◆プロローグ
ちょっと修正しました。
――この世界はつまらない
街中にはビルが建ち並び、化学の発展に伴い自然は減少。温暖化による砂漠化も進んでいる。
私はこんな世界がつまらないと感じた。だから無意識に私はこの世界を“拒絶”していた。
そして…私は未知の体験を望んだ。
その結果、私は……
とんでもない経験をすることになる。
聞こえるのは風とそれによって揺れる草の音だけ。私はゆっくりと瞼を開く。
「……ここ何処?」
辺りを見渡せば草原が広がっており、遠くに山も見える。こんなに沢山の自然を私は見たことがない。
私は自分の部屋で休日を満喫していたはずだったのだが…
「たしかパソコンで暇を潰して、それから昼寝をしてたはずなんだけど…」
私は立ち上がって伸びをすると額に手を当てて考える。
まず此処は何処なのか……確実に私の住んでいた街ではないだろう。私の住んでいた街はビルが立ち並ぶごみごみとした街だったから自然なんて道端に植えてある並木ぐらいのものだ。
次になんでこんな所にいるのか……さっぱりわからない。寝ている時に誰かにさらわれたのだろうか?
ありえないこともないが、私は結構感覚が敏感でなにかあればすぐに目を覚ます。
…となると一瞬で場所を移動した?
…いやいや、ありえない。たしかにそうなら素敵だろがそんなゲームの世界みたいなことができるわけが……
「……ん?」
そこで私は額に当てていた自分の手に違和感を感じて目の前にもってくる。するといつの間にか爪が伸びていた。しかもかなり鋭い。
よく見れば服も青い毛皮でできたコートみたいなものを着ている。もちろんこんな服は持っていないし、着た覚えもない。
私は慌てて全身をチェックした。その結果、なんと獣耳と尻尾があった。
「って、なんで私はこんなに冷静なんだ?」
驚きはしたが違和感というものが全くない。まるで生まれた時からこうだったような…
「不思議だわ…なんだか体も軽いし…」
私が趣味でやっていたゲームに東方があったがあれに出てくる妖怪達もこんな感じで…
「…まさか私、東方の世界にでも来たのかしら?そして妖怪になったとか…いやいや、まだ決まったわけじゃないしこれが夢である可能性だってあるし…」
私はとりあえず何かないか探すついでにしばらく歩き回ることにした。
歩きながらポケットを探ると鈴がついた桜の花びらの形をした髪飾りがあったので付けてみた。歩くたびに小さくリンリンとなるのがなんとなく気に入ったのでそのままつけておくことにした。
草原を歩くこと約30分。見事に何もない
「さて、困ったわ…」
流石に私もこれが夢ではないことを嫌でも理解するしかなくなった。
周りは草原、山、丘、花畑以外何もないし、人どころか動物の気配さえない。
「食べ物とかどうしよう…」
私はあてもなくふらふらと歩き回っていたがいい加減うんざりしてきたのでたまたま見つけた池の淵に腰を下ろした。
「さて、これからどうしよう…」
本日何度目かの同じ独り言を呟く。
「まぁ…何とかなるわよね…うん、頑張るのよ私!何たって私は…あれ?私は……?」
独り言を言ううちに私は大変な事に気がついた。
「名前が思い出せない……?」
自分の名前を思い出せなくなっていた。
その後、しばらく呆然としていたが我に返ってから何となく池に顔を写してみる。
記憶にある自分の顔…獣耳がついているし髪の色も青っぽくなっているが顔は変わっていない。気分が沈んでいるためか獣耳は力無くぺたんと垂れている。
「帰りたい……いや…」
ぽつりと呟いた一言。だが私はその一言に疑問を覚えた。
帰りたい…本当に?あんな退屈な世界に?家族がいて、友達がいて……
…ただ、それだけの世界。
私は自分のいた世界を否定して、拒絶して、新しい世界を求めていた。つまらない日常にうんざりして…
それが現実になっただけの話じゃないか。それなら…別に帰りたいとは思わない。帰っても今までみたいなつまらないにちじょうがあるだけ…
そう、元の世界なんて
「帰らなくていいか…」
他人事のようにどうでもいい世界だったんだから。
その瞬間、頭の中にふっ、と一つの言葉が浮かんだ。
『ありとあらゆるものを拒絶する程度の能力』
やっぱり私は違う世界に来たようだ。
しかも、自分の世界を“拒絶”して。
おそらく、それが私の望んだ運命なんだ。