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東方~青狼伝~  作者: 白夜
紅魔郷編
35/112

紅魔郷Stage1


 夜の幻想郷は神秘的な雰囲気を醸し出していた。


 神社を飛び立った彼女は、懐かしい顔と再会する。


 この夜、幻想郷に伝説の存在が蘇る──。




Stage1


夢幻夜行絵巻~Mistic Flier~


BGM「ほおずきみたいに紅い魂」







 夜の幻想郷は静かだった。


 眼下には紅い霧が立ち込めているが、空は星が瞬き、月が全てを照らす様に浮かんでいる。


 もっとも…その月は血のような紅い満月なのだが…。


 紅い月と、紅霧の妖気にあてられて興奮した妖精が弾幕を放ってきた。


 それを避けながら桜花も弾幕を放つ。


 桜花が使うのは自身の妖力から作った弾幕と、以前作っておいた自分専用の陰陽玉だ。


 陰陽玉には霊夢と同じように、敵をホーミングする機能がある。桜花は、千年以上経っても不具合が生じていないことに満足しつつ、向かってくる妖精を撃墜していく。


 桜花の目指す場所は紅魔館…敵のボスはレミリア・スカーレット。


 だが、桜花には異変の解決よりも優先しようと考えていることがあった。


 …そう、フランのことである。


 フランドール・スカーレット…レミリアの妹で、少々気がふれており、495年の間地下に幽閉されている少女。


 彼女の狂気をなんとかすること、それが桜花の目的だった。


「やれやれ、寝起きの運動にしてはハードよね…」


 そんな呟きをした後、桜花は周りの風景がおかしいことに気がついた。


 先程まで頭上に輝いていた月や星が見えない。それどころか周りの様子もわからない。


 完全な『闇』が広がっていた。


「あぁ…懐かしい。そういえば、あの戦いの時には旅に出ていたんだっけ?」


 懐かしい妖気を感じた桜花は目を細める。


「貴女は…」


 闇の中から声が聞こえた。よく見れば紅い二つの瞳がこちらを見ている。


「千数百年ぶり…か。久しぶり、ルーミア」


 闇の中から徐々に輪郭を現したのは小柄な少女。黒い服を纏い、肩まである金髪には赤いリボンが結んである。


 宵闇の妖怪・ルーミアがそこにいた。


「久しぶりも何も…何処にいたのよ。散々探したんだから…」


 少し怒った様に言うルーミアは、記憶にある姿よりも子供らしくて可愛かった。


「ごめんなさい…わけあってずっと眠っていたの」


「……そーなのかー」


 ルーミアは両手を広げたお馴染みのポーズをとる。


「じゃあ…私達に心配かけたんだから、覚悟はできてるよね?」


「物騒ね…私はまた仲良くお茶でも飲みながらお喋りしたいわ」


 そう言いながらもお互い弾幕を作り出していく。


「まぁ…本当は、なかなか出番が無くて苛々してただけ…なんだけどね」


「今までの雰囲気だいなしだよ!それは言っちゃだめでしょ!?」


「そーなのか?」


 桜花は痛くなってきた頭を無理矢理動かす様にして、なんとか平常心に戻る。


「なんか…雰囲気変わったわね、ルーミア」


「う~ん…これのせいかな?」


 そう言ってリボンの様に結んである赤い御札を指差す。


「これ、私じゃ外せないんだよね」


 ルーミアが触ろうとするが、するりとすり抜けてしまう。


「結構強力な封印ね。私が外そうか?」


 桜花の提案を、ルーミアは首を振って断った。


「いや、いいよ…今のままでも十分楽しいし、これのおかげで随分と私も変わったわ。あ、勿論良い方向にね」


「そう、ならよかった」


 桜花の言葉を最後に、二人とも距離を取る。



BGM『妖魔夜行』





 緑と青の弾幕を回避しながら、桜花も反撃をする。力を封印されているからか、ルーミアの弾幕はそれほど激しくない。


「ん~…桜花って弾幕ごっこは初めてだよね?随分慣れてるみたいだけど…」


 桜花は苦笑いしながら弾幕を避けていく。


 桜花は前世で紅魔郷をプレイしたことがある。三次元になっても攻撃の内容や弾幕のパターンは大体同じなので、回避しやすいだけなのである。


「むう…このままじゃ拉致があかないね…それじゃあ!」


 ルーミアは懐から一枚のスペルカードを取り出した。



─月符「ムーンライトレイ」



 ルーミアの両手からレーザーが放たれ、桜花を挟む様に迫る。更に、間を埋めるように弾幕も放ってくる。


「…よっと」


 向かってくる弾幕をグレイズしながら桜花も反撃をする。陰陽玉からもルーミアを追尾する弾幕が放たれているので、ルーミアは全てを避けられない様だった。


 スペルブレイクになったルーミアは、新しいスペルカードを取り出す。



─夜符「ナイトバード」



 ルーミアが両手を薙ぎ払う様に動かすと、それに合わせて緑と青の弾幕が放たれる。


 桜花はグレイズしながらも、当たること無く全てを回避し続けた。


「むぅ~…当たらない。さっきの腋巫女も強かったけど、桜花も強いよね」


「…腋巫女って、霊夢のこと?戦ったの?」


「うん、こてんぱんにされた。ちょっと服装のことを指摘しただけなのに…」


「あははは…たしかに指摘したくなるよね」



 そんな緊張感のない会話をしながらも二人は攻撃を止めていない。


 二枚目のスペルもブレイクされたルーミアは最後の一枚を取り出す。



─闇符「ディマーケイション」



 左右から交際する弾幕と、その間から桜花を直接狙う弾幕が放たれる。


「ふふ…楽しいね、ルーミア!」


「うわぁ…桜花ってもしかして戦闘狂?」


 笑いながら攻撃してくる桜花に、ルーミアが若干引き攣った笑いをする。


「違うよ…。この勝負ならお互いの命は保障されるし、危険も少ないから、思いっきり楽しめるじゃない」


「ああ、そういうことか…。やっぱり桜花は桜花だね…変わってない…」


 最後のスペルが破られる直前、ルーミアはとても嬉しそうに笑った。







「私の初勝利~!」


 嬉しそうに笑う桜花を見ながら、ルーミアは苦笑いをした。


 実際、封印されているルーミアは中妖怪程度の力しかない。初勝負でルールも覚えたばかりの桜花に負けたのは少し悔しいものがあった。


 それでも、ルーミアは楽しかったのだと感じていた。


「はいはい…私の負けよ。あと、巫女なら湖に向かったわよ?追い掛けてるなら急ぎなさい。湖には“アイツ”がいるんだから」


 桜花はその言葉を聞いて固まった。ルーミアが言う人物が間違いなく“彼女”のことだからだ。


「…怒られるかな」


「…でしょうね」


 桜花はガックリと俯くと、霊夢を追い掛けて湖に向かう。



─Stage1 Clear!



 少女祈祷中…





 やっとルーミアが登場した!!


 長かった…出せなくてごめんよ~(泣)



 次回、DIEちゃん&チルノ登場!



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