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ファンタジー 「猫側」
『目が見えない』
にゃーにゃーと鳴く自分を
母は見捨てたのだろうか?
そうだ、兄弟姉妹の中で
自分は、小さかった
同じように舐めてもらっていても
自分の目脂だけ、取れなかったようだ
なので、置いて行かれた
それから…
にゃーにゃーと
鳴くだけしかできないので、鳴いていたら
人の子どもが、
「あ、子猫だ」
と、触る
「やめなよ、ダメだよ」
と、声が聞こえる
理解はできないけれど
ひとりの子どもに
抱っこして連れて行かれる
そして、
その子は、小学校の校門で
叱られ、
「猫は…」
猫は、小学校に入れるわけにはいかなかったのだろう
小学生の子は、仕方なく
門の外に自分を置いて
去るしかなかった
小学校の校門の前で鳴く、自分の元に駆け寄って来た人がいた
そして、その人は
自分を抱っこして
自転車に乗せて
しばらく漕いだ後、辺りを見回して
置いて行く
不安で鳴く
鳴くしかできない