プロローグ
ここは異世界ハイジン。
現代では失われた秘宝。魔法が存在している世界。
そんな世界に住んでいる俺の職業は獣使い。魔力を持った獣・・・いわゆる魔物と呼ばれるものをテイムして従者として使う職業なのだが・・・。
つい最近現れた新大陸を仲間とともに散策している最中だ。
「ハジメさん、そっちにMOBいますけど（汗」
「あぁ、大丈夫。ほらよ」
孫麗ハジメと表記されたキャラクターがチャットしながら、持っている鞭で魔物を軽くたたく。
それだけでMOBは消え去り、Goldを落としていく。
「さすがハジメさん♪」
「こんくらいたいしたことないだろｗｗｗｗ」
「いやいやｗそれでたいしたことないなら俺たちみんな使えないキャラしかもってないからｗ」
自分の能力は全部限界値を迎えている。
わかりやすく言うとステータスが9999の状態でSTOPしているのだ。
テイムしたMOBを使うことなくただ殴るだけでカンスト！
そう、俺は【ネトゲ廃人】と呼ばれる生物。
「じゃあそろそろ落ちますねｗ」
「じゃあ俺も飯るかなｗ おつりんちょ☆」
そんな感じでチャットをやりとりし終わると、ディスプレイを消した。
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そんでこちらがリアル＜現実＞と呼ばれる、実に面白くもなんともない世界。
街から出たらMOBが襲ってくるわけでも魔法があるわけでもない。
ただ人間という種族が存在し、支配している世界。
「あ～ぁ。なんとかしてこのでぃすぷれいなるものの中に入る手段はないものかね。」
狭い枠取りの部屋のなかで1人でぽつんとぼやく。
別段、ごみが落ちているわけでもなく、洗濯物やらがちらかってるわけでもないこの部屋だが、他人が見たら必ず汚いと思われるオーラをまとった部屋。
壁中に張られた人気オンラインＲＰＧ「呪われた旅人」のポスター。
デスクトップPCとベッドの上に放り出されたノート型PC。
そして本棚にびっしりと並べてあるゲームとその攻略本たち。
「呪われた旅人」通称【呪旅】は現在3億人以上が登録する全世界規模のオンラインゲーム。
日本でのサービス開始から7年の時がたった今でも登録者は増えている。
そんなこのゲームではハジメのような廃人は珍しくもない。
「そういえば、そろそろ課金切れるな。早めに補充しとくか！」
