休み時間でも出来る事 その3
長かったこの話も、ようやく今回で完結します。
そして、遂に明かされる浩二の発言の真意とは?
その答えは読んでからのお楽しみという事で!
「日の丸弁当なのに、ぷちトマトは絶対にオカシイだろ!!」
「…はぁ?一体、いつの話をしてるんだ??」
「…え??」
「そうだよ、流ちゃん。それ、一週間前のネタだよ~」
「…え、アレ??」
呆れたように、俺を見る浩二と雪菜。
つか、あの浩二にまで、そんな呆れた顔で見られると、何か知らんがスゲーむかつくのだが…。
浩二のクセに生意気!!←お前はジャイ○ンか!?www
「流ちゃん、一週間前にも全く同じ事で突っ込んでいたでしょ~」
「一週間前?」
「そうだよ~、あの日から一週間経ってるんだよ。大丈夫、流ちゃん?」
「……」
「あっはっはっは!流の奴、暑さの所為で遂におかしくなったのかぁ~!!」
「お前にだけは、言われたくないわ!!」
…浩二に馬鹿にされるなんて、何と言う屈辱だ~!
それにしても…。
一体、どういう事なんだ?
アレから一週間が経過しているって、意味が分からんのだが…。
日の丸弁当のネタは、ついさっきの出来事じゃないのか?
「流ちゃんが疑問に思うのも無理はないよね~」
「へ?」
「つまり、これは作者の意志なんだよ」
「はぁ?言ってる事が、全く意味不明なんだけど…」
「だからね~。作者は何だって出来る神みたいな存在なんだよ~。だからこそ、もう一人の流ちゃんの分身である作者は、この世界で出来ない事は無いんだって~」
「……」
ヤバイ、雪菜が何を言ってるのかマジで分からん…。
神とか作者とか、一体何のこっちゃ?
もしかして、あまりの暑さに雪菜おかしくなっちまったのかな??
「むぅ~。流ちゃん、また失礼な事考えてるね!私、おかしくなってないよ~!」
「だから、無意識に俺の心を読むの止めろっつの!」
「とにかく、もう一人の流ちゃんの力によって、アレから一週間の時間が経過してるんだよ~!分かった?」
「……」
…分かった?とか言われても、イマイチ雪菜の言ってる事がよく分からんが、とにかく謎の神とやらの力によって、アレから一週間が経過しているらしい。
俺の中では、この一週間の記憶が全く無いのが、かなり気になるのだが、深く気にすればする程、頭が痛くなりそうなんで、もう考えるのは止めにしよう!
もう一人の俺とか、真剣に考えると怖いからな…。
「作者イズ神!正に、フリーダム!!」
「おわ!何だ、突然!?」
俺がぼ~っとそんな結論に達した所で、いきなり浩二の馬鹿が大声でそんな事を叫んだので、マジでビビッた!
「や、何となく言いたくなっただけだから、気にするな」
「何なんだよ、お前は…」
ホント、意味が分からん…。
「パクパク。そんな事より、お前達も早く飯を食わないと昼休みの残り時間少ないから、食う時間なくなるぞ」
「あ、あぁ、そうだな」
気付けば、一人もくもくと昼飯の弁当を食べている宏。
さっきから宏が会話に参加しないと思ったら、一人で弁当に夢中だったのか。
そんな事を考えながら、宏の座っている席に、空いてる席をくっ付けて島を作る俺たち。
そして、座ると同時に、浩二の奴は嬉々として弁当の蓋を開けた。
「今日のお弁当は、なっにっかなぁ~?」
「……」
俺の中では、ついさっきまで昼飯を食べていた記憶があるので、これからまた昼飯を食うというのは、何かやはり妙な気分だ…。
カパ!
「おぉ~!今日は、野菜カレーだ!!母ちゃん、ありがとう♪」
「って、ヲイ!?」
「ん、何だよ?言っとくけど、これは俺のカレーだから、お前にはやらんぞ…」
「って、違う!そうじゃなくて!!」
浩二の弁当箱の中に広がっていた光景に、俺は思わず驚愕していた!
