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7話 集う仲間

 道中で、人の理性を疑う場面に遭遇しが、私の行き先は、変わらない。

 隣国までの足を手に入れるため、キャラバンに向かっていた。

 何やら、政治的理由でとやらで私に護衛をつけることはできないが、かわりに隣国へ向かうキャラバンに腕利きの傭兵をつけてくれるそうだ。それでいいのかとは、思うが、良いと言うならありがたくいただこう。

 しかし、地球ではキャラバンと聞くと砂漠とラクダだが、こちらでは行商の一団をキャラバンと言うらしい。だいたい、日本語と近しい意味だがさっきの甘くないバナナと言い、少しのズレがあるな。


 「にいちゃん。これから、どこ行くんだ?」


 突然、男に声をかけられた。

 髪が薄く、歯が何本か欠けている。目の下のクマといい、健康ではないだろうが身なりは整っている。

 あたりを見ると、さまざまな荷物を積んだ馬車と客を呼び込む商人の姿がある。

 なるほど、これがキャラバンなのか。


 「隣国のえぇっと、ネ・バレス公国に向かいたい」

 「それなら、ちょうど良い。うちのキャラバンに、乗っていな。他のどこより早く着くぞ」

 「早くって、いい馬なんですか?」

 

 男は、にやりと笑い。大きな身ぶりと共に話した。


 「それもあるが、今回は特別だ。何と言っても、腕利きの傭兵団。銀のアギトが護衛に着いたからな」


 腕利きの傭兵団!間違いない、国王が言っていたのはこのキャラバンだ。


 男の案内に付いていくと、いくつもの馬車が馬に繋がれて、何時でも出発できる様子だった。

 男は、私を1つの馬車に案内すると、護衛の者に何かを言い渡してその場を去ってしまった。

 天幕に覆われ、明かりの少ない馬車の中に慣れてくると、中の様子が見えてくる。

 初老を超えたであろう男性が1人と三十路あたりの女性が1人、薄い皮の胸当てを付けた、若い男女が一組。それぞれ、馬車の3つの角に分かれて座っていた。


 「お兄さんも、ネ・バレス公国に行くですか」


 拙い敬語で、若い男が話してくる。まだ、声変わりも終わってない年齢だ。


 「そうだよ」

 「そうですか、僕たちもなんです。公国なら、仕事があるからと言われて。年が近いそうな人がいて安心しました!」

 「そっか。その年でもう、働くのか。偉いな」

 「その年って。僕らはもう、9つです。そんなに早くは無いですよ」

 

 小学生じゃないか!年が近いって、大学生とじゃ、一回り年齢が違うぞ。

  

 「お兄さんは、19だからさ。驚いちゃった」

 「そうなんですね。ごめんなさい、若くえたので」


 そうだよな。日本人は、若く見られる。仕方ない。私が童顔だとかそんなことはない。


 「良いの良いの」

 「それにしても、その服かっこいいですね!」

 「そう?」

 「はい。勇者様みたいです!僕たち勇者様が大好きで!」


 男の子は、1人でとにかく盛り上がり、知っている勇者情報をとにかく話した。


 「うるさいわよ!」


 男の子の声に、女性が叱咤をする。

 確かに、声の大きさを考えない話し方だがそこまで怒りを表さなくても良いだろうに。

 男の子が黙り。嫌な静寂の中で馬車が走り出した。


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