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東方~青狼伝~  作者: 白夜
永夜抄編
75/112

Stage5


 地上の兎と月の兎。似ている様で違う彼女達は互いをどう思い、過ごしているのか。

 それは本人達さえまだ気づいていなかった。



 


Stage5


『穢き世の美しき檻』


丑の二つ~AM1:30~


BGM「シンデレラケージ~Kagome‐Kagome」



◇◇◇◇◇◇




 永遠亭──それは迷いの竹林の奥深くに建つ屋敷であり、永遠の姫である蓬莱山輝夜とその従者である八意永琳、さらに彼女達の友人である藤原妹紅が住んでいる。

 他にも因幡てゐをリーダーとした妖怪兎達と、十数年前にやって来た月の兎である鈴仙・優曇華院・イナバも一緒に暮らしている。


 鈴仙は月の兎だが、度重なる月での戦いの訓練や実際の戦いに疲れ、永琳を頼って地上へと降りてきた。

 その時、永琳からは“優曇華院”という呼び名を、輝夜からは“イナバ”という名をもらったのである。


 彼女は争いが少なく、静かに生活できる幻想郷の暮らしを大変気に入っている。そのため、師匠と呼ぶ永琳の指示の下、侵入者の迎撃にあたっていたのだが……。



「……せん、鈴仙」


「……うっ」



 肩を揺さ振られ、鈴仙は瞼を開く。

 目の前には永遠亭で共に暮らす妖怪兎のリーダーである因幡てゐの顔があった。



「……てゐ?」


「よし、起きたね。流石にあんたじゃあの二人の相手はきつかっただろう。……まぁ、時間稼ぎができれば御の字だったんだ。大した怪我も無くてよかったさね」



 てゐは頭にある白い兎の耳をふりふりと揺らしながら鈴仙に手を貸して立ち上がらせる。

 鈴仙は立ち上がると、自身の状態を確認する。


 全身が痛むが大した怪我はない。侵入者の二人組は師匠である永琳を追いかけて罠である偽の廊下へと飛んで行ったようだ。

 鈴仙はふぅ、と息を吐くと、近くの柱に体を預けて深呼吸をした。

 この屋敷で匿っている輝夜の存在を敵に知られる訳にはいかない。だから永琳は結界を使って全ての部屋を封印。自らを囮として霊夢と紫を罠である偽の通路へと誘い込ませた。

 鈴仙に課せられていたのは封印が完全に終わるまでの時間稼ぎであり、侵入者の撃退ではなかった。

 任務は無事に完了。鈴仙は紅い目を細めると安堵の息を吐く。


 だが次の瞬間、彼女の目は驚愕に見開かれる事になる。



「あら、やっとまともに話せそうな奴らがいたわね」



 鈴仙が声のした方へと顔を向ける。


 そこにはどちらも青い服を着た二人の少女がいた。


 すぐさま体を預けていた柱から離れると、右手を侵入者二人へと向ける。

 紅い目に力を込めながら何時でも迎撃できる様にした。



「貴女達は誰!?」



 侵入者の二人──桜花とチルノは鈴仙の声に小さく微笑みだけを返すと、てゐへと視線を向けた。



「久しぶりね、てゐ。元気にしてた?」


「アタシを誰だと思ってるのさ。健康だけには自信があるよ」


「ふふ……それもそうね」



 てゐと親しく話す桜花に二人の間柄を知らない鈴仙は困惑するが、侵入者である事には変わりないと再び構え直す。



「貴女達、此処へ何をしに来たの?」


「異変を解決しに来たんだよ」



 鈴仙の問いに桜花の横で黙っていたチルノが答える。

 先程の二人と同じ目的であるならば鈴仙がとるべき行動は時間稼ぎである。

 しかし、永琳は先に侵入した二人が戦闘中である。こうなると鈴仙がとるべき行動はおのずと“迎撃”となる。


 鈴仙は自らの赤い目で周囲の空間の光の波長を歪めた。

 急に周りの景色が歪んで見え始めた事にチルノが戦闘体勢に入る。

