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東方~青狼伝~  作者: 白夜
オリジナル異変
57/112

Stage3


「ふふ…どうやら、立ち直ったみたいだね」


 先程まで立ち上っていた気配が消えたのを感じ、桜花は微笑む。


「うん、第一段階は合格かな?」


 桜花の隣でリンも微笑んだ。


「ルーミアにはお礼を言わなきゃね」


「そうだね…『彼女』を次の相手にするところまでやってくれたし」


 二人は笑い合いながら霊夢の到着を待つ──




 

Stage3


『天魔襲来』










‐霊夢Side‐



 神社でレミリアとの会話を終えた私は再び霧の湖に来ていた。

 前回来た時よりも霧は薄く、うっすらとだが対岸まで見通せる程だった。


 昼を過ぎ、沈み始めた太陽の光に目を細めながら氷精の姿を探す。

 しかし、今回も別の敵が現れる可能性もある。数時間前にルーミアに出会ったように、この湖は様々な妖怪や妖精が集まる。何故かは解らないが、今のところは大人しくしているので大目にみているが…。


 私に驚いて弾幕を撃ってくる妖精を蹴散らしながら湖の中心へと向かう。

 この湖、一見かなり広く見えるが、案外そこまで広くない。

歩いて周りを回るのに一時間程度しかかからないのだ。空を飛んで一直線に突き進めば一刻も経たずに横断できる。


 そんな霧の湖の上空を飛びながら中心部へと向かう。


「…ん?」


 湖の中心に人影が見えたのでチルノかと思い降りてみるが、そこにいたのはチルノではなく、妖怪の少女だった。


 黒い髪は腰の辺りまであり、優しげな顔は大人びた印象を受ける。着物を着こなし、腰の帯からは紅葉模様の布がふわふわと風に靡いている。

 そして、最も印象的なのが背中から生えている巨大な漆黒の翼だった。


「…貴女が今代の博麗の巫女ですね?」


 少女は紅葉のような形の大きな団扇をひらひらさせながらにっこりと微笑んだ。


「あんたは?見たところ妖怪みたいだけど…」


「私は射命丸 真矢。妖怪の山で天狗達を纏める天魔の役職を勤めています」


 天魔…幻想郷のパワーバランスを保っている妖怪の一匹だ。妖怪の山に住み、天狗達を纏め、山の妖怪達から一目おかれる存在。

 天狗達は縄張り意識が強く、侵入者には容赦しない。故に、妖怪の山は天狗達の独自の社会が築かれており、河童達との技術的同盟からその技術は幻想郷の中でも最先端を行くという。



