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ZEROから魅せる成り上がり  作者: 半目真鱈
プリローグ

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第10話 プリメード

【プリメード】


「ふむ…やはり、惜しいですね。ですが、小見門悠馬。彼の精神状態はかなり危うい状況ですね。」


 私は一人、自分に割り当てられた部屋でポツリポツリと口を開く。それは、精神混濁症の治療の鍵となるかも知れない少年の事についての報告書だった。


「約一週間前に起きた。勇者殺害未遂。これは看過できませんねぇ。」


 今も影で暗躍している魔人族に魔族。それに加えて首魁でもある魔皇族のお歴々…この世界には勇者が必要となる。


「その為にも、今度の迷宮訓練で散ってもらわねばなりませんね。さてと…どう言った感じのシナリオにしましょうか。あぁ、王の御判断を聞いてからでも良いやも知れませんね。」


 即座に報告書を仕上げて、私は王の元へと征く。その道中で出会ったのは、メギド殿だった。どうやら私に用がある様だ。私を見つけたと思うと近寄ってきた。


「良かった。悠馬の件なんですが、貴方はどう思いますか?彼の精神不安定に加えて、簒奪によって生まれた人格の、キシュア、エウゴの両名。これへの対処はどういたしますか?」

「う~ん…私としては手元に置いて観察したのですが、何分彼の警戒心が高いの何の。ちょっとやそっとじゃ来はしません。ですので、ここいらで死んでもらいましょう」


 私は手を叩いて語ると、メギド殿は何やら困ったような顔をしていた。…あぁ、人数が減るのが宜しくないと言う事ですが。


「確かに、彼の技能は貴重です。ですが、あのような駒は我らの障害になり得るやも知れません。」

「それしか手段は無いのですか?」


 困りました。どうやらメギド殿は彼に感化されている様だ。確かに、彼のお陰で精神混濁症に治療の可能性が出てきました。ですが、それとこれとは話が別です。


「彼の技能によって計画が根本から覆される可能性がある。それだけ言えばお分かりですか?…私は王へとご報告が有るので。これにて失礼します。」

「あぁ…分かった。」


 どうやら本格的に治療が必要そうですね。今の彼の精神状態に感化されたら不味いですし。


「私の眼を見て下さい。貴方は誰ですか?生徒を守る教師?それとも…簒奪使いを守る反逆者?」

「私は。私は…私は王の忠実なる刃だ。それ以外ありえん」


 治療成功…これで暫くは問題無いでしょう。確か、王はアウトサイダーへと転移させる案がった様ですし、ここいらで実験の意味も込めて、提案してみますか。


「それでは、私は先を急ぐので」

「分かった。ありがとう。私の起源命題を思い起こしてくれて」


 それから私は王の部屋へと急ぎノックを数回しましたが…。


「入れ。」

「はい…失礼します」


 王は何やら報告書を読んでいる様だった。その名前は…メギド殿?はてさて。勇者たちの強化案でしょうか?


「私から一つご提案が御座います。彼を、小見門悠馬を殺してはどうでしょう」

「ふむ…やはり貴様も思案していたか。実はな。メギドにも言われたのだ。「斯様な駒は計画の邪魔になる可能性があります」とな。奴め。情に流された振りが上手いな」


 おや?私の治療は不必要だったようですね。


「私も同意ですね。彼の存在は計画に不都合を起こす可能性があります。万が一にでもハスク・リードの人格が有るのならば、計画は破断します」

「確かにな。奴は国家最終魔道師に迫らんとした唯一の魔術師だ。奴が目覚めれば計画は乗っ取られるだろう。」


 やはり王もお考えでしたか。あのハスクの存在は薬になり得るが、同時に猛毒になり得る。報告書には記載されていませんでしたが、いやはや真実はどうか。


「それで、報告に在った人格はキシュア、エウゴの両名で間違いないな?」

「はい~私が聞いた限りでは…ですがね。」


 …なるほど。


「でしたら、迷宮に三大魔獣を放ち小見門悠馬を殺すと言うのはどうでしょう?」

「貴様は阿呆か。確かに三大魔獣ならば完璧に殺すことが出来るであろう。だが、それでは質が落ちる。故に、メギドの案を採択する。結末は変わらん。故に安心するが良い。」


 やはり…情に流されてはいないと口では言っても。流されているじゃありませんか。


「分かりました。では報告書は此方に。…彼の精神状態。敵を懐に入れている様な物です。早めにご対処を」

「分かっておる。お前が心配する事では無い。」


 それから私は室内に戻り、研究の続きを始めた。彼の齎した人格治療…これは革命になるやも知れませんね。


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