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東方~青狼伝~  作者: 白夜
風神録編
101/112

Stage4

少女は自分と暮らす神様が大好きだった。


優しくて、強くて……でも、少しだけ意地悪な神様。


その神様のためなら、少女は全力で戦う。


それが、代々受け継がれだ意思なのだから。



 Stage4


「霊山に風が吹く」


 BGM「少女が見た日本の原風景」




◇◇◇◇◇◇



 妖怪の山の中腹辺りにその神社は立っていた。巨大な注連縄が飾られ、裏にある湖には幾つもの御柱が騒然と並んでいる。

 数週間前、突如として妖怪の山に現れたこの神社は瞬く間に山の住人たちの関心を掴み、信仰を得ていた。

 彼女達にとって信仰ならば何でも良いらしく、幻想入りしたばかりだというのに適応するのは早かった。


 その神社の名は守矢神社。

 三人の神が存在する神社である。



◇◇◇◇◇◇



-桜花side-



 八坂神奈子と洩矢諏訪子。

 私の友人であり、かつて諏訪の土地をめぐり争った強大な二柱の神。


 神奈子は風雨を司る神で諏訪子は土着神を統べる神。

 強大な神がぶつかり合ったこの戦いは後の世に「諏訪大戦」として語り継がれている。


 戦いが終わった後、彼女達は互に強力する事になり守矢神社が生まれた。

 私もその光景は覚えている。あの二人に会えるのは純粋に友人と再会できる嬉しさが大きい。

 また、諏訪子には一年間という間だが神力を扱う鍛練を受けたこともある。年下の先輩だ。


 滝を登りきり、真矢に案内されながら守矢神社の境内へと足を踏み入れる。

 その瞬間から感じる濃密な神力。

 隣の真矢が少しだけ嫌そうに眉を顰めた。



「何ですか、これ。数日前まではこんなに強い神力は感じなかったのに……」


「あー……ごめん。たぶん、家の霊夢のせいだわ」



 真矢に早苗と霊夢の間で交わされた会話を聞かせると、真矢は呆れた様な顔を浮かべた。



「なるほど……愛されていますね、桜花さん」


「普段なら嬉しいけど、今回は少し複雑よ。まさか霊夢があそこまで怒るなんて思わなくて……」



 小さくため息をつきながら鳥居の柱に背中を預ける。

 真矢も反対の柱に寄りかかると、二人で雑談を始めた。

 これからも先に進むなら霊夢がいなくてはならない。私だけが先行して異変を解決しても意味はないのである。

 幻想郷の異変は博麗の神ではなく、巫女が解決しなくてはならないのだから……。



◇◇◇◇◇◇



 それから少ししてから霊夢はやって来た。

 ただ、その顔は何故か泣きそうで、覇気が一切感じられなかった。理由を聞いても霊夢は一切教えてくれず、ただーー



「この異変が終わったら彩花から話があるって……そこで、全部話すみたい」



 そう、ポツリと呟いた。


◇◇◇◇◇◇



 とにかく、霊夢の様子が気になるところではあるが先に進む事にした。

 霊夢も先程とは打って変わり再び早苗への闘志を燃やしている。切り替えが早くて感心してしまう。


 守矢神社は私が最後に見た時よりも更に大きく、立派になっていた。

 その境内を懐かしく思いながら一歩を踏み出してーーーーその瞬間に、目の前に障壁を展開する。



「……なぁ⁉」



 霊夢の驚く声と同時に障壁に何かが大量に衝突する。ガンガンと障壁にかき消されていくのは無数の光弾。つまり、弾幕である。


 …来たか。そう思いながら顔をあげると、そこには少しくたびれた緑色の髪を靡かせた少女の姿。

 目の下には隈ができており、顔色も悪い。少しやつれた顔の中で瞳に宿るギラギラとした光だけが何とも言えない威圧感を放っていた。



「……つ、ついに来ましたね。怖くなんかないですよ!!負けませんからね!!」



 明らかに虚勢をはっている様にしか見えない姿に私は思わず苦笑いした。一体何日祈祷すればあんなになるのやら……。

 すると、私の隣にいた霊夢がゆっくりと前に出る。早苗は霊夢を見た瞬間、びくりと体を震わせた。



「久しぶりね、早苗。言ったとうり私の方から来てやったわよ」



 そう言ってお祓い棒を手の平でぺちぺちと何度か叩いた霊夢は早苗に向かって寒気すら感じる笑顔を浮かべた。

 その笑顔に早苗はヒッ、と一歩だけ仰け反った。明らかに霊夢に対して腰が引けてしまっている。余程怖いのだろう。



「だ、大丈夫よ東風谷早苗。今日の為に三日も祈祷を続けていたんだから…きっと大丈夫。奇跡をおこすんだから…」



 自己暗示の様にブツブツと呟く早苗は札を構える。霊夢もアミュレットを展開して宙に浮かんだ。

 そして、同時に札を投げつけると、全く同じタイミングでスペルカードを宣言した。



◇◇◇◇◇◇


BGM「信仰は儚き人間の為に」




―――霊符『夢想封印』


―――秘術『一子相伝の弾幕』



 早苗の 圧倒的な大量の弾幕を霊夢の夢想封印が次々と消し去っていく。しかし、弾幕が多過ぎるのか夢想封印も弾幕を完全に消しきれずに消滅してく。

 早苗が少しだけ表情を緩め、 霊夢が舌打ちをする。先程の早苗の呟きが本当なら彼女は三日間ずっと祈祷を行っていたのだ。かなり力を蓄えているといっても過言ではないだろう。現に霊夢の夢想封印が弾幕を消しきれずに消滅している。密度も高いため結果から見れば霊夢が押し負けているといってもいい。

