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異世界データ管理人  作者: 水友 想
第一章
8/38

8. リクルのお礼

 パンは多少固かったが、空腹感もあり、野菜が入ったスープに浸しつつきれいに完食した。

 味はともかく、誰かが作ってくれるというのは嬉しいもんだ。


 さて。朝食中にリクルから聞いた内容をまとめると…


 ・文化レベルは中世ヨーロッパ程

 ・魔法やスキルの存在


「…前にも聞いた内容だな…」


「じゃあ何が聞きたいの?」


 うーん…チュートリアル的な説明を期待してたんだが、特にないようなので個別に聞いてくか。魔法やスキルも当然興味はあるが、とりあえず一番気になる事は…


「俺はどうすればいいんだ?」


 延々と本の管理ってのもな…

 司書?DBA?今後の生き方、働き方、労働条件は確認したい。


「うーん…遅延は解決したし、何か起きたら手伝って欲しいけど、今のところ何も問題ないから、特にお願いすることは無いかな」


 なん…だと…?


 転生して1ヶ月で即クビとか、聞いたことないんだけど…


 突然のリストラ宣言にぼう然としたが、ふと気づいた。そもそも雇用契約すらしてないから、雇われてもいなかった。


「とりあえず、自由に見て回ればいいんじゃない?世界を見てみたいってマサトよく言ってたし。私は管理があるからいつも一緒にはいれないけど、この聖域にはいるから」


 微妙に凹んでた俺を気づかうように、リクルが優しく言う。ただ、そんな気づかいよりも気になる単語が。


「聖域って?神聖な区域とか、神が住むエリアとかの?」


「そそ。私住んでるしね」


「いや。それは知ってるけど、リクルが住んだって聖域にはならんだろ?神さまじゃないんだし」


「え?わたし神だけど?鑑定神」


 ………なん…だと?!


 この美少女(残念)は神さまだったのか…全くと言っていい程、神さま感がないから考えもしなかったな…


「あれ?言ってなかったっけ?まぁいいや。あ!これも言い忘れてた!助けてくれたお礼に加護を付与したから、確認してね」

 

 俺の困惑には気づかず、軽く首を傾げつつも話を続けるリクル。


「加護の確認?」


 説明が足りなすぎて、何をすれば良いのか分からないんだが…

 一応お約束ということで、頭の中で“ステータス”と念じてみたが何も起きなかった。


「えっと…頭の中でいいから、自分のスキルを“検索”したい、って考えてみて」


 …ん?検索?


 よくわからないが、前世では大変お世話になった、ブラウザ検索エンジンをイメージし

 

 [自分 スキル] 


 と入力した気になって、[検索]と念じてみた。

 …が、なにも出ないし、見えもしない。


「うーん…何もおきないけど?」


「あれ?おかしいな…そんなはずはないんだけど…“選択”とか“探索”とか念じてもだめ?」


 そう言うので、同じようにやってみたが、やっぱり何も起きない。


「検索!選択!探索!」

「OK.ぐー○る!」

「Hey! Sh○i」


若干恥ずかしかったが、思いつくもの全部、声に出して試してもダメだった。


「うーん…」


 原因が分からないのか、腕を組ながら考え込むリクル。


 検索…探索…選択……選択ねぇ


 “選択”というキーワードから、前世の職業病で、ふと、とある言語が浮かんだので、試しに念じてみた。


 Select name,skill from myself ;


 んなわけないよな…と、思った次の瞬間、目の前に半透明なスクリーンが表示される。


◇name◇

マサト=スガノ


◇skill◇

言語マスター

身体強化

世界図書館(検索)


「おおおぉ!出た!なんか出た!」


「お?見えた?よかったぁ。世界図書館への検索スキルあったでしょ?」


「ああ。あと言語マスターと身体強化ってのもあるな」


「それは、オルファーダ様からの加護ね」


 おおぉ。チャラ男(神)ありがとう。


 心の中でお礼を述べつつ、やっと異世界っぽい出来事に、年甲斐もなくはしゃいでしまう。


「ふふ。マサト嬉しそうね。喜んでもらえて良かったわ。そのスキルは文字通り世界図書館の情報を検索できるものだから」


 なるほど。世界図書館のデータを取ってくるスキルか…だから、漠然と検索を思うだけではダメで、さっきは上手くいったのか。ってことは…


 今度は、世界図書館とシーボをイメージして、俺のとあるデータを持ってきて欲しいと願う。

 するとお願いしたデータが表示された。


◇名前◇

マサト=スガノ


◇種族◇

人族


◇年齢◇

20


 あの言語じゃなくても検索できるみたいで良かった。毎回毎回、脳内変換するの大変だしな…あと、転生してからずっと体が軽いと思ったら、身体強化スキルだけじゃなくて若返ってたか。


 他にも一応、種族も確認したが、普通の人族だとわかってホッとしたところで、ふと疑問がわく。


「この検索スキルは、鑑定とはちがうのか?」


「うん、違うよ。鑑定スキルは、鑑定対象の人や物がないと見れないし、スキルレベルによって鑑定できなかったり、情報が少なかったりするからね」

 

 なるほどね。検索スキルは鑑定したいものが目の前になくても、世界図書館から情報を入手できるからな。


「他人のステータスは、鑑定スキルや各種ギルドでのチェックくらいしか見られることはないけど、念のため、他人からみたら、検索スキルじゃなくて鑑定スキルへ隠ぺいしてるから」


 少しだけ不安そうな顔つきで「気をつけてね」とリクルから心配された。


 レアスキル持ちだとバレると危険ということか。気をつけよう。


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