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光というのが、こんなに心強いというのを始めて知ったよ……
ほんのりバッテリーの熱で暖かいのもいい。
別に寒くはないけど、いいものはいい。
ただ、このスマホは自分の物ではないようだ。
オレのスマホは木目調のスマホカバーで、その下はライトグリーンだ。
だがこのスマホは、カバーもなければ、つやつやとした純白。
どっちにしろ、これはオレの命綱だ。
だが、スマホの光を周囲にかざしてみても、何も見えなかった。
まるで光が吸い込まれているようだ。
こんなこと、物理的にあるのか……?
スマホという物質文明の象徴があることで、実は死後の世界では……というような恐怖が少しだけ和らぐ。
しかし――
「このスマホもおかしいな……」
あるべきものがない。
このスマホにはアプリがたった一つだけしか入ってないのだ。
通話やカメラのようにあって当たり前の機能すらない。
設定に入るためのアイコンもなければ、電源ボタン自体見当たらない。
明らかに異常だ。
少なくとも、こんな場所にこれがあることに、何かの意図を感じる。
「……このアプリを開けってことか……?」
たった一つあるというのは、チャット型SNSアプリのRUNEだ。
オレもRUNEくらい使ったことはある。
タップしてみると、トークに新着マークが出ていた。
何か情報がないかとトークを開いてみると、「いのち」と誰かがメッセージを書き込んでいる。
意味がわからない。
相手の名前は「マチコ」とあるが、これにも思い当たる節がない。
「……」
使うのは、どこか怖さがあったが、このままでいるわけにもいかない。
『ちょっと、すいません。聞きたいことがあるんですが、いいでしょうか?』
と書いてみた。
すると、すぐに既読がついた。
……繋がっている。
吉と出るか凶と出るか……
『かい』
は?