兎を得て罠を忘れる
俺は稲荷 社。
この場を借りて俺の昔話をしたいと思う。
俺が憧れてたのは学園のアイドルこと野原 兎紀。
容姿端麗、成績優秀、まさにアイドルと称されるに相応しい存在だ。
アイドルはやっぱりモテるもんで、俺にはライバルが山程いる。
だから友達の海狸 瑠璃に助けを求めたんだ。
*
「るりー、どうやったらアイツの気を引けるんだ?」
放課後の教室で2人で机を向かい合わせながら問う。
ちょっと唐突すぎたかも。
「どうやってって言われても…」
持っていたシャーペンの動きを止めて俺に目を向ける。
表情が若干暗い気がするけど気のせいだよな?
「プレゼントとかか⁈」
思いついたものを適当にあげてみる。
プレゼントなら貰って嫌な奴なんていないはずだし、結構いい案かも。
「いきなり貰っても怪しいだけだよ」
「んんんー」
なかなか難しいもんだ。
いきなり告ってももフられるだけだしどうすりゃいいんだ?
「いきなり馴れ馴れしいのもアレだから友達から始めれば?」
友達からっつったら相当道のりが遠くないか?
でも、瑠璃が言うなら間違いないか。
「うっし、それでやってみる」
新たな決意を胸に椅子から立ち上がる。
目指すはリア充!
手始めにまずは友達に!