Prologue
ここは、時間の止まった場所。そして繰り返す歴史。
彼女もまた、幻想郷にいた。
(※原作、東方永夜抄より……)
暑い夏も終わりに近づいてきた。
蝉の鳴き声が鈴虫の鳴き声に変わり始めた頃、それは起こった。
最近は夜になれば気温もだいぶ涼しくなり、妖怪も人間も快適な生活をおくっていた。
……そう、おくっていたのだ。
いつも通り平和だった。
少なくとも、人間にはそう見えていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇
幻想郷の東の端──そこにある神社の屋根の上に、一人の少女が立っていた。
真っ暗な夜を照らす月を見上げながら、真っ青な少女はゆっくりと溜め息をつく。
まだ、霊夢は異変に気づいていない。
仕方ないと言えばそうかもしれない。何故ならば、今回の異変は人間にはあまり影響がないからだ。
そろそろ我慢ができなくなった“彼女”が霊夢を急かしにやって来る筈だ。
「彼女が来たら、私も出発するとしよう」と、彼女は夜空に浮かぶ月を眺める。
本来ならば満月が浮かんでいる筈の夜空には──“少しだけ欠けた満月”があった。
夜に活動する妖怪達にとって、あの月は意味のないものだった。
あの“偽物”の月からは全く力を得られない。
無論、それは元が妖獣の彼女とて例外ではない。
彼女──桜花は腕組みしたまま静かに相棒の到着を待っていた。
今回は相手が相手だけに、一人では負けなくとも少々手こずる可能性がある。
それならば、勝率を上げる為にはどうすればいいか……。
答えは単純。一人で行かなければいいのだ。
腕組みしていた桜花は、彼女の気配を感じて屋根から下の縁側を覗き込む。
そこにいたのは境界を操る妖怪。幻想郷の管理者。隙間の妖怪──八雲紫。
彼女は霊夢を神社から引っ張り出すと、二言三言言葉を交わし、直ぐに二人で夜空へと飛び立っていった。
それを見送ると、桜花は背後に感じる気配に振り返る。
「よし、じゃあ私達も行ましょうか」
背後に浮かぶのは巨大な剣を背負った少女。
背中には透き通る六枚の羽。頭には黒いリボン。
氷の妖精──チルノは笑顔で頷くと、桜花に手を差し出す。
それを優しく握ると、二人は紫と霊夢を追いかけて夜空へと飛び立った。
◇◇◇◇◇◇
遠い昔、幻想郷に三人の人間がやって来た。
歴史に埋もれ、最早物語の中でしか語られない少女達。しかし──
──彼女達もまた、幻想郷にいた。
◇◇◇◇◇◇◇
東方永夜抄~Imperishable Night.~
・人と妖怪を選択の刻
『永遠の桜吹雪チーム』
特殊能力・アイテムが画面下で停止し、画面外に出ていかない。
・人間側(妖精)
「氷精・チルノ」
移動速度・速
特技・剣を使い敵の弾幕を消す事ができる。
ショット・氷針
『スペルカード』
冷符「パーフェクトフリーズ~ADVENT~」
画面内の弾幕を全て凍らせて破裂させる。威力は低い。
『ラストスペル』
「超⑨武神覇斬~vel.5」
画面内の全ての弾幕を凍らせ、同時に前進しつつ何度も切り刻む。威力は高い。
・妖怪側
「守り神・鈴音桜花」
移動速度・遅
特技・妖怪側でも敵の使い魔を破壊できる。
ショット・妖力槍
使い魔・ホーミングアミュレット
『スペルカード』
縛符「束縛のグレイプニール」
画面中央を六つの光弾で囲み、爆発させる。威力が高いが、範囲が限定されていてムラがある。
『ラストスペル』
「瞬狼幻想」
画面内を縦横無尽に駆け巡りつつ攻撃する。ダメージは画面内ならどこにいても受けるので使いやすく、威力も高い。
少女祈祷中……