第37話 カズマの功績と、世紀の結婚式と、それからと
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僕の提案した『脱穀機』と『水車小屋』は直ぐに作られた。
『脱穀機』は風の魔石を使い素早く稲穂を外すことが出来るようになったし、『水車小屋』は至る所に作られた。
麦畑は水車を使い全体位に水が行き渡るように同時に工事をしたのも大きかった。
ムギーラ王国には大きな川が流れて居る。そこから水を流し込んでいく作業も進んだこともあり、また水を堰き止める場所も作られ、更に今は溜め池の建設にも力を入れている。
本当はダムが良かったが、この時代にはそれだけの力がない。
ならば、まずは貯水地となる溜め池を作る事で、水不足になることは無いが川から遠い場所に作り、そこから水を引いて稲に水をやる方法も伝えた。
それらは画期的であり、また多くの国の者たちが視察にも訪れた。
少しずつではあるが、徐々に近代化を見せてくるムギーラ王国。
指輪が出来上がるまでの間に何とか出来たこれらの事にホッとしつつ、後は結婚式を待つばかりとなった。
そして、盛大なる結婚式を挙げる際、両親も来てくれたのだが、マリリンの美しい姿に感涙し、マリリンの父であるマギラーニ宰相は余りにも美しいドレスに身を包んだ、自分の追い出した娘に涙し、国を挙げての盛大なる結婚式を挙げた。
そのドレスの姿はあまりにも有名となり、後に『世紀の結婚式』として語り継がれ、写真は延々と飾られる事となるのだが――それはまた別の話で。
沢山の人に祝福された夫婦として、どんな王族よりも有名になってしまったが、幸せそうなマリリンを見れたことはこの上ない幸せであり、もういう事なんてないと思う程に幸せだった。
そして初夜も終わり、すっかり疲れ果てて眠った俺は翌朝――。
見知らぬ天井。
見知らぬベッド。
そこに横たわる、覇王の様なオーラを纏った素晴らしきに肉体美。
裸の僕。僕は昨夜の事を思い出すと血の気がサッと引いた。
女性らしい胸は皆無、最早大胸筋にある小さな胸……そんな覇王と僕は――。
「これで貴様は我のものだ……フフフ……フハハハハハハ!!!」
「せ……世紀末覇者!!」
――この日僕は、現実の厳しさを知った。
まさかマリリンがあんなにも激しいなんて思いもしなかった!!
思い出すだけで顔が真っ赤になりそうだったが、体の相性は意外にも抜群だったのだ。
「さて、共にシャワーを浴びるか」
「そう、だね……体はきつくない?」
「ふふっ 心配してくれるのか? 全く我の夫は我を大事にしすぎだ」
「大事にするよ、僕の唯一無二の妻だからね」
そう言って頬にキスを落とすと、マリリンは至福の笑みを浮かべた。
その後二人でシャワーを浴び、諸々の事情の後のシーツは片づけて貰う事になったが、皆から心から「おめでとうございます」と言われ恥ずかしかった。
ジャックやマイケルもこの上なく幸せそうにしていて、茶化す訳でもなく本当に嬉しそうでホッとする。
これがあちらの世界なら間違いなく茶化されていただろう。
両親は昨日のうちに元の世界に帰っており、俺はマリリンと一緒に近々温泉へと向かう。
視察を兼ねた三か月のハネムーンと言う奴だ。
レディー・マッスルの保有する鉱山の近くに湧いたという温泉は、今は大きなホテルが建ち、後は色々とベッド等を待つだけになっている。
既にこの日の為にベッドは実家に大量のベッドが運び込まれており、それを取りに行くのも今日からで、一週間は元の世界で過ごす予定だ。
ちなみに鏡もアイテムボックスに入れていく為、何時でも戻ることが可能である。
「今日から暫くお義父様やお義母様のいるご実家にお世話になるな!」
「近所でも海外の人と結婚したと伝えてるはずだから、沢山近所の人が着そう来そうだけど、仕事はボディービルダーをしているっていう事にしてる」
「ぼでぃー? びるだー?」
「肉体美の美しい人がしている仕事だよ」
「まさに我の為の職業だな!!」
「ふふっ! 僕はその会社で事務をしているという事にしてる」
「なるほど! ではその設定でいこう!」
