3. 学院案内(1)
学級のトップとか、私には絶対無理です……
先生に伝えなくちゃ……!
「アヤメさん。」こ、この声は!
気づいたら、タツ先輩は私の前にいた。
タツ先輩は入学試験の時に、案内してくれた水の妖精です。
話によると、私と同い年の妹がいるみたいです。
きっと、素敵な人だろうな。
「おはようございます、タツ先輩。」見覚えのある顔を見るとなんか安心する。
「学院の案内するから、しっかりとついてきてね。」
何度も思ったけど、本当に優しい人……!
「は、はい!」
「テレポーテーションの術を使えますから、あまり離れないでください。」
「う、うん!」
えーと……
気がつけば、周りの人たちもだんだん消えていく。
ツキノさんやエリサさんも私に向けて手を振って、他の先輩と共に去っていきました。
「行きますよ、アヤメさん。」タツ先輩は準備が整ったみたいです。
あっという間に、私たちは他の所まで移動しました。
ここは……?
知らない花がいっぱいで、私の前に並んでいる……!
「ここは花壇だよ。学院で数の少ない、休める場所です。」
花もいっぱいあるけど、庭もあるとは……!
「花は霊域から持っていきているみたいだよ。学院長の趣味らしい。」
「ほ、本当にすごく綺麗です!」
お家は一応お庭もあるけど、たまに練習場の形で使われてるから、花も植物も実はあんまりなくて……
霊域の花はあんまり詳しくないけど、一番有名の花は桜です。
あ!そういえば……
「あの、タツ先輩、これは学院長からの贈り物なのですが……」
「うちの学院の象徴だよ。自由に使ってください。」
確か、学院長はそう言っていました。
桜のバッジ。
タツ先輩は優しく微笑んでいました。
「これは、何でも変えられるんだよ。例えば……」
タツ先輩は桜のバッジを取り出した。
一瞬、バッジが光った。
眩しくて、思わず目を閉じた。
光が消えた後、私は目を開けた。
タツ先輩が手に持ってるのは、バッジの代わりに、オシャレなペンだった。
「こんな風に、思うままに自分の好きなものにチェンジできるよ。武器とかアクセサリーとか、何でも。」
す、すごい……!
「この術の成功の鍵は、心です。」
心……?
「アヤメさんも試してみる?」
「う、うん!」やってみる!
「まずは、変えたい物の形を想像して。」
「……」よし!これに決めた!
「次は、手の上に集中して。」
言われる通りやると、握り締めた手がだんだん光った。
そして、手の上に、何かが現れた。
四つ葉のクローバーのヘアクリップです。
「四つ葉のクローバーの花言葉は、幸福、希望、幸運と聞いていたので、想像してみました。」と、私は言いながら、クリップを前髪でつけました。
「本物じゃないけど、幸せになれるよう頑張ります!」
タツ先輩は、静かに笑った。
「幸せになれるよ良いね。」
「はい!」いつか、きっと……あの人と……!
あ!そういえば!
「あ、あの、タツ先輩!いきなりですが!」
「はい、なんですか?」
よし……!
「六使は……この学級、つまりは私たち一年生のトップってことですよね?」
「正解ですよ。それで何か?」
私はなぜか、深呼吸しました。
「人間が選ばれたって、普通……じゃないですよね?」多分妖精に聞くのもちょっと変だけど、「三人の人間が一年生の六使って、何か間違ってるはずです!特に私!」
「いえ、六使のリストは間違える訳が無いよ。」タツ先輩は優しく答えてくれた。
「それよりも、君が六使に選ばれた理由、わかる?」
「い、いえ……」
「じゃあ、拒否する理由、ある?」
「あ、あの……!」頑張って話さないと!
「私、普通だし、体内の精霊も特に多いではないですし、話すのも苦手だし……人を選ぶなら、エリサ様みたいな人とか、あと隣に座ってる水と火の妖精と方が似合うと思います!」
「ツキノさんもしっかりしてますし、イブキさんとまだ話したことないけど、きっと選ばれる理由もあって……!」
「アヤメさん、聖典祭、勝ちたい?」話してる途中で、タツ先輩はいきなり私に質問を振ってきた。
「そ、それは、もちろん勝ちたいです!」あの願いが叶えば、なんでもします……!
「六使は、聖典祭の勝利への一つの、良い意味の踏み台だよ。」
踏み台……?
「君が六使に選ばれた理由は、きっとあるよ。けど、それは君自身が見つけないと。」
自分が選ばれた理由……?見つける……?
「六使はね、実力だけじゃないんだよ。」タツ先輩がくれたのは、ヒント……?
「次の場所いかないと、遅刻するよ。45分以内に教室に戻らないと怒られるからね。」
時間制限、あるんだ……
「は、はい!」