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何かの受け売り

作者: はてな

人は未知なものを怖がるものだと、どこかの本で読んだ。その通りだと、この世で最も怖いのは、自分のコントロール領域を離れた未来だと、私は思った。人は何度もその恐怖に晒される。高校はどこに行くの?大学はどうするの?仕事は?、そんなことを考える時期になると、私はいつも恐怖と不安で頭がいっぱいだったのだ。その恐怖や不安といったものはただただ大きく、ただただ漠然としていた。具体的な方向性を考えようとしても、大きすぎるものでいっぱいになった頭は何も考えられず、だんだんと苦しくなったところで、私はいつも考えることをやめた。そうして何も考えず周りに流され生きていくと、あるふとした瞬間に自分のこれまでが、馬鹿らしくて惨めでしょうがなく思えるときがくるのだ。そんなことを考えても、もう遅い時期に。そうすると、また私は思考を止めて過去のことだと割り切り、水に流す。自分が納得できる理由を探す日々に、悲しいことに慣れてしまった。




人はいつからでも変わることができると、どこかの本で読んだ。その通りだと、自分の気持ちが確固たるものであれば、時期なんて関係なく今すぐにでも変われるのだと、私は思った。人は、こんなはずではなかった、あのときこうしていれば、もしこうだったら、と考える。そのときにはもう、変わるチャンスを得ているのだ。しかし人は変化を怖がる。変化とは、未知なのだ。私たちは、ヒトという性質に囚われている。まるで、金縛りにあっているかのように。今までの自分を変えたいと、普段ならやらないことに挑戦してみたことがある。もの凄い疲労とともに、私は充実感を得ていた。不安感と戦い、疲労と充実感を得る日々に、私は新しい光を見た気がしていたが、私の中は疲労で満ちていた。心の望むままに、休息の意味をこめてもとの生活に戻ったとき、私は身体が沈んでいくような、妙に心地のいい安心感を覚えた。私は動けなくなっていて、足には鎖がついていた。

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