「その天魔が一体何の用があって此処にいるのかしら?」


 私の問いに彼女はクスリと笑う。


「いやなに…どうも此処で強い力同士のぶつかり合いがあったらしくてですね。一応、調査をしようかと」


 その力の片方が自分である事に若干居心地の悪さを覚えながらも、私はそれを表情に出さない。


「ふ~ん…じゃあ、邪魔するわけにはいかないわね。…あ、そうだ、氷の妖精を見なかった?」


「氷の妖精…チルノさんのことですか?」


 私は頷いて肯定する。


 しかし、天狗の頂点に立つ天魔が妖精の名前を知っているとは……しかも『さん』付けで。


「何?あんたチルノと知り合いなの?」


「ええ、昔からの友人です」


 友人ねぇ…。


「私はそのチルノを探してるのよ。何処にいるか知らないかしら?」


 天魔は、数秒考えた後、湖の近くの森を指差した。


「たぶん、この森の中にある花畑でしょう。そこにも古い友人がいますから…。」


「そう、ありがとう」


 にっこりと笑う天魔にお礼を言うと、背を向けて移動しようと──


「まぁ、待ってください」


「…っ!?」


 突然、嫌な予感がした私は咄嗟に体を捻って無理矢理真横に飛ぶ。


 その一瞬後、私がいた場所を空気の塊が通り過ぎていた。



「ほぅ、今のを避けますか…。」


 天魔は団扇を振り抜いた体勢でニヤリと笑っていた。


「…不意打ちとは性格悪いわね。いきなり何なのよ。」


 少しばかり怒気を含んだ私の言葉に天魔は目を細める。


「…ふむ、彼女からの情報では感情に振り回されていた、と聞きましたが…。」


 背中の漆黒の翼が勢いよく広がる。


「…ふふ、どうやらこの数時間で何かあったみたいですね。……いい目をしています。」


 思わず苦笑いが出る。


 レミリアに励まされるという珍しい経験をした後だけに何も言えない。


「今なら彼女に会っても大丈夫でしょう。ただし…」


 天魔は団扇を頭上に掲げる。すると、彼女の周りに風が集まり始めた。


「…私を倒していきなさい!」




◇◇◇





 天魔が頭上に掲げた団扇を振り下ろす。すると無数の弾幕が放たれ、一直線にこちらに向かってくる。


 それに対し、こちらも札を投げつけて反撃する。アミュレットから出る追尾弾も天魔のスピードに追いつけず、効果が半減している。


「まずは小手調べよ。」


 天魔はスペルカードを取り出す。



──風符『幻想郷の春一番』



 天魔の周りに集まった弾幕が突風で全包囲にばらまかれる。

 狙いはつけず、ただ適当に弾幕を放つだけのスペル……しかし、時折吹く突風により弾幕の速度が跳ね上がる。


「…くっ!!」


 結界用の札を取り出して展開する。


「封魔陣!!」


 弾幕自体の威力は低いので結界に当たるとあっさりと消えていく。


「む…中々硬いですね」


 天魔は弾幕の量を増やすが結界は破れない。


「今度はこっちの番よ!!」


 陰陽玉をいくつか周囲に展開する。


「夢想封印・瞬!!」


 彼女のスピードに追いつくためにはこちらも素早い攻撃で攻めるしかない。


「ほう…」


 天魔は目を細めてこちらの攻撃を眺める。


 そしてこちらの攻撃に合わせて素早く回避していく。流石に簡単には当たらないと思っていたけど…まさかここまでとは思わなかった。


「ちっ…速い!!」


「中々のスピードよ。では、そろそろこちらも反撃しましょう」


 天魔は逃げ回りながら二枚目のスペルカードを取り出す。



──神風『風神招来』



 天魔が団扇を振り上げると、風が彼女へと集まり出す。


 また最初の様に風と弾幕を使った攻撃かと思い、構えをとる。

 しかし、背後から迫る気配に気付き、振り返った私は驚愕した。


 最初に放った弾幕達が風によってこちらに向かって来ていたのだ。


 慌てて回避の体勢に入るが、天魔本人からも弾幕が放たれるので挟み撃ちの形になる。


 何とか隙間をくぐり抜けて回避する。


「ふむ、では次です」


 間髪入れずに三枚目のスペルカードが発動する。



──覚醒『風神の目覚め』



 今までの中で一番強い風が生まれる。風は徐々に舞い上がり、巨大な竜巻へと姿を変えた。


 この風では普通の弾幕は届かない。


 ──どうする!?


 普通の攻撃じゃ届かないし、あれだけ巨大な竜巻を避けるのは困難だ。


 ならば──。





◇◇◇




‐真矢Side‐



 私の三枚目のスペルカードにより、勝負の流れは大きく変わった。

 一応、回避するための場所はあるのだが、この風の流れでは上手く飛行できないだろう。


 私は勝負の結末が見えた気がして自然と笑みが浮かぶ。


 まぁ、才能はあるようだからまだまだ成長はするだろう。今回の敗北をきっかけに更なる精進を──



──神弓『夢想封印・弓』





「…え?」


 一瞬、霊夢がいた場所が光ったと思うと、物凄い速さで矢の形をした弾幕が私に向かって飛んできた。


 呆気にとられていた私は回避できず、自分の腹部へとぶつかる弾幕をただ見ているしかなかった。




◇◇◇




‐霊夢Side‐



 気絶した天魔を抱えて湖の近くの草むらに寝かせる。


「…ふぅ」


 出発前に作っていた新しいスペカを使って何とか勝つことができた。


 どんな影響も受けず、真っ直ぐ飛ぶ矢の弾幕を放つスペル『夢想封印・弓』……これは単発でしか撃てないかわりにスピードが凄く速い。


 これならば風の影響を受けずに天魔の意表をついて攻撃できるので、彼女の竜巻を逆にめくらましとして利用して攻撃した。

 どうやら思ってた以上に意表をつけたらしく、攻撃は直撃だった。威力はそこまでないので深い傷もない。


「さて、と」


 私は再び空に舞い上がると森の中に入っていくのだった。






Stage Clear!!



 少女祈祷中…






 大学の授業が始まるまでになんとか書き上げました!!


 次回はようやく終盤、気合い入れて書きます!!



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