だって、その弁当箱の中には…。
「野菜カレーっていうか、野菜そのものじゃん!?」
そう、浩二の弁当箱の中には、トマトやキュウリやナスが、丸ごとそのままの形でゴロゴロと鎮座していたのである…(汗
「何言ってるんだ?これは、野菜そのものじゃなく、野菜カレーだって!」
「違う、絶対お前騙されてるよ!つか、野菜カレーって、肝心のカレーは一体何処に??」
どう見ても、浩二の弁当箱の中には、野菜(丸ごと)しか見当たらんのだが…。
「ははは!カレーなら、ここにあるじゃないか~」
そう言って、浩二が弁当の入っていた巾着袋から取り出した物。
それは…。
「カレーパンっ!?」
「そう、このパンの中のカレーをこうやって…」
そう言うと、取り出したカレーパンの袋を開けて、パンを割り中身のカレーだけを器用に、弁当箱の中身へと落とす。
うにょ~。ぼと。
「ほら、完成!これぞ、出来立て野菜カレーだ♪」
「違あぁぁぁぁうっ!!カレーを冒涜するなっ!!」
幾ら何でも、これは有り得ないだろ…(汗
これの一体何処が、カレーパンだ!?
…あ、間違えた!
野菜カレーだっ!?だった…www
「ちょ!流ちゃん、落ち着いて~!」
「おいおい、食事はもっと落ち着いて食おうぜ?」
「……」
そんな俺を宥める雪菜と、冷静にそう言う宏。
俺か?俺が、変なのか??
いや、絶対に変なのは浩二の弁当だろ…。
「ははは、しょうがない奴だな~、流は~」
「お前が言うなぁ!!」
はぁはぁ…さっきの件とは別で、また何か頭が痛くなってきた…。
「さっきから何をそんなにムキになってるのか知らんが、間違いなくこれは野菜カレーだって」
「だから、違うって!それは単純に、カレーパンの中の具を、生野菜の上に落としたモノだろ!!」
「そうだよ?それの何が悪いっ!?」
「や、逆ギレすんなよ…」
はぁ~、これじゃ全く話にならんぞ…。
でも、このまま放っておいたのでは、浩二の今後の為によくないと思う!
今の内に、間違いは正しておかねば、何だか俺自身が納得いかんからな!
それに、見て見ぬふりは出来ないだろ!!
「なぁ、宏。これ、絶対に野菜カレーじゃないよな?」
このメンバーの中では、かなりまともそうな宏にそう聞いてみる。
すると…。
「浩二の奴が、野菜カレーって思ってるんなら、それで良いんじゃね?ぱくぱく」
「おいおい…」
宏の奴は自分の弁当を食うのに夢中なのか、そんな適当な答えが返ってきた。
それならば!と、今度は雪菜に同じ質問を振ってみると…。
「野菜カレー、美味しいよね~♪」
「ま、確かに美味いけどさ…」
…何故か、カレーの美味しさについて語りだしやがった!ww
「や、そうじゃなくて!野菜カレーって、明らかにもっと違う料理だよな?」
「う~ん?住んでる土地によって、色んなご当地グルメがある位だから、浩二君の住んでいる地域では、こういうカレーが普通なんじゃないかな~」
「って、ご当地グルメって…。俺たち、同じ地域に住んでるだろ!」
「あ、そうだったね~。あはは~」
「……」
駄目だ、雪菜は天然入ってる所があるから、別の意味で話にならん…。
つか、ご当地グルメにしたって、そもそもアレは料理以前の問題だろ!
グルメからかけ離れてるっての!!
