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『鏡の森』

掲載日:2025/12/26

とりあえず読んでみてください。


気づけば、

私は 森の中にいた。


いつから そこにいたのかは

思い出せない。


ただ、

森は 私の名を 知っていた。



風が吹くたび、

音もなく 葉が揺れ、


私の輪郭も また 揺れていた。


いくつもの私が、

枝の間を 漂っていた。



ひとつの貌が

私を 見ていた。


けれどそれは、

私の知らない 私の顔だった。


光のせいだと 思った。

森の構造が 歪んでいるのだと。


そうでなければ、

私の感覚が 壊れてしまう。



けれど、

どこへ行っても

その貌は 私を 見つめていた。


声にならない

まなざしのように。



空気に 波紋が 広がる。


声ではないが、

胸の奥に 届くものが あった。


見えないものは、

見ないふりをしても 消えない。


ただ、

かたちを変えて

静かに 沈んでゆく。



私は 立ちどまり、

目を 閉じた。


風がやみ、

森は しずかに なった。


一枚の葉が

音もなく 落ちた。


それは、

私のなかで 眠っていた

記憶の ひとかけらだった。



そして私は、

また 歩きはじめた。


夢から さめるように

あるいは 夢へ もどるように。


森の奥へ、

私の知らない 私に 向かって。





読んでくださった方々、ありがとうございました。

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