理解度が高いマリリンに微笑んで頷き、僕たちは着替えを済ませると久しぶりに実家に帰った。
本当に久しぶりの実家だが、玄関を開けて「ただいま」と告げると母が嬉しそうに走ってきた。
「お帰りなさい! もっとゆっくりして来るかと思ったわ!」
「ははは」
「それにしても素敵な結婚式だったわねぇ……。マリちゃんの写真も沢山あるからね! アルバム幾ついる?」
「そうだね、マギラーニ宰相の分とジャックさんとマイケルさんと僕たち用かな」
「4つね! 分かったわ!」
こうして家に上がり久しぶりの実家を満喫する。
沢山あったお金のお陰で別室の広間はベッドだらけだけど、それらを全てアイテムボックスに入れていき綺麗にただの部屋にした。
枕や布団類はあちらで用意して貰う予定だ。
「それにしても、レディー・マッスルにも寄ったけれど、とっても大きな家だったわね」
「ホテルと言っても過言じゃないくらいだったね」
「うむ、そのように頼んで作ったからな!」
「それに併設しているお店も多かったし、マリちゃんはやり手ね!」
「カズマあってこそさ!」
「ははは」
マリリンの様子に笑っていると、玄関のチャイムが鳴った。
どうやら客が来たらしい。
母が出てみると「立花さんが来てるわよ」と言ってくれて、そう言えばそんな人もいたなと思い出す。
部屋にあがってきた立花さんはニコニコしていたが、どこか怒りを感じるのは何故だろうか。
「お久ぶりカズマ君、ご結婚おめでとうございます」
「ありがとう立花さん」
「む……」
「どうしたのマリリン」
「いや、なんでもない。我はマリリン。海外でボディービルダーをしている!」
「ええ、知っているわ。まさかカズマ君の好みがこんな感じとは思いもよらなかった」
「こんな感じって」
「私じゃ相手にならないのは無理もなかったわね」
そう言っているが、相手になるならない以前に、君と僕とではあまりにも接点は無いんだが。そう思っていると立花さんはこうも話し始めた。
「マリリンさん」
「なんだ」
「実は私も、カズマ君の事好きだったのよ」
「そうだったの?」
「ええ」
「そうか! だが悪いな! もう我の夫だ!」
「解っているわ。第二婦人になろうとか思ってないし」
「それは良かった!!」
「でも悔しいなぁ……。私にもチャンスはあったのかしら?」
そう言う立花さんだが、申し訳ないが無い。
その様な可能性は0を通り越してマイナスだ。
そもそも好みのタイプではないのは、マリリンを知っているからこそ言える事だ。
「それはないかな」
「そう……」
「それに、マリリンを見ての通り僕は彼女のような女性が好きなんだ。寧ろマリリンが好きなんだ」
「盛大に惚気てくれるわね」
「新婚だからね」
「ふふ、そうね」
「立花さんにもいい出会いがある事を祈ってるよ」
「ありがとう。おかげでスッキリしたわ。これ、お祝いの品だけど少し気が早かったかしら?」
そう言って手渡されたのは、ベビー服だった。
おお、おお……実感が凄く湧くな。
新婚初夜の事を思えばいつできても可笑しくはない。有難く受け取った。
「スポーツ競技が出来るくらい作ろうって言ってるから嬉しいよ。ありがとう」
「まぁ、それはマリリンさん大変ね?」
「ノンノン! 我とカズマなら出来るさ!」
「ふふふ! マリリンさんがもっと憎める相手なら良かったのに、なんだか毒が抜かれちゃったわ」
「ははは!!」
「おめでとう二人とも、幸せになってね」
「ありがとう」
そう言うと立花さんは帰っていった。
そうだとも、幸せになるんだ。今からも、これからも。
「マリリン」
「ん?」
「幸せになろう……もっと、もっとね」
「ああ、幸せになろう。我とカズマがいればその場は常にハッピーさ!」
その言葉と笑顔に俺も笑顔になると、マリリンを抱きしめ口づけた。
読んでいただきありがとうございます!
第二章完結!
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(マリリンに胃もたれしてませんか? 大丈夫ですか?)
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