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宵越しのレベルは持たない ~サキュバスになった彼女にレベルを吸われ続けるので、今日もダンジョンでレベルを上げる~  作者: パンダプリン


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第18話 うまい話の裏側の考察(未遂)

「見覚えあると思ったら、ホブゴブリンってあの強化版ゴブリンのことか」


 ゴブリン強化種とか亜種って勝手に呼んでた。

 そうか、あいつらと同じ剣か……。ちょっと嫌だけど、値段相応の働きはしてくれると思う。


「というか、わりと魔獣を倒してるけどボスしかアイテムを落とさなかったな」


「ずいぶんと確率が低いみたいだねえ。きっと私が善を嫌いになるくらいの低確率だよ」


「0%じゃん」


「えへへ~」


 剣を持っていないほうの腕に抱きつかれる。

 もうそこが定位置だよね君。

 今日はコボルトたちが出現する別の【初級】ダンジョンへとやってきた。


 さすがに【初級】ダンジョンを一つクリアした程度では、まだ【中級】ダンジョンへの立ち入りは許可されない。

 それに、この際だからスキルレベルを上げて、効率よく強くなるのが目的だ。


「ゴブリンより動きが速いな」


「でもゴブリンより攻撃も軽くて耐久もないね」


 今は入り口付近のコボルトなので、誤差程度の違いしかない。

 だけど、こいつも奥に進むにつれて強くなり、群れで襲いかかってくるようになるんだろうな。

 ゴブリンとどっちのほうがマシかは、戦い方や能力の違いによって意見が変わってくるだろう。


「俺はゴブリンのほうが楽だったかなあ。こいつら俊敏だし」


 何匹目かのコボルトを倒して抱いた感想はそれだ。

 まだ弱い個体ではあるけど、回避主体のこいつらは倒すのが面倒くさい。

 剣でちまちまと戦う相手じゃないのか?


 あ……そういえば、職員さんに変人と思われながらも取得したスキルを活用していないじゃないか。

 【環境適応力:ダンジョン】がぶっ飛んだ効果だったため、そればかりにかまけてしまっていた。

 いや、一応【剣術:初級】は剣で戦ってるから意味があるのか?