くそぅ~、こうなったら俺自身で、間違いを正してやるしかないのか…。
結局は、頼れるのは自分自身ってね…。
「おい、浩二。お前、絶対に間違ってるからな!」
「バリボリ、お?」←キュウリを齧ってたw
「だから、ソレは野菜カレーじゃないから!」
「…お前もしつこいなぁ。我が家では、これが野菜カレーなんだよ、バリボリ」
「そもそも野菜が丸ごとなのも、如何なものかと…。せめて、皮を剥いて切る位はしようぜ…」
「わはは!我が家ではこれが普通なんだよ~。バリボリ。母ちゃん、大雑把な性格だかんな~、バリボリ…」
「いや、大雑把すぎるだろ!!」
「はははは!それこそが料理の醍醐味なんだって~、バリボリ。とにかく、お前に何と言われようが、我が家ではこれが野菜カレーなの!バリボリ…」
「お前んちではそうなのかも知れんが、世間一般ではソレは野菜カレーとは絶対に言わん!!」
「ん、そうなのかぁ?バリボリ。んじゃ、コレは世間一般とやらでいうと、何ていう料理なんだよ、バリボリ…」
「只の、生野菜の上にカレーパンの中の具を乗っけたモノ、だろ…」
「やたら、長い名前の料理なんだな~、バリボリ…」
「や、だから料理ですら無いんだって!あと、どうでも良いけど、キュウリ齧りながら喋ってるから、さっきから語尾に『バリボリ』って付けて喋ってるような錯覚が…」
「おぉ~、言われてみれば!バリボリ…」
「……」
「……」
「……」
「…バリボリ」
…何か知らんが、ドッと疲れてきた…(汗
もう突っ込む気力も無くなったので、俺も無言でさっさと自分の弁当を片付ける事に。
……。
…。
「ふ~、ごちそうさんと」
「ご馳走様でした~」
「はふ~、食った食った~」
「ごっそさん」
四人一緒に食事を終えると、皆揃って手を合わせる。
「さてっと、まだ若干昼休みが残ってる訳だが、次の授業何だっけ?」
「えっと、確か国語だったと思うよ~」
「うむ、それなら移動しなくて済むから、まだもう暫くはノンビリ出来そうだな」
俺がそんな事を言いつつ、伸びをすると、ふとこの前の会話を思い出した。
俺の中ではついさっきの出来事だが、皆の中では一週間前の出来事らしいが…。
「なぁなぁ、そういえば浩二」
「うん、何だ?」
「一週間前の休み時間に、お前何か納得イカンって言ってただろ?結局、アレは何だったんだ??」
「あぁ、そんな事もあったっけなぁ」
「おう、それで何が納得いかなかったんだ?」
「あぁ、それは俺も興味あるな」
「私もこの前から気になってたんだよ~」
俺がそんな話題を振ると、宏と雪菜の奴も食いついてきた。
やはり皆、あの事が気になっていたらしい…。
「えっと、何だっけ?」
「や、俺が聞いているのだが…」
そんな皆の疑問に対し、あっけらかんとそんな事を言う浩二。
「あはは、スマン!もう一週間も前の事だから忘れた…」
「って、おい!!」
あんな登場の仕方した上に、俺に怪我までさせておいて、そりゃ無いだろ!!
くそ~、マジで納得いかんぞ!!
「何かお前が納得いかない理由を聞けない事が、俺には更に納得いかんのだが…」
「そう言われてもなぁ~。忘れちまったもんは、仕方ないべ?」
「おぉ!良い事思いついたぞ!!」
「お?何だ何だ??」
「この前みたいに、思い切りお前をぶん殴れば、その衝撃で忘れていた記憶が蘇るかも知れないぞ!」
俺がそう言いつつ、おもむろに椅子を振りかざすと…。
「ちょ!流ちゃん、早まっちゃ駄目~!!」
雪菜に羽交い絞めにされて、無理矢理止められてしまった。
「おい、邪魔するな!男には、無駄だと分かっていても、やらねばならぬ時ってものがあるのさ!!」
「意味、分かんないよ~」
「おぉ!その言葉を聞いて、思い出したぞ~!!」
「…マジか?」
そんなやり取りをしていたら、浩二の記憶が不意に蘇ったらしい。
チッ、運の良い奴め…ww
「それにしても、都合の良い脳してんだな~」
「うむ、ヤシガニ」
宏の冷静な突っ込みに思わず、同意する俺。
「ヤシガニって何、流ちゃん?」
「…間違えた、確かに!」ww
我ながら、どんな間違いだ!?www
「それで、この前納得いかなかったのは何でだ?」
宏がそう尋ねると…。
「水着はビキニに限る!それ以外は納得イカンって言いたかったんだよ!!」
「はぁ…」
浩二は鼻息荒く、そう答えていた。
って、何じゃそら??
