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東方~青狼伝~  作者: 白夜
幕間
69/112

夢現1


 死ぬ事よりも、忘れ去られる事の方が恐ろしい。



 





 ──夢。



 ──私は、夢を見ている。



 ──それは、とても懐かしい夢。



 ──人と、妖怪と、魔法使い。



 ──吸血鬼と、亡霊と、鬼。



 ──蓬莱人と、死神と、閻魔。



 ──現人神と、神々と、天人。



 ──半獣と、妖獣と、神霊。



 ──人と、人ならざる少女達が、笑っている。







 でも、何故──




 ──私はそこにいないのだろう?







◇◇◇夢現◇◇◇







 ──私は、見ていた。



 ──誰にも知られず、誰にも気付かれず。



 ──臆病な私は



 ──ただ、見ているしかできなかった。



 ──滅んでいく世界を



 ──倒れる者達を



 ──そして、私の大切な恋人を








 ──そして、






 世界が一つ、拒絶された。






 拒絶された世界は0へと還り、新しく1から生み出された。


 新しく生まれた世界は限りなく同じ道を辿った。


 しかし、決して同じではない未来へ向かって。


 私の理想だった未来へ向けて、ゆっくりと、世界は歩き続ける。


 闇色の私は光に憧れ、それを掴もうと手を伸ばした。


 限りなく広がる空の蒼さに憧れて、必死に、ただ──求め続けた。






 そして、私は──限りなく光に近づけた。


 今度は、きっと大丈夫。


 私は自分を彩れる。


 青い、蒼い、もう一人の私と、今度こそ──。





 私の夢を──(うつつ)に変えるために。





◇◇◇◇◇◇





「──ぅ、ん」



 襖の隙間から入る光で、私は目を覚ました。

 まだ朝日が昇ったばかりで、夏だというのに少しひんやりとした空気が辺りを漂っている。



「……私、は」



 はて、さっきまで何か……そう、とても大切な夢を見ていた気がする。

 とても大切な筈なのに──思い出せない。


 思わず額に手を当てて軽く首を振る。

 昨日までと違い、軽くなった髪が首の動きに合わせてサラサラと靡く。



「お~い、姉さん。朝ご飯だよ~」



 襖の向こうから自分と同じ声に呼ばれて我に返る。

 気がつけば数十分も考え込んでいたらしい。



「えぇ……今行くわ」



 布団から起き上がり、襖を開ける。

 こちらに振り返るもう一人の私と博麗の少女。



「ほらほら、早く食べないと冷めちゃうよ、彩花!!」


「……えぇ、そうね」



 思い出せないなら、無理に思い出さない方がいいのだろう。

 とても大切な夢だけど、その夢は──





 どこか、私を拒絶している様に感じたから。







 ~夢現2へ続く。



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