6話 怪しい占い師(2)
「ちょっとお待ち。そこの人、死相がはっきりとと出ているわ」
占い師は、命の危険を煽り呼んでくるが無視した。
こういうのは、不安を煽る手口なんだ。どうせ、通りかかった人に適当に言っているに決まっていると、死んだばあちゃんかじいちゃんが言っていたと、思う。
「ちょっ、ちょっとお待ち。そこの人、死相がはっきりと出ているわ」
え、絶対に通り過ぎたはずなのにまたいる。
絶対にそちらを見ないと決めて、通り過ぎる。
「まって!、お待ちなさい。そこの剣と弓を持った人。待ちなさい」
見ない。見ないぞ。
「まっ、て。ちょっと待ちなさい。クソダサファッション勇者、待ちなさい」
今、クソダサとか言いやがった!
イラッとして、その声の方を見て後悔した。
「ようやく、見た、わね。あなた、は、死相が、」
占い師は、机を両手で持ちながら肩で息をしていた。話す言葉は息切れで、聞き取りずらく。顔を隠しているベールは、吐いた息で捲れ上がっている。
「そのまま、聞きなさい。緑の怪物には近づいてはいけないわ。何とも恐ろしい怪物。必ず逃げるのよ。良いわね」
占い師は、そう言って路地裏に消えていった。
「怖かった」
私は、占い師が見えなくなってから呟く。
死相とか、予言よりも、あの占い師が怖かった。絶対に目が血走っていた。
やっぱり、薬とかやっているのかな?やってて欲しいな。シラフだったら、この世界の人間の理性が信じられなくなる。