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ZEROから魅せる成り上がり  作者: 半目真鱈
プリローグ

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第15話 迷宮刑

「ここは…俺の部屋?」


 目を覚ました瞬間、部屋が異様に暗いことに気が付いた。カーテンは真っ黒で、日の光を一切通さないようだった。俺は何でだと思いカーテンを開け放つ。だが…。


「ッツ~アァァァッ!」


 皮膚がジュ~と言う音を立てて焼き墜ちる。再生と痛覚無効があると言うのに痛覚がある。皮膚が焼けるより先に、脳が「死」を理解した。反射的にカーテンを閉める


「ハァ~…死ぬかと思った。そうか、俺って、吸血鬼に成っちゃったからか。」


 だから痛覚無効と再生が効かなかった?そして、日から隠れたら再生が機能し始めた。これは、技能に変質が起こったって言う事か?取り合えず今の自分の把握からだな


「おう…結構がっつりステータス上がっているな。これも吸血鬼に進化したお陰か?」


 ステータスは、前の数値が凡そ100前後だったが、全てが600前後に上がっていた。


 半吸血鬼・半分人間であり、半分吸血鬼である。定期的に血を吸血しないと弱体化する。


「やっぱり血を定期的に吸わなきゃダメな感じか。まぁ、仕方ないか。だが、あの時の女吸血鬼…何時の日か、この呪いを解かせてやる」

 コンコン「入るぞ」


 入ってきたのはメギドさんだった。俺はいきなり訪れた事に驚きつつも、それ以上に背後のシスターに目が行った。眼に入るだけでも眩暈がしてくる。


「その人たちは誰ですか?」

「この方たちは保険だ。万が一にでも、お前が理性の無い化物に変化した場合のな。」


 やっぱり食えない人だ。俺の事を心配している様で、それ以上に何か大きな目標を持っている様な感じがする。


「それで、俺は合格ですか?」

「あぁ…そこまで人格が残っているのなら大丈夫だろう。だが、保険の為に置かせてもらうがな。」


 メギドさんはちょっとだけ悲しい顔をした。それは、何か飛んでも無い不幸に見舞われた様だった。


「俺は教育者失格だ。お前を放置したばっかりに、お前を化物にしてしまった。」

「メギドさんのせいじゃありません。俺の軽率な油断のせいです。」


 俺が言うと、更にメギドさんはため息を付いた。何やら嫌な予感がする。


「お前の処遇が決まった。迷宮刑だ。」

「この前言っていた迷宮特訓の事ですか?」


 俺が反射的にそう言ったが、どうやら違うらしい。この顔を見れば分かる。まるで、子供が目の前で死んだような表情だ。


「この国には、一つの禁域迷宮がある。」


 それから、メギドさんが語りだしたのはこの国の狂った歴史、その一端だった。


  何でもこの国が出来た頃に、話は遡るらしい。当時好き勝手してた犯罪者や反逆者、果てには魔人や魔族なんかを封印した場所らしい。


「そんな奴らを閉じ込めるべく作られたのが禁域迷宮。その時代の天才全ての叡智を結集させて作られた迷宮には、一つの特性がある。…それは、」


 メギドさんは一瞬だけ顔が曇った。だが、それ以上に何か不安なものを感じた。


「当時の神や魔族たちですら太刀打ちできなかった悪鬼羅刹を封じ込めた迷宮だ。そこに転移させ殺す事を迷宮刑と言う。お前は、迷宮刑に選ばれた。」

「勇者でありながら魔族に堕ちたからですか?」


 それを言うと、メギドさんはこくりと頷いた。


「あぁ…勇者が魔族に堕ちた。それは隠さねばならぬ。だからこそお前の迷宮刑が選ばれた。」

「…どうして、どうして俺ばっかり、こんな目に合わなくちゃならないんですか?助けて下さいよ。メギドさん」


 俺は声を荒げた。それは、死にたくないが故に。だが、メギドさんの反応を見て分かった。拳から血が零れ落ちている。


「俺だってこんなのは嫌だ。だが、変えられなかった。精々が、斬首刑から迷宮刑へと変えるのが限界だ。済まない。本当に済まない」

「…いえ、メギドさんのせいじゃありません。ゴメンなさい」


 俺は謝ったが、頭の中ではやはり、どうして俺ばっかりがと言う考えばかりだった。


「そして、お前は最初から存在しないことになる。その日時は明後日だ。それまでに、挨拶をして置け。それが、最後になるのだから」

「分かりました。これまでありがとうございました。メギドさん」


 俺の言葉と共にメギドさんは帰って行った。その背中は、酷く寂しいものだった。



【メギド】


 私は聖魂教所属のシスターです。今はメギド様の命により化物からの護衛任務を仰せつかったのですが。


「良いのですか?化物に末路を教えても。勇者たちと共に反抗するやも知れませんよ。」

「それは無い。他の勇者たちには既にプリメードによって整えられている。今のアイツらに反抗する意思は無い。」


 あぁ…プリメード様ですか。それならば安心ですわね。彼女の洗脳は受けたくありませんが、それ程までに強力なモノ。


「しかし…本当に笑えますね。あの時の「どうして俺ばっかり」と言う叫び...とても愉快でしたよね?メギド様」

「すまない」


 その言葉と言葉と共にメギド様が消えた。一瞬にして消えた事に私は驚いたが、直ぐに気が付いた。しゃがんでいたのだ。メギド様はそのまま私の腹部に…。


「ゲホッ…何の積りですか?メギド様」

「生憎と、俺はお前たちシスターほど出来て居なくてね。アイツは俺の生徒だ。あまり悪口は止めてもらおう」


 その言葉を最後に、メギド様は歩いていかれた。成程…化け物に堕ちたと言えども生徒扱いですか。


「…理解できませんわ。あれほど忌むべき存在に、あそこまで肩入れする理由が。」



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