンの情報だけに限られていた。研究者はせいぜい百人か、その程度。それでは惑星ひとつを精査するにはじゅうぶんとは言えないでしょう……地球だってあらかた探検し尽くすには何世紀もかかったのだから」

 おたがい惑星観察学の専門家ではなかったが、ランドールの話しはもっとものように聞こえたので霧香は頷いた。

 上陸してからは暇な時間が増えた。暇つぶしのために、オンタリオステーションの国連データベースからダウンロードした記録を読み耽っていた。今度冒険に出掛けるときは携帯端末に小説でも入れておこうと思った。

 国連のブレント・パワリーから渡されたデータと掛け合わせてみると、いろいろと興味深い符号が垣間見えてきた。霧香はデータベースを読み込んで判明したことを聞かせた。

 「あらためて記録を見ると、ヘンプⅢで事故に遭遇する率はとても高いんですよ。ケースひとつひとつの間が開いていたから、誰もそれぞれのケースに関連があるとは思わなかったんですね……」

 「気の長い分析システムに調べさせていれば、パターンに気付いていたかもしれないのね……」

そうしたことが積み重なり、巡り巡って、研究者でさえない霧香たちが多くを発見するに至った。やっぱり調査ってのは直接現地に赴かなければままならないのね……霧香は皮肉な気分で思った。

 すでに未知のメカの存在やその他の状況は上に知らされ、いまごろステーションは大騒ぎだろう。救援してもらうには充分すぎる船が押しかけてくるかもしれない。ただし軌道上で攻撃される可能性も知らせたので、直ちにとはいかないかもしれないが……。


 まる一日じゅう降り続いた末に雨が止んだ。夜明けとともに目を覚ました霧香たちは、周囲が様変わりしていることに気付いて驚いた。テントは膝くらいの高さに伸びた草むらに埋没していた。たった数時間で発芽成長したらしい。ひょろりとした蔓草が一斉に芽吹いたのだ。

 それだけではなかった。テントのまわりにいくつも立っている岩石を頂きに据えた小山――高さ二〇フィートくらいのモニュメント――地質学的な形状に過ぎないと思っていたそれが変化していた。頂の岩石が棘だらけの塊に変化していたのだ。

 「植物だったのね……」

 豪雨によって岩のような擬態が剥がれたのか、理由は分からないが急激な変化だった。

 「まずい」霧香は呟いた。「あのとげとげの塊は……ヘンプⅢ特有の爆発性伝播種子なんじゃありませんか……?」

 「そうだ!」ランドールも驚愕して叫んだ。種子の塊はいまにも弾けそうに見えた。

 「どこか待避場所を探さないと……」

 遠くのほうでボカンという破裂音が響き渡った。始まってしまったようだ。

 「ロボットを呼び寄せます!三体でテントのまわりを囲わせて、しのぎましょう」

 それからしばらくにぎやかだった。

 巨大な種子が断続的に弾け、あたりは騒然とした。ロボットたちはテントに覆い被さり、周囲の爆発現象から霧香たちを護っている。間近の種子が弾ける音は本物の砲撃かなにかのように凄まじかった。衝撃波が大気を伝わり、地面を揺るがしている。ロボットのボディにいくつもの種が当たっていた。霧香たちは身体を丸めて頭を両腕で覆い、なんとか弾に当たらないよう祈り続けるしかなかった。

 爆発は十分ほど続き、やがてあたりに静寂が戻った。それでも霧香たちはじっとしていた。さらに十分後、ようやく騒ぎが終わったと判断して霧香は立ち上がった。耳がどうかなっていた。頭を振ったが、爆発の残響が耳から抜けない。

 たったひとつだけ、種がロボットたちのあいだをすり抜けてテントを突き破っていた。ちょっとした砲弾のような塊が転がっていた。タケノコに似ているが、根本には白い触手が生え、弱々しく蠢いていた。植物というよりは動物のようだ。気味が悪いので拾い上げてテントの外に放り出した。するとタケノコ型種子の根本が地面を探り、驚くべき活発さで根を延ばし始めた。あっという間に地面に直立して根を張ってしまった。

霧香の脇で種子が根を張る様子を見ていたランドールが、気の抜けた声で言った。

 「けっこう可愛いじゃない」

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