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君がわたしにくれたもの  作者: 雨世界
飛鳥 あすか ただ、まっすぐに生きる。
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 二人はそれからお祭りを楽しんだ。

 明日香は自分でも想像していなかったほど、梓との二人っきりのお祭りをずっと楽しむことができた。

 そして、やがてお祭りはそのメインイベントとも言える花火の時間になった。

 二人は先ほどの神社の境内に戻って、その高い場所にある森の木陰の中に移動した。

「ここは有名な花火がよく見える場所なんだ」と梓は言った。

 有名と言う割には、周囲には人の姿はあんまりなかった。きっと、西高の中で、あるいは明日香が知らなかっただけで、この辺りの高校生の間で有名と言う意味なのだろう。

 雰囲気はとてもよかった。

 二人の周囲にいる少数の人たちはみんな恋人同士のように見えた。

 梓はそっと明日香の手を握った。

 明日香は一瞬だけびくっと体を反応させたが、それだけで、あとはなにも抵抗しなかった。

 明日香はずっと、梓に「ごめんなさい。やっぱり、あなたとは付き合えません。もっと早くにこういうべきでした。許してください」と言うつもりだった。

 でも、明日香の心は急激に変化していた。

 なんだか明日香はちょっとだけ、梓のことが本気で好きになっていた。

 そんな気持ちを自分の内側に感じるたびに、明日香は、この浮気者! ふられたばっかりだっていうのに、ずっと思っていたのに、もう違う人を好きになってるの! あんたは! と自分で自分のことを叱りつけていた。

 でも、だんだんとその努力は無駄になりつつあった。

 自分の気持ちに嘘をつくことはできないのだ。

 それに明日香は、そもそも嘘が下手だった。

 自分の気持ちに正直に生きていることが、梢明日香の数少ない自慢の一つだったのだ。

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