10万PV突破特別話
今回は10万PV突破記念として、ずっとチルノのターン(視点)からお送りします。
ゆっくりしていってね!
―チルノSide―
桜花が旅に出てから、あたいの日常はつまらなくなった。
今の幻想郷には桜花がいない。それだけで一部の妖怪達が騒ぎ出したり、人間が襲われる回数が増えたり……。その度にあたいや紫が始末している。
こうしていると、桜花がどれだけ幻想郷で大きな存在かがわかる。
桜花はいつも優しくて、強くて、頼りになって……。
でも、あたいが一番惹かれたものは……あの綺麗な空色の瞳だった。雲一つない青空みたいな…でも、どこか寂しそうで儚い「蒼」。
時々、寂しそうに空を見上げていたり、本人は気づいてないけど、寝ていると時々涙を流したり…
桜花と一番長い時間を過ごしてきたあたいでさえ何故、桜花がそんな顔をするのかわからない。
リンも、紫も、霊那も…誰もその原因を知らなかった。
ある時、紫から桜花が旅に出たと聞いた。あたいには何も言わずに旅立って行った桜花にあたいは困惑していた。
どうして?何で、あたいに何も言ってくれなかったの?
俯くあたいの頭に、紫は手を置いて撫でてくれた。
「きっと、チルノに今の自分を見られたくなかったのよ」
「……なんで?」
「桜花は、チルノのことを一番の親友だって言っていたわ。だから、貴女には笑顔だけを見せてあげたいのよ……きっと」
「……そんなの」
そんなの、勝手すぎるよ……
親友なら相談くらいしてよ…
あたいは、そんなに頼りないの?
「正直、私は貴女が羨ましいわ」
「……ふぇ?」
紫の言葉に思わず間抜けな声が出てしまった。紫は口元を扇子で隠しながらクスクス笑うと、日傘をくるくると回す。
「だって、心配をかけないように貴女にだけ何も言わないってことは、貴女のことを特別な意味で見ている、ということだと思わない?」
紫の言葉を何度も頭の中で繰り返す。
……あたいが桜花にとって特別?
「そうなのかな…」
本当にあたいは桜花にとって特別なのだろうか…。考えれば考えるだけわからなくなる。…胸が締め付けられるように苦しくなる。
「貴女らしくないわね、しゃきっとなさい。貴女は元気が取り柄みたいなものでしょう?」
「…うん」
紫はあたいの頭をもう一度撫でると、スキマを使って何処かに行ってしまった。
一人きりになった家の中で、あたいは椅子に腰掛けたまま目を閉じる。
こんな時、桜花だったらどうするのだろう…
……いや、駄目だ。いつまでも桜花の背中ばかりを見ていたらいけない。
あたいはあたいができる事をやるだけだ。
桜花が護ってきた幻想郷…。桜花がいない今、あたいがかわりに護るんだ!
そして、桜花が帰ってきた時にありったけ文句を言ってやる!なんで、あたいに何も言わずに行っちゃうんだ、って。
壁に立てかけてあるバスタードチルノソードを手に取ると、腰のベルトに挿す。そして、両手で頬を叩いて気合いを入れる。
「よし、見回りに行くとしますか!」
ちょっと強く叩き過ぎて涙目になったけど、気にしない!だって、あたいは最強なんだから!
桜花が帰ってきたのは、それから丁度一年後だった。
いつものように、悪さを働く妖怪を退治して家に帰ると、入口が少し開いていた。
ゆっくりと、音がならないように戸を開ける。
そして、見慣れた後ろ姿があった。
青い髪に青いコート、ふさふさの尻尾。そして、赤い紐で髪結ばれた黄色い鈴。
あたいの親友であり、姉の様な存在。そして、誰にも負けない最強の妖獣。
「…ただいま」
彼女がぽつりとそう呟いた。それにあたいは返事をする。
「──おかえり」
桜花が帰ってきた日の夜。あたいは久しぶりに腕によりをかけて料理を作った。
桜花は狼の妖獣なのに、肉よりも野菜が好きだ。だから夕飯は野菜中心のスープや炒め物が中心だった。
「チルノ、腕あがったんじゃない?」
料理を食べながら、桜花は笑顔であたいの料理を褒めてくれた。
「そうかな…まぁ、桜花がいない間はあたいが一人で作ってたからね」
妖精であるあたいは基本、食事を必要としない。最近は妖精らしいことをしていないから、どちらかと言えば妖怪な近づいている気がする。
「………」
あたいが腕を組んで天井を見上げていると、桜花があたいをずっと見ていることに気がついた。
「…どうしたの?」
「…ん?いや…チルノ、ちょっと大人っぽくなったなって…」
あたいはそうかな、と言って再び天井に視線を向ける。
「なんだか、独り立ちする妹を見てる気分だわ。まぁ、私に妹はいないからよくわからないけど…」
桜花はあたいを見ながら微笑みを浮かべる。
「桜花…あたい、桜花を護れるくらい強くなりたいんだ」
「…へぇ、私を護ってくれるの?」
