表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君がわたしにくれたもの  作者: 雨世界
飛鳥 あすか ただ、まっすぐに生きる。
14/51

14

 しかし実際のところ、明日香はこの場所で朝陽先輩と五十嵐響子先輩に会ったとしたら、うまく笑えるかどうか、自信がなかった。だから内心、すごくどきどきしていた。

 でも、そんな明日香の心配をよそに、とりあえずお祭りの人ごみをかき分けて神社にたどり着くまでに、二人に出会うことなかった。

 だけど、代わりに違う人を見かけた。

 それは明日香と茜と匠の担任である深町幸太郎先生だった。

「あれ? あそこにいるの深町先生じゃない?」と茜が言った。そこにいたのは確かに深町先生だった。深町先生のことが大好きな茜は迷わずに深町先生のところに行こうとした。

 そして、すぐにその足を止めた。

 深町先生の隣に、一人の女の人がやってきたからだった。その女の人を見る深町先生の目は、明らかに明日香や茜を見る先生の目とは違う目をしていた。

 だからすぐに、その女の人が深町先生の恋人、もしくは恋人ではなくても深町先生がとても大切に思っている人だということが明日香にはわかった。

 その女の人のことを明日香は知っていた。

 それは北高の一年二組の担任である逢沢泉先生だった。

 二人は神社の入り口近くにあるお好み焼き屋さんの屋台の前で待ち合わせをしていたようだ。こんな人目につく場所で、堂々と待ち合わせをするということは二人の仲は秘密ということではなくて、それなりにオープンな(つまり健全な)関係らしい。

 明日香は思わず立ち止まっている茜の横顔を見た。

 茜はまるで幽霊でも見てしまった人のように、その場の風景が信じられないと言ったような、とても神妙な表情をしていた。

 そして、茜の目から涙が溢れた。

 それを明日香は見逃さなかった。

 このとき初めて、明日香は茜が本気で深町先生のことを好きだったのだという事実を、……知った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