「え、この前、プールに行くって言ってただろ?」
「あぁ、確かに言ったけどさ」
「だから、その時に着る水着はビキニが良いな~って話」
「え~、やだよ~。俺、そんなの着たら、只の変態じゃん…」
「って、お前の話じゃね~よ!!」
え?違うの??ww
ま、分かってて言ったんだけどさ…www
「え、え?それって、もしかして私??」
「そう、そうだよ~。雪菜ちゃん~」
「び、ビキニなんて恥ずかしいよ~」
「そこを何とか!お、お願いします!!」
「うぅ~…」
何故か土下座までして、雪菜に懇願する浩二。
そこまでして、雪菜のビキニ姿が見たいのだろうか?
てか、雪菜の奴、どうして良いのか分からず赤面しちゃってるよ…。
仕方ない、助けてやるか!
「はぁ~、分かった分かった」
「ん?」
「お前の熱意に免じて、そこまで言うのなら、しょうがないからビキニ着てやるよ」
「いらね~!つか、だからお前じゃないって!!」
「俺だって、ホントは嫌だけど仕方ないだろ?」
「仕方ないって何だよ?」
「お前の所為で、雪菜困ってるじゃんか…」
「え!うわわ…」
そこでようやく、雪菜が恥ずかしさのあまり、オロオロしているのに気付いたらしい浩二。
「な、だからこれ以上、無理言って困らせるなよ」
「あ、あぁ、スマン雪菜ちゃん」
「え、べ、別に気にしてないよ~」
そうは言うものの、雪菜の奴、明らかに動揺してやがんなぁ~。
何か、どもってるし…ww
「でも、確かに雪菜ちゃんのビキニ姿、良いかもな!」
ようやく話が一段落したかと思いきや、今度は宏までもが、そんな事を口走った。
「え、えぇ!宏君まで~!?」
「だよな、だよなぁ!ふんが~!!」
「浩二、お前はとにかく落ち着け…」
ふんが~って、お前興奮し過ぎだからな…ww
「え、えっと、流ちゃんも見たいの?わ、私のビキニ姿…」
「はい?いきなり何だ…」
「皆、ビキニに拘ってるみたいだから、男の子は皆、そういうものなのかなぁ~と…」
「う~ん、確かにそういうものなのかもな。ビキニ姿を見たいかって聞かれれば、そりゃ見たいに決まってる!俺だって男だかんな~」
「そ、そうなんだ~。流ちゃんも見たいって言うのなら…。か、考えて見ても良いかな~?…なんて」
「…はぁ」
…どういうこっちゃ?←鈍感男ww
「ひゃっほ~!!雪菜ちゃんのビキニ姿が、見られるのかぁ~!益々もって、プール行くのが楽しみになってきたぜぇ♪」
「あぁ、確かに!!」
雪菜のそんな言葉を聞いて、更に興奮しまくる浩二と、それに同意する宏。
何か心なしか、宏の奴もいつもよりも若干、テンションが高くなってるような気がするし…。
まぁ、何にしても今からプール行くの、マジで楽しみだな♪
暑い太陽の下では、冷たいプールの水がスゲー気持ち良い事だろう☆
こうして、俺達の長い長い夏休みが始まる!
おわり。
はい、そんな訳で今回でこの番外編は完結です!
またしても勢いで書いたんで、前半とか物凄いグダグダっぷり…(汗
時間をも超越って、我ながらやりすぎたかも?ww
ま、何にしても、次の番外編は「真夏のプール編」ですよん☆
読者の皆様、是非とも楽しみに待っていて下さいませ~♪
雪菜のビキニ姿、自分も楽しみ~!!ww
自分は勿論、ビキニは着ないけどね~!!←当たり前だwww