 しかし、剣を握りしめた瞬間、桜花が一歩前に出る。



「──ふっ」



 小さく息を吐きながら右手を左から右へと振り掃う様に動かす。

 その瞬間、周りの景色は一瞬で元に戻った。



「──なっ!?」



 鈴仙は驚愕する。


 彼女の『狂気を操る程度の能力』は様々な波長を操り、周囲の景色を歪めたり、特定の物を見えなくしたり、触れなくする事ができる。それこそ、人の波長を操り狂わせたりすることもできるのだ。

 しかし、目の前の青い女性はそれを腕を振るだけで正常に戻した。鈴仙の頬を一筋の汗が伝う。

 クスリと笑う桜花の蒼い瞳と視線が交わる。鈴仙は有りったけの力を込めて桜花の波長を掻き乱した。

 鈴仙の赤い瞳は視線を合わせるだけで人を狂わせてしまう。


 その赤い瞳と蒼い瞳が交際した瞬間────鈴仙はその場に倒れ込んでいた。



「───は?」



 おかしい、と鈴仙は思った。


 何故自分は倒れているのだろう、と思考する前に彼女の視界一杯に青い色が広がる。

 顔を上げると、こちらを見下ろす蒼い瞳があった。



「──ひっ!?」



 その瞬間、ぞわりと全身を冷たい感覚が通り抜けた。

 思わず息をする事さえ忘れてガタガタと震える身体を抱きしめる。


 目の前に立つ女性から感じるのは間違いなく殺気だった。

 しかも彼女はかなり離れた場所に立っていた筈だ。なのに目の前にいる。これは一体どういう事なのか、と鈴仙は頭の隅で思った。

 相変わらず身体は震えたままで視線も桜花に固定されたまま動かせない。


 しかし、突然今度は視界が薄いピンク色に染まった。


 数秒経ってそれがてゐの服であると気づいた鈴仙は忘れていた呼吸を再開する。



「……う、げほっ……はぁ、はぁ……」


「鈴仙、しっかりしな」



 何時もと違って低いてゐの声に顔を上げると、桜花から鈴仙を庇う様に立つてゐの後ろ姿があった。



「……て、てゐ?」


「しっかりしな、鈴仙。あんたが狂わされてどうするの」


「──え?」



 ハッとして視線を前に戻すと、最初と変わらない位置に桜花とチルノは立っていた。



「あ、あれ……なんで……?」


「桜花の力は拒絶なんだ。波長を乱してもすぐに拒絶されて無理矢理正しい波長にもどされる。今、鈴仙の能力は反射されて鈴仙に帰ってきたんだよ」



 じゃあ、と鈴仙は桜花へと視線を向ける。

 桜花は最初と変わらず微笑みながら鈴仙を見ていた。



“──勝てない”



 鈴仙が息を呑んだ瞬間、てゐが鈴仙の前に出る様に歩き出す。



「ちょ、ちょっとてゐ!?」


「鈴仙、姫様達に桜花が来たって伝えてくれるかい?」


「はぁ!?あんた、何考えて──」



 そこまで言った瞬間、てゐから大量の妖力が溢れ出した。



「──っ!?」



「大丈夫、アタシは平気だよ。桜花は悪い奴じゃないから。ただ─────久しぶりに本気で暴れてみたいだけなのさ」



 笑顔でそう言うと、てゐはその場で小さく跳躍する。

 そして、その小さな跳躍に合わせて津波の様な弾幕が一斉に現れた。



 鈴仙は呆然とその光景を見ていた。

 津波の如く桜花とチルノを飲み込んだ弾幕は左右の結界を張った襖に添って廊下の向こうへと消えて行った。


 一拍置いてからてゐが廊下に着地する。



「鈴仙、何してるのさ。早く行きなよ」


「──え……あ、うん」



 てゐの言葉に素直に頷くと、鈴仙は輝夜のいる部屋へと向かって飛び立った。

 ふと、月から逃げ出した時を思い出した。怖くて、仲間を置いて逃げ出したあの時の悔しさを。

 思わず振り返った彼女が見たのは、自分より小さい筈なのに、やけに大きく見えるてゐの背中だった。



◇◇◇◇◇◇



 