 しかし、そこは流石と言うべきか、霊夢は残りの夢想封印全てを目の前に展開。それを壁の代わりにして一気に放った。

 残っていた夢想封印の数は七つ。それを弾幕の密度が高い部分に撃ち出すと、残りの弾幕は自ら回避する。



「くっ…ならばこれでどうですか⁉」



 早苗は弾幕を追加するかの様に札を何枚か追加で投げつけようとするが、その隙を逃す霊夢ではなかった。アミュレットから追尾型の弾幕が放たれ、早苗は慌てて回避する。

 追尾型の弾幕をすれすれで回避していく早苗を睨みながら、霊夢も次の札を取り出す。しかし、次の札はただの札とは少し違っていた。

 紫色の墨で書かれたその札を霊夢は取り出した退魔針に貼り付けて飛ばす。その針は早苗の方向とは違う明後日の方向に飛ばされた。

 周囲にばら撒かれた針は突然角度を変えて様々な方向に進んでいく。



「な、なんですかこれ⁉」



 早苗は目の前に迫る針を回避しながらあわあわと焦り始めた。

 霊夢が投げた針に貼り付けた札はランダムに方向を変えて飛び、時間差で相手に向かう様になっている。紫を見ていたら思いついたらしい。霊夢曰く、「あいつは捻くれているからきっとこうなる」らしい。


 ジリジリと追い詰められた早苗は新しいスペルカードを取り出した。


―――奇跡「客星の明るすぎる夜」


 宣言と同時に霊夢を挟む様に左右からレーザーが放たれ、早苗自身は白い光弾を放つ。

 霊夢は札をいくつか盾にすると、自らも体を捻りながら最小限の動きで弾幕を回避していく。

 早苗は霊夢の動きを観察しながら冷や汗が止まらなかった。



「くっ……中々に動きが早いですね。しかも流石は博麗の巫女、戦い慣れてる」



 視線をちらりと霊夢の後方に向けた早苗は次の瞬間、スペルを解除しながら霊夢に向かって蹴りを放った。



「てい、やあっ‼」


「甘いわ‼」



 蹴りと同時に放たれた弾幕も、霊夢の結界に阻まれて彼女まで届かない。

 しかし、反動で霊夢は湖の上まで移動していた。



「今です‼」



 パンッ、と早苗が両手を打ち合わせた瞬間、湖が割れた。霊夢を挟み込む様に割れた湖は勢い良く霊夢の周りでうねり出す。


―――開海「海が割れる日」


 早苗が放つ弾幕を防ぐのに精一杯な霊夢は小さく舌打ちすると、袖の中から複数の札を取り出す。それを見た早苗は新しい弾幕を作り出した。



「やらせませんよ‼」



 霊夢が回避に専念している間に再び両手を打ち合わせる。すると、割れていた湖が勢いよく閉じて霊夢をのみ込んだ。

 手を合わせたままゼイゼイ、と息を荒げながら、早苗は立ち並ぶ御柱の一つに降り立つ。



「はぁ…はぁ……や、やりました」



 あの勢いならば相当なダメージを負った筈だ。彼女はこの戦いが始まってはじめて視線を外した。

 それがいけなかった。湖の水面を見つめていたなら、その変化に気がつけていただろう。



「二重結界……からの夢想封印・瞬‼」



 体の左右を結界で守りながら放たれた夢想封印は、湖から飛び出した霊夢を追いかける様に移動すると、一気に広がった。

 異変に気づいた早苗が慌てて飛び上がろうとするが、一度気が抜けたうえに疲労が溜まっていた体は反応できず、霊夢の弾幕に呑まれていった。


 落下する早苗を私が受け止め、その顔を覗き込むと思わず呆れて溜め息をついた。



「無茶しちゃって……ボロボロじゃない」



 気絶している早苗の顔にかかっている前髪を指で整えてあげると、少しだけくすぐったそうに身動ぎをした。

 見上げた先で霊夢が不機嫌そうな顔で見下ろしていたが、苦笑いを返しておく。


 視線を戻し、社を見た私の目線の先には腕を組んで佇む神奈子と、鋭い視線を向けてくる諏訪子の姿があった。



◇◇◇◇◇◇



 Stage Clear‼



 ……少女祈祷中



暑いですねぇ_(:3」∠)_


皆様、この暑さの中、いかがお過ごしでしょうか?

私はお盆なので実家に帰りましたが、忙しくて中々帰れない人もいるのではないでしょうか?

家族というものはやっぱり特別なもので、どんなに疲れていても、励ましてくれたり応援してくれたり……。

私はそれだけでまた頑張れる気がしてきます。


では、次の話でまたお会いしましょう。



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