「善、また出てきたよ~」


 次は魔法を試してみよう。ちょうどそう考えた矢先に、紫杏が次の敵の接近を知らせてくれた。


「了解。ちょっと下がっててくれ」


 わざわざ言わなくても、紫杏は俺の邪魔にならないため後ろにいてくれる。

 でも今回は初の試みでもあるので、念のためにそうお願いした。


「よっ……と、ああだめか」


 手のひらをかざして体の中の魔力を込める。

 そして、向かってくるコボルトめがけて一気に魔力を放出すると、魔力は球体の塊となって飛んでいった。

 ……のだが、コボルトはあっさりと横に跳んでよけてしまった。


「そりゃあ魔法だって練習しないと無理だよな」


 仕方がないので、短剣を俺に突き立てようとしたコボルトの攻撃を剣で受け止める。

 そのまま力任せに短剣をはじくと、体勢を崩して隙だらけのコボルトを両断した。


「おっ、レベルが5に上がった」


 魔法は次の課題だな。

 それよりも、【環境適応力:ダンジョン】のレベルは……。


「5だね」


「5だな」


 紫杏が顎を俺の肩に乗せながらカードをのぞき込んでくる。

 そこに記されていたスキルレベルは5。前回から上がっていない。


「もしかして、5が最大? それとも、これ以上はなにか条件がある? 上限を上げるためにはもっとレベルや功績がいるのか?」


「ちょいちょい、善? ここで考え事したらだめだよ?」


「ああ、ごめん。しかし、どうするかな。完全に当てが外れてしまった」


 【初級】ダンジョンならまだいい。

 先日と同じように低階層で魔獣を狩っていけば、階層が進むにつれて強くなる魔獣たちよりも俺の成長速度が上回るのだから。

 だけど、この方法がすべてのダンジョンに通じるというわけではない。


 【超級】ダンジョンとかだと、ふつうにレベル100とか必要になるだろうし、どうなると俺は一日でレベルを20稼げないと挑戦するのは厳しいだろう。

 レベルは、高くなるほど簡単には上げられなくなるからな。

 何日かかけられるのならともかく、一日という時間制約がここにきてまた厄介な枷となる。


「私が我慢しようか……?」


「いや、必要ない」


 前に見た紫杏の様子だと、一日ももたないだろ。

 今みたいに毎晩レベルを捧げるのが正しいのかもわかってないけど、少なくとも安定はしている。

 これを俺の都合で変えてしまって、紫杏の体調が悪くなったら元も子もない。


「まあ、なんか考えるとして、とりあえずここは制覇してしまおう」


 案外強い魔獣を倒したらサクサクとレベルが上がるかもしれないしな。

 まずは立ち入り許可すらされていない【上級】よりも、目先の【初級】をなんとかしよう。


    ◇


「やっぱりでかいんだな」


「かわいくないタイプの犬だね~」


 順調にダンジョンを進んでいき到達したボス部屋の中。

 そこにいたのは、他のコボルトたちよりも大きな体をしており、獰猛な顔つきのボスコボルトだった。

 なんか他のコボルトより狂暴そうというか、頭が悪そうでもある。ヨダレとか垂らしてるし。


「それじゃあ、まずは【魔術:初級】を」


 魔力を練り上げていき、威力は度外視にして範囲だけを広げるようイメージする。

 そうして放出されたのは、最初に使ったような球体の魔法ではなく、球体が炸裂して周囲に俺の魔力が飛び散る魔法だ。

 当然威力は低い。球体の魔法とは比べ物にもならない。


「よしっ、いけるな」


 だけど衝撃はしっかりとコボルトに伝わるみたいで、素早い身のこなしが一瞬だけ動きを止めるのだ。

 あとはその隙にいつも通り剣で斬るだけ。

 これが一番安全に効率よくコボルトを倒す方法だと気がついた。


「うわっ、あぶなっ!」


 だけど、さすがはボスなだけあり、大きな体をしたコボルトは剣で斬られながらも反撃してきた。

 ボスゴブリンほどではないにせよ、まともに食らったら怪我しそうなくらいの双剣による攻撃。

 というか、いいなあれ。手数も多いのに威力も高そうだし、あの武器俺もほしいな。


「善、突進しようとしてるよ!」


 紫杏が忠告してくれるが、俺にもその予備動作のようなものは見えていた。

 大きな体なせいか、こいつは他のコボルトたちと違っていちいち動きが重そうで、この突進もコボルトというかイノシシを彷彿させる。


「避けて……斬る」


 結局、【初級】ダンジョンに登場する魔獣は、全部その基本的な動きでなんとかなる相手だ。

 だから落ち着いて対処していけば負ける心配も……。


「善!」


 難しいな。やっぱりゴブリンより苦手かもしれない、コボルト。

 鈍重気味な動きだけど、ボスゴブリンよりは素早いせいで、その突進を受けてしまった。

 幸いなことに吹き飛ばされたおかげか、両手に持った剣による追撃は空を舞っている。


「大丈夫!? あいつ殺す?」


「落ち着いて。さすがにステータス差が開きすぎてるからか、ダメージはないから」


 ちょっと息が詰まった感じがしたけどそれだけだ。

 ゴブリンのときと同じく、ここにくるまでのコボルトを倒したことで俺のレベルはまたも10まで上がっている。

 つまり、レベル50でボスと戦っているのだから、苦戦なんかしていられない。

 ……攻撃を受けたこと自体が恥ずべきレベル差だ。


「しっかりと見る。しっかりと見る……」


 動きに対応すべく相手をじっと見つめる。

 ステータスでは勝ってるんだぞ、そう何度も攻撃を食らっていい相手じゃないはずだ。


「しっかりと……今!」


 突進しながら双剣を振るわれるが、巨体の間を潜り抜けるようにしてかわす。

 勢いそのままに、壁に激突したコボルトの隙だらけの背中を斬りつける。


「この感じだな」


 ちょっと素早い攻撃もこれで慣れた。

 なら、あとは落ち着いて倒すだけだ。


    ◇


「ゴブリンよりも耐久力は低かったみたいだな」


 何度か剣による攻撃を繰り返し、交代した紫杏は相変わらずボスコボルトの巨体が浮くほどの拳打を見舞い、二人でボスコボルトを倒すことに成功する。

 順調だ。もう【初級】ダンジョンなら安心してクリアできる。


「それでやっぱりボスは確定でアイテムを落とすんだな」


 どういう原理か、魔獣が消えるのと同時に現れる宝箱。

 一説では魔獣の魔力が、ダンジョンの中でアイテムに変換されているのではなどと言われている。

 原理は知らないが、貴重な収入源なのでボス以外からも落としてほしいものだ。


「中身は、ボスコボルトの双剣」

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