6. クラス「月」
「……ありがとう?こっちの台詞だよ!」また優しい人に出会えた気がする……
「実はさっき、先輩の話によると、クラスの担任のスピーチが終わったら今日の授業はもう終わるって!だからさ!」
「だから……なに?」授業が早めに終わることは良いことだけど、何がしたいのかな?
「一緒に昼ごはん食べて、どっかで回ろうよ!私も霊界についてもっと知りたいし!」
なんか、楽しそう……!
「うん、良いですよ。」
「じゃあ決まりだね!授業が終わったらまた相談しよう!」
多分ずっと前から思ってたけど、霊界の人って良い人ばかりだね。
●○●○●
そのあとは、他のクラスメイトも来たから、話せなかった。
そして、もう一つ重要なこと。
エリサ様が、私の隣の席に座ってる……!
嬉しいけど、オーラ強すぎて気安く近づけない……
先生も、その直後に来ました。
また若い人に見える……妖精って若く見えるのかな?
彼は木の妖精で、メガネをかけている。優しい顔立ちと、普通の男よりも髪が長いのが特徴。
「このクラスの担任、ローガン.シャーロットと申します。ローガン先生で呼んでくれると嬉しいです。」す、すごく優しい声……聞くと落ち着く……
「まずは、これかな。」ローガン先生は指を鳴らした同じタイミングで、紙が机の上に現れた。
「学院の科目は必修科目と選択科目に分けられます。」
「必修は二つ、魔法理論と実技;選択科目はかなり多いけど、紙に説明もついてるので、ご覧ください。」
見たところ、「呪い」と「格闘技」とか、なんか怖そう……
え、ちょっと待って……「咏唱」?「薬草学」?名前を見てもさっぱり分からない……
「さてと、次は手帳、寮の鍵と生活費を渡しますので、名前が呼ばれたら来てください。受け取ったら解散して良いよー。えーと、ユリカ・イングさん。」
「受け取ったら解散しても良いて言ったよ!アヤメちゃん!」後ろからさくらちゃんの呟きが聞こえる。
「アヤメさん。」え!!こんなに早いの?!
「ちょっと、行ってくるね。」桜ちゃんとお別れしたあと、すぐ先生のところまで走った。
「こちらは手帳、寮の鍵、あと封筒に入ってるのは生活費。アヤメさんの寮は『秋』だよ。」
「は、はい!ありがとうございます……!」手帳も鍵も、すごく綺麗……
「最後にこれを。六使だけの専用カードで、いろんな所で使えるよ。無くさないでくださいね。」
「……はい。」敬礼したあと、私は席までに戻った。
手帳は私の手より少し大きめで、色はとっても相性が良い、青と白でした。
鍵は金属製で、頭のところは小さなクローバーが付いてる。
最後はこのカード……少し意味不明な感じだけど、今は気にしないでおこう。
「中原桜さん。」
いつの間にか、さくらちゃんの名前も先生に呼ばれた。
彼女は立ち上がり、先生の方へ向かう。
私は思わず頭を上げた。
そしたら、一つの事に気ついた。
──クラス全員が、さくらちゃんのことを見てる。
やっぱり気のせいではなかった……
零域の人がここに現れるって、そもそも見た事がない。
その上で、さくらちゃんは間違えなく霊界に認められてる美少女。
注目を集めたのも当然。
でも、なんかさっきとのイメージがちょっと違う気がする。
なんていうか、「私に近づかないで」っていうオーラが出してるみたい……
「アヤメちゃん?ねえ、アヤメちゃん!」
え?!
「あ、さくらちゃん、どうしたの?」
「ぼーっとしてるから、なにかあったのかなーって。」
「そ、そんな事ないよ!どこへ行きたい?」さくらちゃん、観光したいよね。
「アヤメちゃんはなに寮〜?」
「私は秋の寮だよ。さくらちゃんは?」
「夏!」
夏か〜。なんか似合ってる気がする。夏といえば情熱、元気な感じだし。
「夏と秋の寮は近いから、一緒に行きましょう。」
「うん!」