‐桜花Side‐



「あいたたた……チルノ、大丈夫?」


「ん、大丈夫。剣を盾にしたから」



 私達はてゐの弾幕に押し流される形で今通ってきた廊下を逆走した。

 てゐの本気を見た事はないが、恐らくは私が考えている以上の力を持っているのかもしれない。


 咄嗟に張った結界と、チルノの大剣のおかげで吹き飛ばされはしたものの、こうして無傷でいられたのは幸いだろう。

 ……まぁ、ちょっと柱に頭をぶつけたりしたけど。


 体勢を立て直した私達は再び廊下を進み、てゐのもとへと帰ってきた。

 鈴仙の姿はない。恐らく輝夜達のもとに行ったのだろう。


 目の前に立つてゐは廊下を塞ぐ様に、腕を組んで仁王立をしている。

 普段の飄々とした態度は崩さず、しかしその身体から溢れ出している妖力は大妖怪にも匹敵するものになっていた。



「珍しいわね、戦いを好まない貴女が私達に真正面からぶつかってくるなんて……」


「そうかい? アタシには別に深い考えはないよ。ただの気まぐれさ」



 てゐは自分の髪を弄りながら私達へと笑いかけてくる。



 嘘だ、と心のなかで呟いた。

 彼女の行動には何か意味がある。普段は飄々として悪戯好きな性格をしているが、彼女はいつも人目につかない所でしっかりとこの竹林を守り続けている。

 そんな彼女が全力を出すということは、彼女にとってそれなりの事態に陥ったという事なのである。


 私達を悪い奴ではないと断言したところから推測すると、たぶん……個人的な事なのだろう。



「あの鈴仙っていう子が虐められたのがそんなに頭にきたの?」


「……チルノ」



 私の後に控えていたチルノがてゐへと意地悪な笑みを浮かべながら尋ねる。



「……鈴仙、か。確かに、アタシにとっては鈴仙は背伸びしたがる娘みたいな感じさ」




「そして、彼女に自分を重ねてる」


「───っ!!」




 てゐが驚愕に目を見開く。


 チルノはてゐを真っ直ぐ見詰めながら更に言葉を繋ぐ。



「鈴仙を見るあんたの瞳には寂しさと、慈愛の感情が見える。鈴仙の境遇は知らないけど、たぶん昔のあんた自身と重ねてるんじゃない?」



 私はハッとした。


 大昔から生きてきたてゐにとって仲間と言える存在がどれだけいただろうか。

 てゐは普通の動物から妖怪になった存在だ。当時の仲間だった兎達はとっくの昔に死別している筈である。

 それからの彼女はどれだけ孤独だったのだろうか。


 てゐがもし神話の因幡の素兎と同一の存在であるならば、彼女は途方もない時間を一人で過ごした経験がある事になる。

 この世界の時間軸がおかしいため、詳しい事は解らない。しかし、彼女が歩んできた道は険しく、途方もないのは確かである。

 生まれてすぐにチルノと出会った私はとても幸運と思える。



「は、ははは……あはははは!!」



 てゐはどこか納得した様に満足げに頷くと、大声で笑い出した。

 まるで難題を解き明かしてすっきりとしたかの様に、満面の笑顔だった。



「あぁ、そうか……ははは……鈴仙に感じていた違和感の正体がそれか……成る程、確かに的を得てるね」



 てゐは目元に浮かんでいた涙を拭うと、無邪気に微笑んでみせた。



「鈴仙はね、月に住んでいた兎さ。地上の人間が月にやって来る事を知った時、怖くなって仲間を置いて逃げ出してきたんだよ。

 今もたまに夢に見るらしくてね、時々夜にうなされてる時もある」



 だけど、とてゐは人参の形をした首飾りを顔の前に持ち上げる。



「なんでかな、アタシも最初はアタシ達を見下してた事に腹を立てたのに、改めて考えるとただの強がりだってわかってね。昔のアタシみたいだったよ。今は表向きは鈴仙の部下って事で適当に悪戯しつつ困らせてるよ。あの子も、そんなアタシに注意しながらだいぶ安心したみたいでね」



