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東方~青狼伝~  作者: 白夜
紅魔郷編
41/112

紅魔郷エピローグ


 短いですが、お楽しみ下さい。




 紅魔館──。


 悪魔の住む館と呼ばれるその館は、その名の通り、外も中も真っ赤な色をしている。

 窓が少なく、昼間であるにも関わらず室内は薄暗い。


 そんな館の中を、全く正反対の青色の服を着た少女が歩いている。

 言うまでもない。桜花である。

 紅霧異変が終わってから三日が経った現在、様子を見るために彼女は再び紅魔館を訪れていた。


 本来は次の日にでも来たかったのだが、チルノに捕まり、二日間ずっと家から出してもらえなかったのだ。

 そのため、こうして三日目に訪れたのである。







―桜花Side―


 紅魔館の廊下を歩きながら、私はチルノの事を考えていた。


 私が紅霧異変を解決して、チルノの家に帰った時、チルノは私のコートに包まって大ちゃんと寝ていた。

 疲れていた私は二人に毛布をかけると、水浴びを済ませてから二人の隣に横になった。


 次の日、目が覚めると、私を挟む様にチルノと大ちゃんが移動していた。

 約千年ぶりに一緒に寝たこともあってか、私は安心感からか…二度寝をしたのだ。


 それがいけなかった。


 次に目が覚めると、何故か服が脱がされていた。

 驚いて周りを見渡した私の目の前には……とても恍惚とした表情のチルノと大ちゃんがいた。




~音声のみでお楽しみください~




「ふふふ…千年ぶりの桜花…じゅるり」


「ちょっ…、チルノ!?待って!いきなりこれは…」


「千年も我慢したんだよ?……もう、我慢しなくてもいいよね?」


「い、いや…チルノ…あ…ちょっと…いきなり…そ…こは…あぅ…ま、待って///」


「桜花さん…チルノちゃんと私じゃ嫌なのかな?かな?」


「ひっ!?だ、大ちゃん…だよね!?あっ!し、尻尾は…だ、だめぇ…!///」


「ふふふ…何を言ってるんですか、私がDIEちゃんじゃなかったら誰だと言うんですか?」


「あ、あれ?字が違っ……」


「桜花ぁぁぁ!!」

「桜花さぁぁぁん!!」


「いやぁぁぁぁ!!」






――――

―――

――






 ……あぅ。


 あれから丸々二日間…私は散々二人から弄られ、最終的には不覚にも気絶してしまった。


 いや、嫌ではなかったのだけれど……


 ああっ!!思い出すだけで赤面するのがわかる!!どうしよう!?


「…何をしてるんですか貴女は」


 私が廊下の隅で悶えていると、迎えにきた咲夜が呆れた様子で声をかけてきた。


「…いや、自分の嫁の対応に困ってただけ」


「…嫁?」


「…ごめん、今のは忘れて」


「…はあ、何だかわかりませんが、貴女も苦労しているのですね…」


 咲夜は溜め息をつきながら私を立たせると、レミリアの部屋へと案内してくれた。

 正直、歩くのもだるいのだが……チルノとDIEちゃ…大ちゃんは、できるだけ怒らせないようにしよう。


 そんなことを考えながら歩いていた私と咲夜は、いつの間にかレミリアの部屋の前にたどり着いていた。


 咲夜が扉をノックする。


「お嬢様、桜花様がお越しになりました」


 咲夜はそう言うと同時に扉から離れ、廊下の隅に移動する。

 私はその行動に首を傾げるが、その理由はすぐにやって来た。


「桜花ぁぁぁぁ!!♪」


 扉が突然開き、物凄い勢いで金髪の少女が飛び出してきた。

 言うまでもなくフランである。


 私は驚くも、ちゃんとフランを受け止める。


「こんにちは、フラン…気分はどう?」


「うん!もう絶好調だよ!!」


 戦いの後、私の能力でフランの狂気は抑えてある。

 大丈夫だとは思うのだが、一応私がたまに様子を見に来ることになっている。


「いらっしゃい、桜花。歓迎するわ」


 開かれた扉からレミリアが現れた。

 彼女は紅魔館にいる間は特に問題無くカリスマを発揮しているが、異変解決の次の日から今日までの三日間…博麗神社に入り浸り、霊夢と共にゴロゴロしている。

 その時のレミリアは見た目と同じくらいに無邪気なので、別の意味で他人を引き付ける。

 こう…護ってあげたくなる様な気持ちになる。これも一種のカリスマなのだろう。


 カリスマブレイクではない……と思う。


 とにかく、レミリアとフランと一緒にテーブルに着き、咲夜の入れてくれた紅茶を飲む。…うん、美味しい。


「さてと…レミリア、フランとは仲良くしてるかしら?」


 レミリアはビクッ、と一瞬動きを止めたが、顔を逸らしながらコホン、と咳ばらいをした。


「も、問題無いわ、いつもと同じよ…そもそも、私とフランは元から悪い関係では…」


「あのねあのね!!お姉様、昨日咲夜と一緒に私の為にお菓子を作ってくれたんだよ!!」


「なっ…ちょっとフラン!?」


 レミリアの言葉に割り込む形で、フランが笑顔で昨日のレミリアの様子を教えてくれた。

 どうやらレミリアは、今までフランに構ってあげられなかったことを後悔しているらしく、最近はその埋め合わせのつもりなのか、フランとはいつも一緒にいるらしい。


「なんだ、レミリアもちゃんとお姉さんらしくしてるみたいね。私も安心したわ。…貴女もでしょう、咲夜?」


「はい、そうですね」


「な、ななな……」


 私と咲夜がレミリアへと微笑みを向けると、レミリアは顔を真っ赤にしていた。


「わ、私は吸血鬼なのよ!?妖怪達の上に君臨する者なのよ!?……って、そんな生暖かい目で見るなぁ!!」


 真っ赤な顔で涙目のレミリアは、う~、唸りながら帽子を深く被り直して顔を隠した。


「アハッ、お姉様、顔真っ赤だよ?可愛いなぁ♪」


「うわぁぁぁん!!」


 顔を覗き込んだフランの言葉がトドメとなったのか、レミリアは走って部屋を出ていってしまった。


「?…変なお姉様~?」


 フランはレミリアが出ていった扉を見ながら首を傾げていた。

 その隣で、私は咲夜と共に笑った。







Ending No.SPECIAL


──東方紅魔郷~the Embodiment of Scarlet Devil~


     ~END~










―オマケ♪―



「…違う、違う、私は吸血鬼…夜の女王よ。あれはフランの為じゃなくて、あくまで自分の立場というものから……」


「お姉様♪」


「…っ!?……なんだ、フランじゃない…脅かさないでよ」


「ねぇ、お姉様…私のこと好き?」


「……何よ突然」


「いいから…私のことは好き?」


「……そうね、好きよ?私の大切な妹だもの」


「えへへ~♪ありがとう、お姉様!!」


「…ふぅ、まったく…フランは甘えん坊なんだから」


「ふふ♪…フランもお姉様のこと大好きだよ!だって、私のお姉様なんだから♪」


「あ、当たり前じゃない!」


「えへへ♪」


「………はぁ、悩んでる自分が馬鹿らしくなってきたわ」


「…お姉様?」


「ほら、行くわよフラン」


「あ…待ってよお姉様~!!」





 吸血鬼姉妹の物語は始まったばかり──。



Ending No.SECRET




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