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消えた歌、響く声  作者: セバスチャン
再生の予兆
9/68

響く光の旋律

「やっほー、みんな!ミィコだよ。今日で配信1周年!いつも応援してくれてありがとう。今日は特別な曲、歌うね!」


ミィコの声は明るく、自然体だった。彼は


「どうせ大したことない」


と冷めた目で見ていたが、彼女がギターの弦を爪弾き始めた瞬間、時間が止まった。


温かい声が、スマホの小さなスピーカーから流れ出した。誰もが知るカバー曲だったが、ミィコの歌声はまるで魔法のようだった。


優しく、柔らかく、それでいて心の奥に染み入る。


配信を始めて1年、彼女の声には経験からくる自信と、視聴者への感謝が込められていた。


彼の疲れた心が、まるで温かな光に包まれるような感覚に襲われた。


「…何だ、この声」


彼は目を閉じ、ただその歌声に耳を傾けた。


仕事の苛立ち、クライアントとのやり取り、過去の裏切り。それらが一瞬で溶けていく。


ミィコの歌は、彼が長い年月忘れていた「温もり」を思い出させた。配信が終わり、ミィコが笑顔で言った。


「1年間、みんなと一緒に歌えて本当に幸せ。あ、そうだ!『セバス』さん、初めて来てくれたんだった!ありがとうね。また明日ね!」


彼は一瞬、目を丸くした。自分のハンドルネームが呼ばれたことに驚きつつ、胸が微かに震えた。


「…本当に、こんな声があるのか?」


彼はスマホを握り、静かに呟いた。砂漠のように干からびていた心に、初めて一滴の水が落ちた。


愛情という名の水をかけたとしても、すぐに乾いてしまうような荒れ地だったが、ミィコの歌声はその砂漠に、ほんの一瞬だけ潤いをもたらした瞬間だった。



#配信者とリスナー #癒しの歌声 #心の癒し #奇跡の出会い #名前を呼ぶ魔法 #疲れた大人 #深夜の出会い #再生のきっかけ #ネットの向こうに #癒し系ヒロイン


【あとがき】


ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

孤独な男と、画面の向こうから届いた一つの歌声。その出会いが、物語の静かな始まりでした。


次回の更新は少し空いて、5月4日になります。

ここから、彼の心がどのように揺れ動いていくのか――そして「ミィコ」という存在が、どんな影響をもたらすのか。

ぜひ、また覗きに来ていただけたら嬉しいです。


それでは、次回もお楽しみに。

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