 そう言っててゐは目を細める。

 先程の無邪気な笑いと違い、妙に大人びた笑い方だった。



「鈴仙は私にとって相棒であり、上司であり、同時に家族でもあるのよ。そんなあの子を怖がらせたんだもの、少しは怒らなきゃ私の気が治まらないわ」



 口調が変わり、同時に妖力も更に大きくなる。

 しかし、てゐの妖力は普通の妖怪兎とは違う。そう、若干透明な感じがしてとても心地好い。

 まるで私と同じ神力の様に……。


 そうだ、神話の因幡の素兎は最終的には神格を得て兎神となっている。



「これは参ったわ……まさか、私と御同業だなんて」


「そうでもないわ。私は大国主様に命を救われ、幸運を分けて予言をしただけの間柄。それが広まっただけの存在だもの。貴女のように大それた事はしてないわ」


「そう……あくまでも静かに暮らす事を望むのね?」


「そうさね、鈴仙やお師匠様の前だけでは、ただの妖怪兎でいたいのさ、アタシはね」



 そう笑って、再び子供らしい雰囲気に戻ったてゐはスペルカードを取り出しながら笑うのだった。



◇◇◇◇◇◇



‐SideOut‐



BGM『東方妖怪小町』





「エンシェントデューパー」



 スペルの宣言と同時にてゐは両手を広げる。

 そこから桜花とチルノを挟む様にして真っ赤なレーザーが放たれる。

それはまるで壁の様に二人を閉じ込めた。

 次に壁の外側には鋭い弾幕がまるで牙の様に並び始める。



「あんた達は海を見た事があるかい?」



 てゐは広げた両手を降ろしながらそう言った。



「海は広いよ。どうしようもないくらいに広い。アタシはちょいと近くにいた奴を騙して海を渡ったんだ。……まぁ、詰めを誤ったけどね」



 桜花とチルノはいつ攻撃が来てもいいように身構える。



「そのイメージから作ったスペルだ。精々アタシみたいに噛み付かれない事だね!!」



 



