10. 六使
思わず来てしました。
ヤバイ……どうしよう。
「入らないの?」
だ、誰?!
振り返って見ると、ツキノさんが私の後ろにいた。
「い、いや、今から入るつもりです!」人の部屋に入るの初めてだから……
「私、ノックするから、ちょっと待って。」
優しい……!
ツキノさんがノックした直後、扉を開けてくれたのは人間の男の人でした。
『入って良いよ。』
「は、はい!ありがとうございます!」
……って、ちょっと待って。今の声って、頭の中から聞こえる……?
「ありがとう、イブキさん。」
こ、この人がイブキさん……!
とりあえず入ってみようかな……
中には、三人の妖精がいた。
お姫様以外にも二人がいる……今日寮で会ったディランさんと……名前はフリントさんだっけ……?
つまり、六使が揃ってる……!
「ツキノさん、アヤメさん、いらっしゃい。適当に座って良いですよ。」
「は、はい!」
お姫様はソファーで座ってるけど、他の三人は床に座ったから、私も座ろうかな。
「改めて、この度は六使になった皆さんに集まっていただく為に、私の部屋にお呼びしました。これから一緒に協力する仲間だから、一緒に頑張りましょう。」
そんな時、フリントさん(名前はあってるよね……?)が私のこと覗いた気がする……一瞬だけど。
でもそれ、お姫様に気付かれていたようです。
「別に全員と仲良くするわけじゃない。ただ仕事に支障ない程度には。」
こ、怖い……
「じゃあまずは自己紹介だね。左からどうぞ。」
左ってことは、私が三番目……!
「ディラン・ミラーと申します。水の妖精、星組です。フリントと長いお付き合いです。よろしくお願いします。」ディランさんは前に会った時のように、優しい笑顔を見せる人です。多分同い年だけど、ちょっとお兄さんっぽく見える。
幼馴染なんだ……
「フリント・ロペス、火の妖精。同じく星組です。よろしくお願いします。」フリントさんは、強気な感じだけど、なんかちょっと……いや、気のせいにしましょう。
あ、次は私だ!
「アヤメ……です。えーと、月組です。よろしくお願いします。」
ふう……無事に言えた……よかった。
「ツキノです、日組。よろしく。」
『イブキと申します。日組です。よろしくお願いします。』
声がまた……頭の中に聞こえる……
「お前の番だよ!」
「まあまあ、ちょっと落ち着いて、フリント。私は聞こえるよ。」お姫様も、聞こえるんだ。
「わ、私も聞こえます……!」頑張って言いてみた……!
「失礼ですが、皆さんは何を言ってるんでしょうか?よく分かりません。」ディランさん、聞こえないようね……
「私は聞こえたよ。これは、女子しか聞こえないってことなのかな?」ツキノさんは分析していた。
「だから……」誰かディランさんに説明しないと……!
「えーと、ディランさん……!」私は思わず手を上げた。
「何ですか、アヤメさん?」
「じ、実は、イブキさんが私たちの頭の中に話してるんです……ディランさん、聞こえますか?」
「聞こえませんね。ということは、エリサ様、そしてツキノさんとアヤメさんも聞こえるってことですか?」
「……はい、そうです。」私は頷いた。
「僕も聞こえないけど……これどういうこと?」フリントさんも珍しく落ち着いて、こう言いた。
『多分、あの二人はまだ僕に警戒心を持ってるかも。警戒心を解かないと、魔法は届かないから。』あ、イブキさんの声がまた……
「だって。」ツキノさんは会話の内容を、二人に伝えた。
「普通に話せないの?!」フリントさんは大声で言ったけど、怒ってるじゃないみたい……
『呪い。』呪い……?
「とにかく、仕事の邪魔になるから、フリントとディランは早く警戒心を解いてください。」
「……はい。」
「かしこまりました。」
呪いのせいで、話せない?
お母さんの話だと、呪いはせいぜい続いて一年だから、最近のことなのかな……?
『5歳の時から。』
ご、5歳?!
……って、私だけ驚いてるけど……
『君は一番警戒心がなさそうな人だから、君の心の声、なぜか聞こえるんだ。』
えええ!!!
で、でも、5歳から始まる呪いって……相当強いな人でないと無理じゃないかな。
『僕も、知りたいです。』
本人がわからないの?!
「わからない。」
あ、じゃあ、イブキさんの願いは呪いを解く──
「それは違う。」
えええ!!
「とにかく、君となら仲良くなれそうだ。これからもよろしく。」
あ、はい……
馴れ馴れしい……な感じはしないけど、何だろうこの感じ……?
見覚えのあるやりとり……?
イブキくんは話さないから、『』を使ってますよ^^
ここまで読んでくれて、ありがとうございました!
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