「うん、桜花はあたいの大切な人だからね」
視線を桜花に向けると、桜花は困った様に笑った。
「まいったなぁ…そんな風に言われたら、すっごく期待しちゃうよ?」
「うん、期待していてよ」
桜花は少し顔を赤くすると、視線を逸らす。
「今のチルノって…なんだか私の恋人みたいだね」
あたいは、立ち上がって身を乗り出す形になると、桜花をじっと見つめる。
「桜花、あたいは桜花にとって…どういう存在?」
「…え?」
桜花は一瞬驚いた顔をすると、恥ずかしいのか再び視線を逸らす。
「チルノは…私の初めての友達で…親友で…妹みたいに大切な…存在…」
「…うん、そう言うと思った」
あたいは両手で桜花の顔を掴むと、正面を向かせる。桜花が少し驚いた顔をするが、あたいはもう…決めたんだ。
「桜花、あたいは桜花が大好きだよ。だから、ずっと一緒にいよう?」
あたいは桜花の隣で一緒に同じ道を歩いて行きたい。
「…それって、告白?」
桜花の顔は真っ赤だった。たぶん、あたいも同じくらい赤いんだと思う。
「もちろん、あたいは本気だよ」
「…そう」
桜花の強張っていた体の力が抜けるのを感じた。
「それなら…その……よろしく…お願いします/////」
そう言うと、桜花は目を閉じる。
あたいは躊躇せずに、桜花の唇に自分の唇を重ねた。
「…はぁ……あっ……チルノ…」
今、あたいの目の前にいる桜花は、今まで見てきたどんな姿よりも可愛い。
コートの前は開けられており、髪も解いてある。頭の上の耳はペたりと垂れ下がっていて、青い瞳は潤んでいる。
ぎゅっと抱きしめてくる桜花は、見た目よりもだいぶ幼く見えてしまう
抱きしめ返すと同時に、先程よりも深いキスをする。
「…ん…くちゅ……ちゅく……はぁ…」
「桜花…くちゅ……あ…ん……」
桜花の抱き着く力が強くなる。桜花の方が大きいから、ちょっと苦しいけど…それが丁度良い。
片手をそっと服の中に入れる。そのまま桜花の胸まで進むと優しく揉む。
「…っあ!!」
桜花の体がビクンッと反応する。
「チルノ…ま、待って…だめぇ…」
桜花が涙目で言ってくるが構わずに続ける。
それにしても、桜花って着痩せするタイプだったんだ…。
「あっ……や、やらぁ……チルノ…だめぇ…ひゃん!!」
胸の先を摘むと、再び桜花の体がビクンと跳ねる。
「あ…はぁ……や…あぅ…ちる…のぉ……」
呂律が回らなくなってきた桜花にキスをしながらも、手は休めない。もっと、もっと…可愛い桜花を見てみたい。
「…んんっ!…ふぁ、だめぇ!あ、ああああああぁぁぁぁぁぁ!!」
桜花の体が先程よりも大きく跳ねる。おそらく達したんだろう。
息も荒くなり、瞳も少し虚ろになっている。
けど、そんな桜花を見ていると…まだまだ足りない、もっと桜花を感じたい、という感情が溢れてくる。
「桜花…あたい、もう我慢できないかも……」
「はぁ…はぁ……チルノ?」
右手をゆっくりと下へもっていく。
そして───
~自主規制~
ふと、気がついたら朝になっていた。どうやら、いつの間にか寝ていたようだ。
「…ぅん……チルノ…」
隣には桜花が寝ている。
ふと、昨夜のことを思い出して顔が赤くなる。……でも、嫌じゃない。
ベッドから降りていつもの服に着替えると、朝食の準備をする。
「……う~ん…あれ?いつの間に朝になってたの?」
朝食を運んでいると、桜花が目を覚ました。
「おはよう、桜花」
「あ…お、おはよう…チルノ////」
桜花はあたいの顔を見た瞬間、顔を赤くしながら目を逸らす。
「桜花、とにかく朝ご飯食べよ?ほら、早く服着て、急がないと冷めちゃうよ?」
桜花は服を着ていないことに気がつくと、慌ててシーツで体を隠した。今さら何を恥ずかしがるのやら…。
「チルノのばかぁ…」
桜花がシーツに包まったまま、顔を赤らめて上目遣いで睨んできた。まぁ、今の格好だと逆に可愛いだけなんだけど…。
朝食の後、桜花は博麗神社に行くから、と言って飛び立った。あたいも見回りをしつつ追いかけようかな。
そういえば、桜花は余裕が無くて気づいてなかったみたいだけど…紫が覗き見をしていたんだよね…。たぶん昨夜の事でからかわれるはずだから、あたいも急いで追いかけるとしよう。
やれやれ…護るとは言ったけど、どうやら最初は紫が相手になりそうだ。
それでも、あたいは負けない。桜花を護ると約束したんだから。今のあたいにできないことなんてない。
だって、あたいは──……
……──桜花の恋人なんだから。
やってしまったぜ…。反省はしている。しかし、後悔はしていない!
ご意見、感想お待ちしております。
あと、ピクシブにて新しい絵を投稿いたしました。いつも通り「二次小説」のタグで検索してみてください。