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ZEROから魅せる成り上がり  作者: 半目真鱈
第一章 迷宮刑 死霊領域

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第7話 適応

 内部世界から脱してから暫くして、俺は新たな技能の使い心地を確かめるべく。ゾンビを前にしていた。最初は触手の技能を確かめるべく、触手を振るう。


「アッ…アァ~」

「速度自体は変わっていない。でも、展開速度や切れ味が異常だ。」


 俺は腕を切り落とすレベルの攻撃を放った。だが、その考えは良い意味で裏切られる事となった。胴体から真っ二つに切り裂いたのだ。これが最適化の恩恵か。


「こりゃあ技能に慣れないとダメだな。後は…炎羅は着火と操炎で、暴風王は風適正、送風、操風の統合技能だな。取り合えず試してみるか。」


 それから技能の幾つかを試してみると、本当に予想は良い意味で裏切られる事となった。炎羅はまず火力が上がっている。今までの着火がライター程度だったのに対して、今は火炎放射器レベルだ。


「そして…暴風王はマジで頭の可笑しい火力だな」


 暴風王で風を操り敵に当ててみたら、ズタズタに引き裂かれながら胸に大穴が空いたのだ。火力面が異常に伸びている。暴風王の名に恥じない火力だ。


「そんで、死霊王と適応に関してはどうかな。」


 先ず死霊王を使ってみると、辺りに半透明のナニカが浮き出て来た。何だと思い触れてみるも透過した。取り合えず閲覧に掛けてみるが、何も反応しない。


「こういう時にハスクの知恵を借りられないのは致命的だな。う~ん…死霊王に関しては放置で、取りあえず適応を使ってみるか。」


 適応を使った瞬間だった。何か胸の奥がざわめく感覚を覚えた。だが、それは一瞬の事だった。それに、適応の技能を使おうと思ってもウンともスンとも言わない。


「どういう使い方が正しいんだ?」


 取り合えず鑑定してみるも、万物に適応するとしか書かれてないし。こりゃあ困ったな。う~ん…取り合えず死霊王と同じく放置で良いか。使い方が分からないんじゃ真面に運用する事も出来ん。


 それから数日間の技能訓練を経て、今はリントとシルガと共に迷宮を探索していた。俺が目星を付けていた危険域の魔物は後三体だ。その内の一体に今から挑む。


「良いか。これから挑むのは魔術特化の奴だ。現状ハスクと連携が取れない俺たちにとって、対策法はリントに丸投げになる。なに、盾は俺とシルガが居る。」

「アァ~」


 シルガも何か気分が良い様だ。それから数分…目の前には一体のスケルトンが立っていた。シルガ同様真っ白いローブに身を包んだ。漆黒の骨のスケルトン…恐らくスケルトンメイジの上位種だな。


 名前 リーブLv32

 職業 魔術師Lv32/Lv50

 種族 スケルトン・アークメイジLv32/Lv50

〈閲覧が遮断されました〉


「ほう…閲覧持ちが居るとはな。だが無意味。我にとっては児戯に等しい」

「閲覧が遮断された?それに、不味い。此奴スケルトン・アークメイジだ。リントの上位種。気を付けろ」


 その次の瞬間…炎が目前に迫っていた。即座に触手を伸ばして攻撃を回避する。シルガも防御が間に合ったようだ。両腕が欠損する程度で済んだ様だ。だが、シルガの腕を消し飛ばすか。


「シルガは防御力に特化させた個体だ。それの腕を容易く壊す。この前の奴らとは一味も二味も違う。全力で警戒しろ」

「はい…シルガさんも有難うございます。此処はこれで…獄炎よ。砲弾と成りて敵を穿て〈獄炎砲〉」


 獄炎砲が敵のスケルトンに対して穿たれた。だが、敵は黒いナニカを出した。


「何だ?あれ…玉?」

「〈操魔球〉敵を穿て」


 瞬間…敵に向かって飛んでいった筈の獄炎砲が此方に方向を変えて、飛んできた。鋼鱗を使った触手で防いだ。だが、かなりのダメージを喰らってしまった。


「敵は俺達の魔術を制御する力がある。リントはそのまま待機と様子見。シルガは俺と一緒に前線で頑張るぞ」

「アァ~」

「主様、さっきの魔術は恐らく操魔球…敵の魔術の制御を奪う魔術です。ですが、操魔球に込められた魔力より多く魔力を込めれば破れます。」


 成程…操魔球か。ハスクが使った捕食回路の様な物か。だが、敵の魔術を喰らうのと比べて、此方は質が悪い。だが、成程…無敵じゃ無いと言う訳か。


「べらべらと…目覚めろ。偉大なる竜の躯〈水竜破〉」

「今度は竜か。なら、こっちは炎だ」


〈炎羅+暴風王+魔矢〉


 即座に複合技能〈豪炎矢〉を使い敵の魔術に向かって放つ。どうやらギリギリ打ち勝ったようだ。技能の最適化が為されていなかったら死んでいたな。そして、大技を放ったにしては相手のスケルトンはピンピンしていた。


「疲れて居ろよ…生物として」

「この程度で疲れるとは…弱いな〈豪炎球〉」


 敵はリントが放った魔術と同等の…いやそれ以上の魔力が込められた豪炎球を繰り出して来た。だが…なんだ?何かが可笑しい。この豪炎球は、此処まで遅かったか?


「魔術が早い…気を付けて下さい主様」

「いや…遅い」


 シルガの防御が間に合わない。リントが声を上げる。だが、俺はそれに対して危機感と言うモノを持てていなかった。魔術の軌道が読める。この程度の攻撃。避けられない筈が無い


「何だと?我が魔術を避けた…だと?」

「凄い…これが主様の力」


 いや…何かが可笑しい。この魔術はあそこまでゆっくり…いや、軌道が読めていい筈の魔術じゃ無かった。どういう事だ?


(おい…今何をした?)

(その声は、ハスク?どういう事だ?そっちで何かあったのか?こっちはこっちで戦闘中だから勘弁してほしいんだけど?)


 ハスクがいきなり声を荒げて来た。あっちの研究で忙しかった筈じゃあ…と言うかあっちこっちから魔術が飛んでくる。…さっきの様に気道が読めない・。一体全体どういう事だ?


(先ほど触手が蠢き、教室の三%を占めるに至った。一体何の技能を使った?)

(はぁ…俺は特に技能を使ってないぞ。敷いて言えば、豪炎球の起動がゆっくりに見えた位で…いや…適応だ。適応の技能が、一度当たった攻撃である豪炎球の起動を読むに至ったんだ。)


 そうだ…適応の使い方が分かって来たぞ。恐らくはありとあらゆる攻撃に適応し、その対策法として軌道を読ませると言ったモノだろう。


(済まないが、その技能は封印だ。未だに訳の分からぬ触手…これが伸びたら間違いなくヤバいと言う事だけは分かる。)

(分かった。使わないようにする)


 それからハスクの言葉は消えた。そして、俺は技能に意思を向けた。適応の技能を使わない様にオフにする感覚…難しいが出来ない事は無い。


「クッ…避けきれない」

「先ほどの豪炎球はマグレか…ならば恐れる者は何も無い。我が攻撃に沈め」


 再び魔術の嵐が俺達を襲った。先ほどの様に軌道が読めると言う事は無い。俺たちは…魔術の嵐に対して防戦を余儀なくされていた。



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