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東方~青狼伝~  作者: 白夜
原作前編
15/112

◆境界の妖怪 八雲紫

 今回は短いです

「お世話になりました」


 私は神奈子と諏訪子に深々と頭を下げながらお礼を言った。諏訪大戦の後、なんだかんだで一週間も守矢神社で過ごしてしまったからだ。


「もう行っちゃうの?もう少しゆっくりしていけばいいのに…」


 諏訪子が寂しそうに言うので私は苦笑いしながら諏訪子の頭を撫でる。


「また遊びにきなよ、歓迎するからさ」


「うん、ありがとう神奈子」


 一週間の間、一緒に暮らしているうちにお互いの事をよく知ることができたからか、今は多少ぎくしゃくしているが諏訪子も神奈子もお互いを認め合うようになりはじめている。


「じゃあ、いつかまた!」


 私は手を振る二人に背を向けて空へと舞い上がった。空を飛ぶのも一週間ぶりだから結構気持ちいい。


「それにしても…」


 私は懐から一つの笛を取り出す。一見ただの木製の笛に見えるが材質が凄い。なんと、神奈子の御柱から削り取った特別製なのである。音色が綺麗だし、何より頑丈なのが特徴で簡単には壊れない。


「いい物貰ったわ♪」


 貰ってから早速古い記憶を探って諏訪子に「ネイティブフェイス」を、神奈子には「神錆びた古戦場跡」を吹いてあげた。楽器の演奏は初めてだったけど能力でなんとかした。二人とも喜んでくれたからよかった。


 静かな空の旅も好きだけどせっかくだから何か一曲吹いてみようかな…


「~~♪~♪~~~♪」


 空を飛びながらゆっくりとしたテンポで「ネクロファンタジア」を吹いてみる。原曲はスピード感のある曲だけどゆっくり吹いてみたらなかなか神秘的になるから不思議だ…これもこの曲のモデルである彼女のせいなのだろうか……ちなみに―――


「………」


 さっきからやたらと視線を感じる。辺りに気配はないけどずっと見られているような…こんな事ができる人物は私の記憶の中で一人しかいない。まぁ、正確には人ではないのだけど…


「さっきからじろじろと…姿を見せなさい、スキマの妖怪さん?」


 私は笛をしまうと何もいない空間に話しかける。


 すると、突然目の前に横にスッと赤いリボンが両端についた線ができたかと思うとゆっくりと開いて目玉がたくさん見える奇妙な空間が現れ、一人の女性が中から出てきた。


 私より少し低い身長で整った顔立ち。長い金髪に紫色が基準の服。頭にかぶっている白いZUN帽に赤いリボン。



―――八雲紫



 幻想郷最強の妖怪。幻想郷の創立者であり、幻想郷を囲む結界の一つを管理している大妖怪である。


 何より恐ろしいのは彼女の能力…「境界を操る程度の能力」である。ありとあらゆる境界を操る彼女は原作ではその力を使い「実と虚の境界」を曖昧にして月に攻め入った事もあったらしい。力は私と同格…いや、先に能力を使われたら若干私が不利になる。もし戦いになったら先に私が彼女の能力を封じなければ危ないだろう。


「まさか気づかれるなんてね…」


 紫は手に持った扇子で口元を隠すと胡散臭い笑みを浮かべる。実際に見るのは初めてだけど本当に胡散臭いなぁ…。


「それで、私に何か用かしら?スキマの妖怪さん」


 多少警戒しながらも一応話しかける。紫はクスクス笑いながらもわざとらしく驚いて扇子を畳むと私に軽く頭を下げた。


「あら、失礼しました。私、八雲紫と申します。よろしくお願いしますわ。鈴音桜花さん」


 敬語で話してるけどどこか信用できない。本当に胡散臭い奴だなぁ…


「敬語はやめてよ、名前も呼び捨てで構わないわ」


「あら、じゃあ遠慮なく…よろしくね、桜花」


 少しは遠慮しろよ…どれだけ図々しいのかしらこの紫ババアは!


「…しまった、私の方が年上だった」


 まさかの自爆である。


「…えっと、大丈夫?」


 私が勝手に落ち込んでいると紫が口元を若干引き攣らせながらも心配してくれた。


「だ、大丈夫よ…話が逸れたわね。何の用かしら?」


「え、ええ…実は私は今、ある計画を立てているのだけど…」


 計画…というのはおそらく幻想郷の事だろう。まぁ、私は元々協力するつもりだけど…。


「私は人間と妖怪が共存できる…そんな理想郷を作りたいの。そこで、あなたにも協力してほしくて」


 やっぱり、幻想郷の話だった。


「協力するのはいいけど、何で私なの?」


「あら、貴女のことは妖怪の間では有名よ?長い年月を生きた妖獣、だけど一度も人間を襲わず、逆に人間を助けた事もあるらしいわね?しかも今では人間に崇められて神になったとか…」


 日傘をクルクルと回しながらにこにこと笑う。胡散臭い笑みは相変わらずだけど瞳には強い光が宿っている。


「まぁ、合ってるけど…」


「でしょ?貴女は私の理想を既に作り出してるのよ」


「それで私に協力しろって言うのね…別にいいけど」


「ありがとう、一応貴女が住んでいる辺りに作ろうと考えてるんだけど大丈夫かしら?」


「ええ、構わないわ。でも妖怪の山にいる連中はどうするの?あいつらは人間が嫌いなのよ?」


 紫は再び扇子で口元を隠すと悪戯を思いついた子供のような顔をした。扇子で隠してもわかるくらいなのだから口元は凄くにやけているに違いない。


「大丈夫、私に考えがあるわ。でも、こちらもいろいろと準備があるから暫く待ってちょうだい」


「ええ、わかったわ」


 紫は扇子を畳むと自分の隣にスキマを開いた。


「今日は挨拶しに来ただけだからもう帰るわね。また会いましょう」


「えぇ、また会いましょう」


「あ、そうだ…」


 スキマに半分ほど入った時、不意に紫が顔だけスキマから出して再び私の方を向いた。


「ん、どうしたの?」


「貴女、私の式にならない?」


「…紫、あなた年上でしかも神を式にするつもりなの?」


 その後、紫は「冗談よ」と言ってスキマに入っていった。だけど私は聞いた…スキマが閉じる瞬間に彼女が舌打ちするのを…


 次から彼女には隙を見せないようにしなきゃ…



 さぁ、次回から原作キャラが続々と出ますよ~

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[一言] 神になったのにスキマ妖怪と互角なの?あり得なくない? 色々ちぐはぐ
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