7
種別は違うといえ、彼らも最初は血と肉に相当する肉体を持っていた。太古の生命に刻まれた進化の記憶からか、やがて滅びずに文明を築いた彼らは、大いなる畏怖と希望を持って宇宙の大海に乗り出した。多くの銀河世界を巡っては仲間を求め、また生命の曙に彼らが正しいと信じる干渉をした。その過程で滅ぼされる生命体もあったが、誰もそれを止めるものはなく、彼ら自身の望みではなかったといえ、多くの世界で〔神〕と呼ばれた。もちろん、そこに行き着く過程で彼らは血と肉の身体に限界を感じ、機械が充分それに適う能力を身につけると、はじめは脳をついで思考だけを、清潔な金属と光り輝くその酸化物複合体(宝石)の中に移し替えた。しかし、機械生命の長寿はそれ自身の形態を奪った。幾多の研究の末、彼らは時空構造そのものをメモリバンクとして用い、中間スピンのない光の格子の中に永遠に思考を保存する方法を発見した。ほどなく、彼らは純粋エネルギー生物に変化していったが、よもや彼ら自身が、彼らから見れば塵のように取るに足らない下等生物の餌食にされようとは思い至りもしなかった。時空を食う生物に彼らは対処できなかった。純粋エネルギーである光の場は当然時空構造そのものにも変化を及ぼす。ゆえに彼らは、その低能な捕食者から隠れることさえできなかったのだ。もちろん種々の武器を用いれば、捕食者を撃退することはできた。しかし裸の存在で一対一で対峙したとき、すでに全能だったはずの彼らになす術はなく、遥かな昔に克服したはずの恐怖心を、再度彼らの心に刻みつけることになったのだった。
こうして宇宙の曙種族であった彼らは種々の銀河系で数を減らし、またその非全能性に耐え切れず、偏屈な怒りの存在に自らを変貌させていくものさえ現れるようになった。
願わくば、彼らが二度と飛来することがないよう、多くの後発生命種族は祈っている。無意識という、実は意識に植えつけられた意識活動の内に……