◇◇◇◇◇◇



 鈴仙は急いで廊下を戻っていた。


 輝夜に報告を終えた彼女は急いでてゐが戦っているであろう場所へと向かっていた。


 あの後、どうしてもてゐの事が心配になった鈴仙は輝夜の言葉も聞かぬままに走り出していた。

 あの時、何故か自分よりも広くて力強く見えた彼女の背中が忘れられなくて、鈴仙は息が切れるのも構わず走った。


 走って、走って、走って──



 ようやくたどり着いたあの廊下で鈴仙が見たものは──床に倒れているてゐの姿だった。



「──てゐ!!」



 急いでてゐへと駆け寄って体を起こす。

 多少傷を負っているが呼吸も安定している。どうやら気絶しているようだ。


 鈴仙はホッと安堵の息を吐くと、辺りを見回す。

 襖の一つが開いていて、結界も解かれている。どうやらあの二人は鈴仙とは別の道から輝夜達の元へと向かった様だ。



「──ぅ、鈴仙?」



 自らを呼ぶてゐの声に我に返ると、すぐさまてゐの顔を覗き込む。



「てゐ、大丈夫!? どこか痛い所とかない!?」


「──ぅぁ、強いて言うなら耳かな。……鈴仙、心配してくれるのは嬉しいけど、耳元で叫ばないでくれるかい」


「……ぇ、ぁ、ご、ごめんなさい」



 てゐはふぅ、と息を吐くと起こしていた体を再び倒す。丁度頭の位置に鈴仙の脚があって膝枕の体勢になった。



「ちょ、ちょっとてゐ!?」


「あぁ、もう煩いな。アタシは疲れたんだ、少し休ませてくれたっていいだろう?」


「……もぅ、仕方ないわね」



 それから数十秒の間、お互いに沈黙が続く。


 それを破ったのは、鈴仙だった。



「──ねぇ、てゐ?」


「……何さ」


「てゐは……私がもし、あなたを置いて逃げ出したりしたら……どう思う?」


「………」



 その問いに、てゐは目を閉じたまま答えない。



「私ってここぞという時にばかり足を引っ張ってるじゃない。今回もあなたに言われたとはいえ、侵入者二人をてゐ一人に任せて私は逃げてしまった。

 ……月にいた頃だってそうよ。私は豊姫様達の直属の部下で……他の兎達とは違うんだって思ってた。なのに、いざ敵が現れたら誰よりも早く逃げ出した」



 鈴仙の顔は見えないけれど、きっと泣いてるんだろう、とてゐは思った。



「ねぇ、てゐ。私のした事って許されるのかな。私、間違った事してるのかな。私、もう……わからないよ」



 ぽたぽたと、てゐの頬に水滴が落ちる。それが酷く冷たい気がして、思わずてゐは身震いした。



「鈴仙、泣いてるのかい?」



 そっと手を伸ばして鈴仙の頬を撫でる。

 鈴仙はその手を嫌がろうともせず、ただ受け入れた。



「……本当はね、怖かったのよ。一度でも楽しい関係を築いてしまったら……何かあった時、また逃げ出してしまってまた孤独になっちゃうんじゃないかって。卑怯者とか、裏切り者って言われるんじゃないかって……」


「……鈴仙」


「私は、私は……」


「大丈夫さ、鈴仙は卑怯者でもなければ裏切り者でもないよ」



 でも、と鈴仙が言う前にてゐが人差し指で彼女の言葉を制す。



「鈴仙はいい奴だよ。だって、アタシを心配してここまで戻って来てくれたじゃないか」


「……ぁ」



 てゐは目を開くと鈴仙の瞳を見つめる。

 鈴仙の紅い瞳と、てゐの赤い瞳が互いを見つめている。



「──ぁ、ダメよてゐ。私の目を見たら……」


「平気よ。私は狂わないわ」


「……てゐ?」



 口調の変わった事に戸惑う鈴仙へと微笑みながらてゐは体を起こす。



「鈴仙、私は貴女にとってどんな存在?」


「──ぇ? ぁ、て、てゐは私にとって……その、部下で……友達で……」


「うん、それならいつもみたいにしてればいいのよ。“こら、てゐ!!”……ってね」



 てゐは立ち上がると鈴仙に手を差し出す。



「鈴仙は誰が何と言おうとアタシの親友であり、上司なんだから。だから……堂々としてればいいのさ」


「───うん」



 差し出された手を握りしめて、鈴仙もまた立ち上がる。



「さて、とりあえずお師匠様の所に行こうかね。くたくただからもう寝たいところだけど」


「そうね、確かにてゐの言う通りだわ」



 二人は並んで永琳がいる方の廊下を進んでいく。

 その背中はどこか清々しい雰囲気を醸し出していた。


 そう、これは──



「ねぇ、鈴仙。今日は一緒に寝ないかい?」


「……はぁ?いきなりどうしたのよ」


「いや、ちょいと昔の事を思い出してね。どこか寂しい気分なのさ。……ほら、よく言うだろう? “兎は寂しいと死ぬ”ってさ」


「何よそれ。もぅ…………今日だけだからね」




 ──これからずっと続いていく二人の関係のほんの一部。




◇◇◇◇◇◇



Stage Clear!!



 少女祈祷中……




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